2021年に亡くなった詩人、蝦名泰洋さんの詩集を出版したい。

▼自己紹介

こんにちは。2021年に亡くなった歌人/詩人、蝦名泰洋さんの友人で、歌人の野樹かずみと申します。

蝦名さんが亡くなるまで交流があり、遺稿を預かることになりました。

2022年には、このクラウドファンディングでみなさまのご支援を賜り、遺歌集『ニューヨークの唇』（書肆侃侃房）を出版することができました。ありがとうございます。

https://readyfor.jp/projects/105853

 

蝦名さんは詩も書いていました。伊丹イタリアの筆名で、1994年に『カール　ハインツ　ベルナルト』（私家版）という詩集を出しています。現在入手できないこの詩集と、その他の詩を一冊にまとめて、出版したいと思っております。

(出版について、ご遺族の了解をもらっています。)

 

蝦名泰洋（えびなやすひろ）のプロフィール

 

1956年5月20日　青森県生まれ

青森高校卒業後、進学のため上京、27歳のとき帰郷。

90年代、短歌、詩、短編小説等を発表、注目される。

 

歌集『イーハトーブ喪失』（1993年　沖積舎）

詩集『カール　ハインツ　ベルナルト』（筆名・伊丹イタリア　1994年　私家版） 　 

　

受賞等

1990年「月光」新人賞　

1991年　短歌研究新人賞候補　同評論賞候補　

1992年　青森県文芸協会新人賞　

1993年　東北デーリー　デーリー歌壇年間賞　

1994年　青森県芸術文化奨励賞

　　　　 ゆきのまち幻想文学賞入選

 　　　　デーリー東北新春短編小説2席　

 

1999年　青森を去り、茨城県のちに東京で暮らす。

2021年7月26日　癌のため東京で逝去。

 

死後

短歌両吟集『クアドラプル　プレイ』（野樹かずみとの共著　2021年　書肆侃侃房）

歌集『ニューヨークの唇』（「イーハトーブ喪失」も再録　2023年　書肆侃侃房）

 

 

▼プロジェクトを立ち上げたきっかけ

 

生前、蝦名さんは2冊の歌集の構想をもっていました。亡くなる二週間前まで、歌集の推敲をしていました。蝦名さんの死後『クアドラプル　プレイ』『ニューヨークの唇』の出版がかないました。

 

蝦名さんに詩集をまとめる時間はありませんでした（手元には原稿もありませんでした）が、生涯の終わり近くに、30年前の詩や、未発表のいくつかの詩のことを、読んでもらいたいと言っていました。最後に遺したのも、呟きのような詩でした。

 

生前に詩誌に掲載したもの、または未発表の蝦名さんの詩を集めました。

 

『ニューヨークの唇』を読んでくださった人たちから、蝦名さんの詩集を探している、という話を聞きました。

生前唯一の詩集『カール　ハインツ　ベルナルト』と、その他の詩を一冊の詩集にまとめて出版したい、読んでもらいたいと思います。

 

▼プロジェクトの内容

 

蝦名泰洋詩集『王国を見にいくと言い残して』を出版します。

 

表紙の挿画は、蝦名さんの同窓の画家、木部一樹さんの絵を、いただけることになりました。  

詩集の内容は、このあと随時、紹介していきますので、見ていただけますように。

 

詩集「カール　ハインツ　ベルナルト」(1994年)の再録と、そのほかの詩、全50篇ほどの詩集になります。

 

資金がありません。みなさまのお力を借りたいと思います。

蝦名泰洋さんの珠玉の詩たちを、詩集として残すために、協力していただけませんか。       

 

まず製作費の一部として、目標額50万円で、設定させていただきました。手数料と税金を引いて、42万円ほどを受け取ることができます。製作費には足りないのですが、all or nothing 方式で、1円でも足りなければ成立しないため、製作費の一部ということで、金額設定いたしました。  

 

協力したいけれども、クラウドファンディングができる環境にないという方は、kazumi_nogi@hotmail.com 野樹かずみ宛に、連絡ください。     

 

▼プロジェクトの展望・ビジョン

 

推薦文を紹介します。

 

 

蝦名泰洋さんは心の恩人です。ずいぶん前に詩誌の評論コーナーの終わり間際にほとんど脈絡もなく「ぼくは二条千河の詩を読んでみたいな」なんてさらりと書いてくださって、実績も面識もなかった私は大いに驚き、励まされました。しかし今回の詩集出版を応援するのは、それが理由ではありません。

連載されていた評論を拝読するたびにひしひしと感じられた、独自の美意識とロマンチシズム。亡くなった後に刊行された歌集を開けば立ち現れる、のびやかにして繊細な幻想世界。以前に野樹さんから見せていただいた3編の詩も、胸の痛くなるような素晴らしい作品でした。だから、ただ純粋に思うのです。もっと蝦名さんの詩を読んでみたいなと。（二条千河）

 

昨年の夏、蝦名さんの故郷青森を訪ねた。野樹さんの待つ青森駅へ向かう道中、蝦名さんの詩を読みつづけた。過ぎて行く美しい風景が、夕暮れの無人駅が、どんどん詩の中に流れ入って来て、言葉が声になり、魂となり、やがて未知の懐かしい空虚が私の内と外を環流し始めた。これが詩なんだ、と合点した。

「少なくとも五千年にひとりのワタシが／りんごの木の下で待っている／ワタシが／おりてくるのを待っている」（「王冠」）

蝦名さんのりんごの木は透明に確かにそこにあった。ありがとう、蝦名さん。詩集を読み返すごとにあなたの歌と詩は交わり、「詩歌とはなにか」という豊かな問いを立ち上らせてくれます。

『クアドラプル・プレイ』、『ニューヨークの唇』、そしてこのたび上梓される予定の『王国を見にいくと言い残して』で、両吟集、歌集、詩集の言わば蝦名さんの三部作が完成することになります。今からとても楽しみです。この「全体」が語り出すものに耳を澄ましてみたい。それは詩歌の存在の秘密を、そっと教えてくれるはずだから。（河津聖恵）

 

 

目標金額が達成できたら、蝦名泰洋詩集『王国を見にいくと言い残して』を、出版社さんに製作していただきます。（資金の不足分は、野樹が負います。達成しない場合、製作を断念します）

 

リターン品として、詩集のほかに、蝦名さんが折に触れて書き残した、詩論歌論時評エッセイ短編小説などの散文を、蝦名泰洋雑文集（私家版）としてまとめます。かなりの内容、分量があります。おそらく、ここだけの配布、希少品になります。1992年短歌研究評論賞候補作や、歌集のあとがきに引用し注目された文章の、初出等も載せます。ぜひ詩集とあわせてお求めください。（本の写真はイメージ。若い日の写真。）

2025年3月末までに、蝦名泰洋詩集『王国を見にいくと言い残して』及び、蝦名泰洋雑文集（私家版）を製作し、お届けします。