みなさん、こんにちは!
展覧会「But Fresh」企画者の吉澤です。

展覧会の会期、カタログ制作プロジェクト募集終了ともに残り5日となりました。
まだまだ展覧会を多くの方に観ていただきたいと思っています。
一度といわず二度三度観ていただければと思いますので展示の見所を紹介したいと思います。
ぜひご覧ください!!


◇眞島竜男
「PUBLIC AIR LINES」リメイク作品  2012年 ポスター、DVD映像、インスタレーション
ハンググライダーを運行する架空の航空会社PALを題材にしたインスタレーション作品で1993年大学卒業制作作品のリメイクです。
当時は予算や技術的な問題で上手く形にできなかったという思いがあったため、アップデートという形でリメイクしました。
1993年作品との違いについて、例えば真ん中の部分は電飾看板を使って「PUBIC AIR LINES」、「PUBLIC AIR LINES」としていましたが、当時は故障が多く上手く作動しなかったのを今回はプロジェクションで表現し、作家の狙い通りに展示することができました。
プロジェクションで、Lが点滅し「PUBIC 陰部の」航空会社、「PUBLIC 公共の」航空会社と二重の意味が表現され、左側のポスターで「PUBIC AIR LINES」を、右側のポスターで「PUBLIC AIR LINES」が表現されています。
左側のポスターにはぐにゃっとしたハングライダーの軌跡にも陰毛のようにも見える線が見えます。これは当時学生の間で広く読まれていた、ポストモダン哲学の概念であるリゾーム(ドゥルーズとガタリによって提唱)を模していると作家は言います。従来の幹・枝・葉といった秩序、階層的なものを象徴するツリーに対して、相互に関係のない異質なものが横断的な横の関係で結びつくというリゾームです。
「PUBIC AIR LINES」、「PUBLIC AIR LINES」でそれぞれプライベートとパブリック、曲線と直線、リゾームとツリーを表しています。
従来、プライベートとパブリックは別のものと考えられてきましたが、近年世界的な潮流になっているPublic Private Partnership(官民のパートナーシップ)に代表される「新しい公共」という考え方を踏まえてみると、興味深いものがあります。

「DINNER PARTY」1992年 DVD 20分
1992年に制作した映像作品です。
数人がテーブルを囲んで会話する形式で その後の映像作品の原型となったものです。
異文化間のコミュニケーションの難しさ、ツーリズムの弊害、糞尿処理とエコロジーなどについて語り、内容の8割がアドリブで、役者達の極めて優れたパフォーマンスにより成立しています。


◇タニシK
「横浜からの~」リメイク作品  2012年 DVD 13分
映像は東急東横線車内でワゴンサービスをするという2001年デビュー時のパフォーマンス(展示では音声なしにしています)です。
映像作品は一見、現在と違いはないように見えますが、今のように誰もスマホを持っておらず11年と言う時間の隔たりを感じます。
5つのスピーカーからの音声は、映像を見てもらった2012年現在の鑑賞者の声です。渋谷、新宿などで老若男女、外国人など様々な人に映像を見てもらい感想を述べてもらったものです。スピーカーに近づかないと一つ一つは聞き取れないようになっています。

【参考資料】
αMプロジェクト Tanishi K Gallery Talk
活動初期、貴重な2003年の初個展時のトーク。


◇和田昌宏
「村上裕」リメイク作品  2012年 Blue-ray 39分
19世紀のドイツに実在し、数奇な運命をたどった人物をテーマにした2004年のインスタレーション作品「カスパー・ハウザー」をリメイクしています。過去の展示の資料が残っていないため、新作のような形になっています。
16歳で保護されるまで長い間地下牢に閉じ込められて生活してきたキャスパー・ハウザーは特異なまでの鋭敏な五感を持っていたとされ、教育を受けて話せるようになる前に何者かに暗殺されました。
彼は文明社会の刺激の強さに嫌気が差し、地下牢から出てこなければ良かった、と述べ閉塞感を抱えていました。臨終の言葉は「もう疲れました」だったという記録が残っており、一説ではカスパー・ハウザーの死は自殺だったのではないかとも言われています。
今回、作家は友人でありアーティストの村上裕さんを数ヶ月に渡って撮影したドキュメンタリー作品を制作しました。村上さんはある挫折がきっかけで病に陥り、閉塞感を抱えて生活しています。
作家は、現代に生きる村上さんと19世紀に生きたカスパー・ハウザーの共通点は閉塞感ではないか、そしてそれは特別なものではなく誰にでも普遍的なものではないかと考えました。
作品では、作家が村上さんの自宅や東日本大震災の被災地へ共に行き、インタビュー形式で生い立ちや考えていることを聞き出しています。
ラストシーンは国立奥多摩美術館で行われたライブが元になっています。
音楽は村上さんの制作したもので、歌は全てアドリブです。

和田昌宏 + 村上裕「人生相談ライブ〈魂の歌を聴け〉」
http://www.youtube.com/watch?v=hnuV0sYhVVE
http://www.ustream.tv/recorded/26904499

【参考資料】
・映画
「カスパー・ハウザーの謎」ヴェルナー・ヘルツォーク/監督・脚本・製作 1974年
カスパー・ハウザーの視点から人間社会を痛烈に批判した作品で非常に興味深いです。
YouTube に動画がアップされていますが、ドイツ語のみで字幕はありません。

・書籍
「カスパー・ハウザー」(福武文庫)  A・v・フォイエルバッハ (著), 西村 克彦 (翻訳)
直接カスパー・ハウザーを知る学者の残した書物です。
・webサイト
「1828年独、闇の中から現れた少年カスパー・ハウザーの謎」
詳しくまとめられています。


展覧会は無料です。
最寄の駅は御茶ノ水駅・水道橋駅 (JR総武線) 
 トーキョーワンダーサイト本郷 3階展示室 東京都文京区本郷2-4-16
開館時間は11:00 - 19:00

あと5日で終了してしまう展覧会の記録をしっかりと残すために、
是非ご支援をよろしくお願いいたします。

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