タイトル: バロック音楽が大豆の子守唄
福井人: 藤嶋 芳雄さん (藤嶋とうふ店)
会える場所: あわら市

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今から約10年前、高校の卒業式も終わり、大学進学のため福井を離れる直前だった。離れ離れになる友人達との高校最後のお泊まり会。実家がとうふ屋を営んでいる友人宅で、こたつに入りながら食べた、あの湯どうふ。湯どうふをおかずにご飯を3杯も食べた。
10年経った今でもあの味を思い出すことがある。そんな豆腐を作った職人さんに、初めて出会った。

場所はえちぜん鉄道「あわら湯のまち駅」の裏通り。正面から看板は見えない。
目印はカフェ「コリーニャ」。その店の厨房からさらに奥に入ると・・・いた。
彼があの豆腐を生み出した職人だ。白髪でキリリとした印象の藤嶋芳雄さん。あえておやじさんと呼ぼう。おやじさんに話を聞いてみた。

おやじさんの朝は早い。日も明けていない早朝3時半、豆腐作りの一日が始まる。
おやじさんが作る豆腐の特徴は「かどの立たない味」だ。かどの立たない味とはなんだろうか。
約10年ぶりにあの豆腐をごちそうになった。うん、美味い。懐かしい感じとほのかに残る大豆の味が心地よい。実はこの豆腐の原材料である大豆の寝かせ方には、おやじさんのこだわりが隠されている。

「バロック音楽」という言葉をご存知だろうか。
16世紀末から18世紀にかけてのヨーロッパで、感情に則した表現が特徴とされている音楽である。そのバロック音楽を大豆に聴かせながら寝かせているという。

おやじさんは淡々と語った。「音楽を聴きながら作業すると人間も気持ちいいだろ、牛が音楽を聴くと乳の出がいいっていう話も聞く。だから大豆も一緒じゃないかと思ったんだ。ラジオを流したこともあったし、ロックをかけていたときもあった。どの音楽もみんな味が違うんだ。その中でもバロック音楽を流したときの味が一番だった。」

作業場には、すでに明日の豆腐用の大豆が水に浸かっていた。
この大豆も、バロック音楽を聴いて気持ちよく寝かせられていたのだろうか。こだわりが隠されたこの豆腐とおやじさんに、一度会いにいっていただきたい。


(取材・執筆: 上田剛志)

≪参考≫

藤嶋とうふ店
TEL:0776-77-2332
住所:福井県あわら市二面33-2-3
営業時間:11:30~18:00(火曜のみ~15:00)
定休日:水曜・日曜
Web: http://fujishima.ocnk.net/

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