「犬の殺処分ゼロ」の最後の砦、保護犬たちに快適な環境を！

最近、DOG DUCAに直接「保護してほしい！」という電話が、かなり増えてきました。

 

理由も、昔は、プロのドッグトレーナーが保護活動をしているということで、「言うことを聞かない！」「噛み付く！」「なんとかして！」というものが多かったですが、最近は「親が亡くなったので」とか「引っ越しするから」というような、トレーニング関係なしの飼育放棄が年々増えているのです。

とくに今週は、そんな理由での保護依頼ばかりでした。

 

 

「親が亡くなった」というケースでは、飼い犬が子犬ということはまずなく、10歳以上の高齢犬であることがほとんどです！

 

高齢犬は、性格は穏やかになっているので飼いやすいのですが、里親を探すのはかなり難しくなります。

前回紹介したマルチーズのコロのように、高齢でも、奇跡的な出逢いで里親さんが見つかることもありますが、そんなに簡単に里親さんが見つからないことも・・・。

 

 

一口に「保護犬を飼う」と言っても、やっぱり若ければ若いほど、健康であれば健康であるほど、引き取り手が多くなるのが現実です。

 

DOG DUCAではブログで保護した犬をお知らせしたりしていますが、若くて、小型の人気犬種のことを書けば、まったくDUCAのことを知らなかった方が、いきなり「引き取りたい」「保護犬を飼いたい」と言ってくることもあります。

 

しかし、その子がすでに里子に行ってしまったりしたりで、それでも「里親」になりたいのであれば・・・と、「持病があるけどまだ若い」「とてもいい子だが高齢」という子を紹介すると、「やっぱりやめます」となることが多いです・・・。

 

とはいえ、愛護団体ですら、「持病のある犬」「高齢犬」は、引き取らないケースが多いのが実態です。

 

でも、それは当たり前といえば当たり前なんです。

愛護団体は『ボランティア』です。労力の面だけならまだし、とくに、一生面倒見なきゃいけない犬もいると、費用が続きません。なにか良い仕組みがあればいいのですが・・・。

 

 

理想を言えば、ドイツのティアハイムのように快適に暮らす部屋としっかり走り回れるグランド、沢山のワンちゃんで遊び回れる社会性スペースを完備した愛護センターになり、すべてを受け入れて、終生幸せに暮らせるといいのですが、今のセンターは「殺処分ゼロ」目標にしていますから、極力、終生飼育するよう説得し、引き取りは断ります。

でも、その、断られてしまった犬はどこに行くのでしょう・・・？

 

結果、山で放たれて野犬化し、「殺処分ゼロじゃない」センターに収容されてしまう犬もいます。ここも含めた愛護団体に直接持ち込まれる犬もいます。

 

とはいえ、何千頭も収容できる余裕はないので、次から次へと受け入れることができません。でも、犬の話を聞けば聞くほど、「なんとかこの子を救わなきゃ！」と思ってしまいます。

 

犬に罪はないからです。

 

結果、そうやって保護し、里子に行けなかった犬が20頭ほどいます。

 

 

保護犬たちの中には、目が見えない子、皮膚病になった子、腰を悪くしてヨチヨチ歩きしかできない子、警察犬訓練所での厳しいトレーニングで逆に噛みつきぐせが強くなった子・・・里親のところには行けないままここで天寿を全うした子もたくさんいます。

 

でも、僕たちは、どんな子でも等しく、「大切な生命(いのち)」として、家族として接し、最後の最後まで介護や治療をし、きちんと最後のお別れもしています。

 

 

でも、最近は、そういった事情を知らないまま、安易に「高齢犬」「持病もちの犬」などを引き取ってほしいとお願いする方が多いです。

 

昔は、知り合いの中で引き取ってくれる人がいないか必死になって探して、それでも見つからなかった、というのが電話口からでも伝わる方もおり、なればこそ、こちらも引き取って面倒見ましょう、お金はいりません、と言っていたのですが、最近は、本当に、「愛護団体＝殺処分せず無料で引き取ってくれる所」と思っている方が、すごく多いのです。

 

ひどい時は、連れ添った愛犬に少しでも愛情があるのであれば、去勢手術や歯の治療費くらい負担する気はないでしょうかとお願いしただけで、「は？ 愛護団体なのに金とるの？ 金儲けか！？」と言われることも・・・。

 

僕らがなにか言われるのはまだいいですが、何年も一緒に暮らした家族なんだから、「最後に、ほんのちょっとでも愛情を見せてほしい」という期待が裏切られることが、とても悲しい。

 

 

そもそも、犬は生命(いのち)ある生き物です！

 

食事もすればウンチもオシッコもするし、本能に従って子どもも作ります。

そういう生き物に対して、食事の用意やトイレの片付け、避妊去勢手術はもとより、健康のために散歩にも連れて行かないといけないし、病気になれば病院に連れて行くこともありますし、病気にならないための予防もしなければなりません。

 

人間の子どもとなんら変わりがないのです。

 

どうしてもお金も、労力もかかります。

持病がある子であれば、ひどい時は毎日投薬が必要です。

なにより、人間と同じ社会動物なので、愛情も必要です。

 

「生命(いのち)を救う」ということは、

「生命(いのち)と暮らす」ということは、

そういうことなんじゃないでしょうか？

 

安易に飼って、安易に捨てる・・・本当にいつになったらなくなるのか？

 

業界の構造問題もありますが、今、僕たちに出来ることとして、そういう不幸な犬をできるだけ生まないよう、相談してくる方には正しい接し方を伝えたり、動物病院でしつけ教室をしたり、講演活動なども行なっていますが、まだまだ課題は山積みです。

 

 

それでも、僕たちがせめてもの救いと感じるのは、こういった、里子に出せなさそうな「持病がある」「高齢である」という子たちでも、それを受け入れてくれた上で、里親になってくださる方たちがいることです。また、「飼えないけど、寄付で協力する」といった方たちも同じです。

 

僕たちの活動は、そういう人たちに支えられているから、続けていけるのです。

 

「生命(いのち)を大事にしたい」と思っているのは、僕たちだけじゃない！

 

その輪が、もっと広がればよいのに、と思う日々です。