夜の世界で孤立・困窮している女性たちに、必要な支援を届けたい

こんにちは。風テラス事務局の米盛です。

 

もうすぐ年末ですね。私は、昨年秋から本格的に風テラスに関わり、あっという間に１年が経ちました。ボランティアで活動に参加したいとメールしたのが始まりで、最初に任せられた仕事は「食料支援」でした。

 

いまでは、風テラスの重要な柱となっている食料支援ですが、当時は供給も不安定で、発送ごとに充実度に差があり、皆さん不満を言わずによく受け取ってくれたな、と思っております。

 

そこで今回は、食料支援と私の話をさせていただこうと思います。よろしければお読みください。

 

まだ夏の暑さが残る1年前の秋、フードバンクに食品を調達しに行くのが最初のミッションでした。

 

「レトルト食品は体に良くないよ」「生鮮品も消費してほしい」とご意見をもらいながらも、「いつでも食べやすいもの」「こんなものを食べてみたかった」という目線で食品を選ぶことを心がけました。

 

そもそも炊飯器がない、調理器具がない、料理を作る気力がない人も多く、まずは手軽に食べられるもの、次に心が落ち着いたらちょっと調理してみようと思うもの、をうまく組み合わせるように考えたりしました。

 

ただ、希望者があまりにも増えたため、月に数人分のフードバンクの食品だけでは賄えず、昨年末から皆様のご寄付や助成金を活用しながら食品を購入することになりました。

 

子どもたちがいる世帯にはホットケーキミックスやカレールー、単身女性にはコーンスープの素やグラノーラ。丸い缶入りクッキー（2段重ねのやつ！）も、絶対に喜ぶと思い、奮発しました（といっても今は1缶500円くらいで買えます）。また、キティちゃんなどのキャラクターふりかけは、食べるたびに風テラスのことを思い出してくれるんじゃないかと思ってよく買いました。

 

 

食品を送るための段ボールを調達するのもコツがありました。まず、丈夫であること。
スナック菓子の段ボールは強度が足りないので、お酒やジュースなど重量物が入っていた段ボールがベストです。

 

ただ、強度とサイズ感がいい段ボールの中には、「洗剤」と「ペット用品」が結構な確率で存在します。洗剤も洗濯洗剤ならギリギリＯＫですが、トイレ用洗剤だとアウトじゃないか、、、、キャットフードの箱に食品が入っていたらどう思うだろう（動物好きの方ならいいのですが）、、、、

 

なかなか段ボール選びも奥が深いんですね。

 

今ではスーパーに行くたびにハゲタカのような目で段ボールコーナーを見ているので、今年度中には、段ボールを提供してくれるお店を見つけて段ボールウォッチャーを卒業したい、と考えています。

 

 

また、食料支援を担当した当初から試みたのが、メッセージカードの同封です。

 

最初こそ自分だけで書いていたのですが、「これは風テラスのみんなで関わっていくことが大事じゃないか」と伝えたところ、遠方にいるインターンやボランティアのメンバーが我が家にメッセージカードを送ってくれるようになりました。

 

手書きのカードで膨らんだ封筒が届くと、心がほっこりして、ものすごいパワーが出ます。食品を詰めて送る作業は孤独ですが、心のこもったメッセージカードが手元にあると、みんなのパワーを注入するぞ、と気持ちが強くなります。

 

風テラスのベテラン相談員の方々は、相手の顔が見えないLINE通話の相談であっても、スマホの向こうの相談者にパワーを送るんだ、と言います。私たちを頼ってきてくれた女性の生活すべてを立て直すお手伝いはできませんが、「応援しているよ」という気持ちは伝えることができる。見えにくい支援に輪郭を与える、そのひとつが食料支援だと感じています。

 

 

そして、食料支援も本格化から1年半が経ち、じわじわとその成果が表れてくるようになりました。具体的には、食料支援を続けてきた方から「相談したい」と声が出てくるようになったのです。

 

食料だけをもらう、というのは、多くの人にとっては「納得いかない」ことだと思います。かくいう私もそういう気持ちがありました。相談もしないで、食べ物だけほしいなんて都合が良すぎる、と。

