2021年に亡くなった詩人、蝦名泰洋さんの詩集を出版したい。

達成率28パーセント、ありがとうございます。

詩を、紹介したくてたまらないのですが。

あんまり載せてしまって、詩集を待ってもらう楽しみを奪ってもいけないし。

「青森の詩人たち」と題されたシリーズがあります。生きている人、死んでいる人、親交のあった人、なかった人、有名無名の青森ゆかりの「詩人」に寄せた12篇の詩。太宰治の名前もある。言葉を使う詩人、ではない人も。
それぞれの詩は、その「詩人」について語るというより、その「詩人」と内的な対話を交わしたような、その人とこんなことが話したかったかもしれない、という印象があります。

この一群の詩たち、もともと番号があって、それは20を超えているので、もっと多くの詩が書かれていた、あるいは書くつもりがあった可能性があります。蝦名さんが、もっと長く生きて、自分で詩集を編んだら、どんなふうだったでしょう。

どの詩も、詩であるからそうなのですが、琴線にふれる。たまんないな、と思います。

「青森の詩人たち」を蝦名さんが書いていたので、おそらく青森時代の友人たちにとっては、長く行方不明、生死不明のままだった蝦名さんの死を、伝えることができたのでした。

青森の詩人たち　（木部一樹）

あの鳥たちの向こう側で

　　鳥たちの向こう側で

　　鳴いているのはだれだろう

　　録音されなかったその声が

　　私たちにはなつかしい

　　天文学者のだれひとり

　　見つけられなかった星かもしれない

　　こどもたちの心の深く

　　影をなくした母かもしれない

　　一度迷った海原で

　　ふたたび迷う漁夫かもしれない

　　親しい森の向こう側で

　　ヒトコイシイ

　　ヒトコイシイと

　　鳴きやまぬ

　　あの鳥たちの向こう側で

　　羽ばたいているのはなんだろう

　　愚かな今日を越えようと

　　また目をあげる使徒の背中だ

　　たちまち国境を消す言葉を
　　ささやいている画家たちだ

　　　（以下略）

未発表の詩の一篇。2012年に途中までを見せてもらいました。そのあと、1年ぐらいして完成したのだったと思います。「木部一樹って？」と聞いたら「鳥の絵を描く人」と。
さて亡くなってから探しました。木部一樹さん。画集のプロフィールの生年が、蝦名さんと同じでした。

連絡をとることができました。中学高校の同窓生でした。見せてもらった絵のなかで、いちばん好きになった絵を、詩集の挿画にお願いし、快諾いただきました。
青森の雪、と聞きました。この絵を見ていたら自然と、詩集の構成がまとまり、タイトルも決まり、その勢いで、クラファン開始しました。

いま出さなければ、きっと失われてしまう気がする。それは悲しすぎる。

どうか、応援よろしくお願いいたします。

詩集の、編集のいっさいの責任は、野樹にあります。