❶【『フードバンクとぼく』作品公開！】表紙～P11

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みなさま、ご覧いただきありがとうございます！

この間寄せられる「どんな作品ですか？」「読んでみたい」との声にお応えし、

全ページの内容を公開することにいたしました！

 

私たちの活動を通して出会った子どもたちの事例から生まれた物語です。

お感じになったことを教えていただければうれしいです。

そして、全国の高校と図書館に届けるためのご支援も、よろしくお願いいたします！

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『フードバンクとぼく』

さく 米山けい子

え　 三井ヤスシ

発行：認定NPO法人フードバンク山梨

 

ぼくの名前は勇輝(ゆうき)。中学3年生。
今日一人で部屋にいる。
2段ベッドの片隅で考えた。じつは、今日も昨日も、もう何ヵ月も学校に行っていない。
ぼくは、いつから学校に行くのがイヤになったんだろう。

 

中学に入学したころは、学校が楽しくて、ワクワクして、眠れない日もあった。
新しい友達、新しい勉強、新しい部活。
毎日が新しい発見ばかりだった。
それなのに、なぜ学校に行くのがイヤになったんだろう。

 

ぼくの家族は、お母さんと、中学1年生の妹の雪（ゆき）と、小学4年生の弟の純（じゅん）がいる。お母さんとぼくたちは お父さんの暴力がイヤで、今は離れて暮らしている。
お母さんは朝から一日忙しい。朝4時から新聞配達の仕事をして、帰ってきたら朝ごはんを作って雪と純を学校に送り出す。
そして8時にスーパーのパートに出かける。

 

学校に行かなくなってから、ぼくは朝ごはんの片付けと 、4人 分の洗濯物を干す。洗濯物を干すのはキラキラひかる太陽の光を浴びて心地良いし、お母さんは「助かる、助かる」と言って喜んでくれる。

そして、一人になる。

 

ぼくたちの夕飯はごはんとみそ汁に、ご近所でいただいた
きゅうりの漬物。
純が「おみそ汁のおかわりある？」と言った。
お母さんは「ありません」と、語気を強めた。

 

【続く】