化学・生命化学科設立50周年プロジェクト 『化学の力を伝えたい』

2023年8月5日（土）、6日（日）に開催された早稲田大学オープンキャンパスにおいて、化学・生命化学科設立50周年企画の一つとして3つの実験教室を開催しました。石原研究室の主催の「色の変化で糖の濃度を測ってみよう」は、8月5日（土）の午前、午後で2コースで開催し、高校1年生から3年生まで、のべ36名が参加しました。鹿又研究室の主催の「レモングラスとミントの香りを抽出操作で分けてみよう」は、8月6日（日）の午前、午後で2コースで開催し、高校1年生から3年生まで、のべ41名が参加しました。中田研究室の主催の「パソコンで分子模型を組み立てよう」は、8月5日（土）の午前、午後で3コースで開催し、中学2年生から高校3年生まで、のべ26名が参加しました。

「色の変化で糖の濃度を測ってみよう」
研究に実際に使用している発色性、発光性のボロン酸を用いて微量の糖類を検出する実験を、高校生に体験していただきました。光の吸収と発光について簡単におさらいした後、吸光光度法の原理を説明し、アゾボロン酸を用いて、ppmレベルのD-フルクトースの定量を行いました。また、高校生には、やや難しかったかも知れませんが、発色の原理も解説しました。更に、発光性のフルオレセインの合成を体験していただき、紫外線照射により、塩基性でのみ発光することを確認していただきました。

「レモングラスとミントの香りを抽出操作で分けてみよう」

レモングラスの香り成分であるシトロネラールと、ペパーミントの香り成分であるメントールは共に重要な有機化合物です。これらの化合物はいずれも脂溶性のため、一般的に高等学校で学ぶ化学の知識では分離精製が困難です。しかし、簡単な化学反応によってシトロネラールを水溶性の物質へ変換すると、抽出操作のみで容易にメントールと分離できます。水溶性となったシトロネラールはpHを調整すると再びシトロネラールへ戻ります。実験後に香りを嗅ぐことで、分離が成功したことを確認しました。

「パソコンで分子模型を組み立てよう」

初めに立体化学と分子模型、いくつかの分子の平面構造式と三次元構造、平衡にある2種類の立体配座異性体の比率とエネルギー差の関係について解説を行いました。その後、中田研究室所属学生とのマンツーマン体制で参加者がフラーレン、カーボンナノチューブや各種医薬品の構造を描画ソフトであるChemDrawで描き、その三次元構造をChem3Dで数種類の表示モードにより表示して回転させ立体構造を確認するなどの操作を行いました。さらに、平衡にあるメチルシクロヘキサンの立体配座異性体の比率とエネルギー差の関係についても簡単な計算を行いました。参加者が気に入った構造は、画像ファイルとしてこちらで用意したUSBに保存して、持ち帰っていただきました。

アンケートの結果、多くの参加者が「期待以上」との回答であり、特に「スタッフの説明」に関しては高い評価を受けました。大学内の施設で、高校では行わない実験を体験できたことに加え、自分たちの未来像である大学の先輩たちから手厚いサポートを受けられたことが高評価に繋がったと思われます。

化学・生命化学科設立50周年企画委員会
オープンキャンパス担当　柴田　高範