Apollonプロジェクトの終了と継続の報告
ご挨拶
お世話になっております、Apollon代表の原田です。
Apollonプロジェクトをご支援してくださった皆様のおかげで、この1年間で様々なことを検証したり、チャンレンジすることができ、その過程で発見したヒントをもとにこれからの活動を続けていく土台もできました。本当に感謝してもしきれません。あらためてありがとうございました。医療AIの発展を加速したいというビジョンを掲げた本プロジェクトのクラウドファウンディングにおける活動期間は2021年12月30日をもって終了いたします。今回の記事では目標に掲げていた1年間という活動のまとめと、今後の継続予定についてお知らせさせて頂きます。
活動のまとめ
1〜6月
まず、クラファン期間中に開発したapollon.aiウェブサービスを公開しました。
このサービスではより医療AIをより身近にすることを目標に、
- 様々な機械学習モデルを用いて、画像などの医療データの分析を行うことができるアプリ
- それら機械学習モデルの仕組みや作り方・周辺知識の教材
- 各コンテンツでのディスカッションを可能にするシステム
を提供しました。
提供開始から支援者やその関係の医療者を中心に使って頂きました。実際に動かせてすごい、記事がわかりやすいなどのフィードバックを得ることができましたが、継続的に使っていただいたり、支援者の輪から外れた外部ユーザーの増加という目標は達成することができませんでした。この原因として、こちらが実現したいビジョンが先行しすぎており、ユーザーが本当に困っていることを解決できていないということ、そもそもターゲットとするユーザーの層やその方達がもっているであろう具体的な課題が検討しきれていなかったことにあると考えました。(色々同時に全て実現しようとし、様々な機能を実装しすぎ、それぞれの検証に疎かになっていたという点もあります。反省です。)
そこで次に既存ユーザーや、医療関係者・医療AIベンチャーの方などに感じている課題周りのヒアリングをおこなっていきました。その結果、教材やアプリを試せるなどでは解決できない、以下のようなより深い問題があることがわかりました。(学習に関する課題に関しては教材が少ないという点につき、そこに貴重な時間を割くのは勿体無いと思い、フォーカスしませんでした。)
- データベースが整っていない、開発コスト大きすぎ
- 法律・治験など制度上の大きい壁
- 普及のされにくさ、費用対効果が微妙
- 機器・通信規格が統一されていない(特に電子カルテ!!)
ここに書くと長すぎるのでこれくらいにしておきますが、大きな根本的な問題として、機器・通信・データ規格が統一されていないことがあると思います。これがバラバラなので、開発、データ収集、開発後の製品の迅速な導入・機器への組み込みなど、様々な段階において遅延をもたらしているのではと思い至りました。
そこでApollonの医療に関わる部分としては、各医療AIサービスの開発・通信の規格化、IFTTTやApple storeのような各医療機器・APIを自在に統合し、購入・導入できるプラットフォームを作る、くらいのことをやらないと全体的な発展を加速できないと考えました。しかし、学生中心のチームがこのような根深すぎる問題に向き合うには、実力・モチベーション共に足りない、またタイミングや立場優位性(なんで君たちがやるの?)からしても微妙であると感じました。また、似たような課題の部分に、大企業の連合がプロジェクトを立ててプラットフォームを作っていこうなど、近い時期に発表されたりと、取り組むところが違うのではとチームの認識に至りました。
7〜12月
そこで医療AI(AIも狭いと考え、現在では医療ITの方が重要な概念であると捉えています)については、Slackグループ(現在100人以上のメンバー)においてビジネス性は考えずに自由な意見交換の場を提供することにしました。おすすめの教材・イベントを紹介したり、興味が近い人同士を繋げたり、学習・研究開発にまつわる軽い質問をしあったりと活動が行われています。まだ活発とよぶには程遠いですが、せっかく人が集まったので、Facebookグループのような浅いコミュニティと差別化した有用な場所になればいいなと思います。現在は国家試験・CBTシーズンでなかなか手を回せていませんが、2月以降また様々な提案・情報を提供していけたらいいなと考えています。
そして、事業の方では、収益をあげ、持続的に成長していくには、もっとチームに身近な分野・課題からサービスを立ち上げていった方がいいのではと考え、実際に研究開発、工学系の勉強に関わっているプログラミングに関係する人向けの次世代投稿プラットフォームNoteboxというサービスを始めることになりました。
それに並行し、収益の発生する事業を扱うということで、株式会社Apollonを設立いたしました。対外的な取引も効率的に行うことができるようになりましたし、チームのモチベーションも高めることができました。
Noteboxにおいて、最初はデータサイエンスでよく使われるJupyter notebookというフォーマットのファイルを記事として投稿できるという機能に特化し、一定の反響を得ることができました。ユーザーも少しずつ増えましたが、新規サービスとして差別化ポイントが薄いと考え、その場でコードを動かせる、という機能を追加したところ、今まで以上の反応をいただくことができました。(主にtwitterで口コミを発見しました。嬉しかったです。)魔法のようにコードを動かせるという意味、本気のコードなどの意味を含め、サービス名はMagicodeに変更しました。
その場で投稿者のおこなったことを読者が再現できるので、再現性が保たれているという点で、将来的にはアカデミックな分野のコンテンツ(新たなフォーマットの論文など)も扱ったりしていけたら面白いなと思いますし、工学系のユーザーを獲得することで、医療・その他各ドメインへの導線を繋ぎ、職種を超えたコラボレーションをより広い視野で実現していけたらいいなと考えております。現在は、より便利なエディターの開発、さらには海外版の開発を行なっております。今の所一番可能性を感じるサービスなので、しばらくはこちらに注力していこうとチーム一同精進しています。
収支報告
- 利用規約・法律相談費用:55万円
- 1年間での開発・サーバー費用(必要技術本含む):15万円
- 登記・バーチャルオフィス費用:25万円
- 残額(株式会社Apollonの口座内):20万円
今後について
このように現在は、Apollon.aiサイトの公開、Slackグループの提供、Magicodeというプログラマー向けサービスを展開しています。直近ではまずMagicodeの事業成長を達成し、長期的には、人や情報を効率よく繋げていくことで社会の発展を加速していくことがビジョンです。その過程で医療に還元できるいくつかのサービスも打ち出していけたらいいなと思います。(幸いチーム全員医学生かつエンジニアなので、良いアイディアを捻り出していけたらいいなと思います。)
長文でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。引き続きチーム一同頑張って参りますので、応援よろしくお願い申し上げます!