修理予定作品のご紹介①｜重要文化財 菱田春草「黒き猫」

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今後新着情報では、プロジェクト本文には記載しきれなかった修理予定作品のご紹介もしてまいります。

 

 

本日は、重要文化財 菱田春草「黒き猫」（明治43年（1910））です。

 

 

 

柏の幹の根元に座り、こちらをじっと見据える黒猫。柏の葉は金泥（きんでい）と緑青（ろくしょう）を用いて平面的に描かれるのに対し、猫は墨のぼかしによって柔らかな毛並みが見事に表現されています。第4回文部省美術展覧会（文展）に発表された当初より、柏にみる装飾性と猫の写実性の調和が注目され、好評を博しました。もともと春草は別の作品を同展に出品する予定でしたが、思うように制作が進まず、締め切り前の5日間程度でこの作品を仕上げたといわれています。

 

 

●菱田春草（ひしだしゅんそう、1874～1911）

長野生まれ。東京美術学校に入学。卒業後は同校の教員となりますが、校長の岡倉天心（おかくらてんしん）に従って職を辞し、日本美術院創立に参加します。明治39年（1906）院の研究所移転に伴い、横山大観（よこやまたいかん）らと茨城・五浦へ一家で移住。翌年より眼病の兆候があらわれ始め、腎臓炎が原因の網膜炎と診断されます。明治41 年（1908）治療のため代々木へ転居。病状が快方へ向かい、文展出品作「落葉」（重要文化財、永青文庫蔵）で新境地を示しますが、持病が悪化し36歳の若さで亡くなりました。

 

 

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