本屋「UNLEARN」は、開店して１カ月が経ちました。

本来ならば店舗完成後すぐにでも、プロジェクト終了のご報告をしたかったのですが、ひとつには、開店後の忙しさからなかなかまとまった時間が取れなかったこと、そして、もしご報告するのであれば、それがどのように活用されているのか、これからどういう可能性があるのかということをいくらか見ていただきたい気持ちもあり、このたび、ようやく報告させていただく機会をつくることができました。

 

まず、次の写真をご覧ください。

 

みなさんのご支援を得て完成したギャラリーでは、開店の日から長田真作さんの絵本の原画展を行ってきました。原画を１枚１枚見ていくと、作者の筆の息遣いが感じられます。絵本の素晴らしさはもちろんですが、原画は見る者に絵本になる前のエネルギーを感じさせます。その「空気」が店内全体をおおっていました。

二週間後、実際に長田さんに来ていただきトークショーを行ったのですが、当日は人数がふくれ上がり、イスが足りなくなって隣のカフェから借りてきてなんとかしのぐほどの盛況ぶりでした。

 

 

このように、第１弾は、絵本の原画展でスタートしたのですが、これから写真展や器の展示販売会なども計画しており、ギャラリーの存在が「本屋」を別の角度から活性化してくれるのではないかと思っています。

 

次に、ギャラリースペースの延長線上にある古本コーナーを見ていただきます。

 

 

本には、新刊の良さや古本の良さというものがあるように思います。

私たちは、時には毎日の慌ただしさから束の間解放され、時間が止まったような場所で、何十年経とうが変わらない大事なことを落ち着いて考えたいという気持ちがあります。そんな時には、この古書コーナーを眺めてみる。そこには例えば５０年前の本だってあります。その時代から現在までの歴史を思い、そしてその本の、前の持ち主を想像したりしながら「時間の厚み」の中で、来し方行く末を考えたりもします。

かと思うと、もう一方で私たちは「今」というものを新鮮に切り取ってあるような刺激のある本を読みたいときもあります。そういうときには、新刊本を、その装丁の斬新さも含めて手に取って見る。

私たちの毎日は、この「不易と流行」という二つが常にバランスを取りながら、暮らしをふくらみのある生きいきとしたものにしてくれています。その二つの時間が、この１２坪に満たない空間には流れていると思うのです。

 

先日、あるお客さんが「同じ棚なのに、この前来た時と本が変わってる」と、いい意味で驚かれている姿をお見受けしました。私は、この本屋をそのような「生きた空間」にし続けていこうと思います。そのことが、ご支援くださったみなさんに対する感謝の気持ちになるのではないかと思います。

ご支援くださったみなさん、どうかご来店下さり、おおいに店主に対して注文をつけてください。私も「街の本屋」の名に恥じぬよう努めていこうと思います。

 

改めまして、このたびの「隠れ家のような街の本屋」プロジェクトに対してのご支援、ほんとうにありがとうございました。

　　　　　　　　　　　　　　本屋UNLEARN　店主　田中典晶