ちょっと変化球を楽しむ

　風俗画の楽しみ方のひとつに，「ユーモアを読み取る」というのがあります。国宝や重要文化財の作品となると，見る側の私たちは，貴重なものとして緊張をするものですが，そんな肩書は現代人がつけたお飾り。作成されたとたんに国宝になったものは，ありません。

 

　思い切って，風俗画の世界に入ると，じつにユーモラスな描写が多いことが分かります。
　狩野永徳の国宝・「洛中洛外図屏風」には，ちっちゃく「子供におしっこをさせる母親」「焚き火に冷えたおしりを温める男子」など描かれていて，思わず，くすり，となってしまいます。

 

　そこまで漫画のような描写ではなくても，花下遊楽図屏風にもにんまりするシーンがあり，私はそんな情景が好きなのです。
　ひとつは，貴公子の足で拍子をとる様子。手は動かしてませんから、そんなに熱中してないぞ、という素振りをしながら、でも思わず乗っている…　そんな子供らしい仕草が，後の悲劇な結末と相まって，見る人に感慨を呼び起こします。

 

 

 

　実はもう一つ，もしかしたら私が一番好きかもしれないシーンは，その貴公子の下にあります。

 

　見てください，この男の目をつむったふてぶてしい表情。なのに、ほおづえの手の小指が立っていて、繊細さも感じさせる…

 

　貴公子を乗せたカゴを山頂まで上げて疲れ切ったのか，はたまた，ちゃらちゃらした踊りなんか聞いてられねえってことなのか，色々と彼の思考を想像してしまいます。

　もしかすると，色を復元し，大きくなったこの男性に対面した時，もっと面白い思考を感じることができるかもしれません。

　そんなことも楽しみな「令和の醍醐の花見」鑑賞会，皆さんも参加してみませんか？もう，鑑賞会の開催は決定いたしましたので，安心してご参加ください！
最終日まであとわずか。ちょっとでも気になった方は，どうぞお急ぎください！