 

ただ、もし自分が反対の立場だったら。

気力も体力もない、でも食料がない中で、窓口に事情を説明して、借金を整理して、職業訓練もさせられて、、、、。厳しい世の中ですよね。

まずは、ごはんが家の中にあること。ホッとしたいなと思ったときにお茶のティーパックが一袋でもあること、そういう環境が整っていく中で、人は人に頼ってみることを考えらえるのではないかとも思います。

 

 

風俗で働くというのは、一気に稼げるときもあるけれど、収入がゼロになっても誰も助けてくれない弱肉強食の世界です。ですが、心身に問題を抱えた人、お金の必要に迫られた人、いろんな事情がある人がこのハードな世界で取り残され、風テラスの窓口にやってきてます。

 

「所持金2000円」「1日1食にすれば3日もつ」「水道は出る」。

 

現代の日本のことなのか、にわかには信じられないメッセージばかりなのですが、多分ほとんど事実だと思います。

 

見通しが甘い、計画性がない、などいくらでも心配な点はありますが、まずはごはんを送ること。それが支援の最初の一歩であり、風テラスがこうやってすぐに手を差し伸べられるのは、ほかでもない皆さんからのご寄付があるからです。

 

今回ご紹介したように、毎月ワンコインから数万円までお寄せいただいている皆様の幅広いご支援は１円も無駄にすることなく、今日も女性たちの生きる希望につながっています。あらためてこの1年のご支援に心から感謝し、スタッフ、相談員一同この年の瀬を駆け抜けていきたいと思います。

 

 

 

＜11月の相談＞

累計203名
累計2069名（2022年1月～11月末）

 

●11月の食料支援
のべ25世帯（山口１、大阪２、神奈川５、東京６、埼玉１、茨城２、福島１、宮城１、岩手１、青森１、北海道４）

 

●インターン新メンバー３名きたる！

 

最近の風テラス、インターンやスタッフの応募が相次いでおり、研修や面談で多忙という嬉しい日々が続いています。
「以前から風テラスのスタッフに憧れていた！」という方、ソーシャルワーカーの仕事に関心を持たれている学生さん、看護職のご経験を生かしたいという希望者さんも来ております。メンバーが増えること＝引き出しが増える、支援の幅が広がることにつながっているので、多くの方に参加してもえれば幸いです。

https://futeras.org/2096/

 

● ヒメヨミコラム「風テラスに相談しよう」第15回を公開！
 

今回のテーマ：お店との契約でトラブルを回避!　「入店の心得」教えます

 

風俗の世界ではお店とのトラブルが本当に多いです。その多くは不当な罰金制度などが盛り込まれた契約内容を読まずにサインしていた、そもそも契約書を交わしていない、という事情が背景にあることも多いです。

そこで、風テラスの弁護士が監修した「業務委託契約書」のテンプレートをコラムに合わせてHPにて公開しました！フリー素材なので、どんどん周知していただければ幸いです。お店側が使用するのもOKです。

 

⇒詳細はこちら　https://www.r-30.net/column/archives/4639

 

●理事長・坂爪真吾の月刊風テラスを公開しました！

 

11月の風テラス、実はすごいスピードで躍進しまして、今回書ききれなかった分も含めてnoteの月刊風テラスにてまとめてあります。どうぞご覧ください！

 

ファイザープログラムの助成対象に選んで頂きました

（月刊風テラス：2022年11月号）
 

●年末に向けて新規のマンスリーサポーター180名を目指しています！

 

12月9日現在、READYFORのマンスリーサポーターは158名（メッセージ186名）に達しております！他サイトでの継続寄付を合わせると200名超の方々に毎月支えられております！すごいことです。

 

また、単発でご寄付を寄せてくださる方もいらっしゃり、本当にありがたく思っております！

 

今回書かせていただいたように、風テラスへのご支援はすべからく風の世界の女性を支えるために活用しています。ただ、どうしても相談支援というプライベートに入る活動ですので、当事者の様子が見えづらく、支援の中身に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。2年前ですが、風テラスの相談員の声がこちらの記事にまとめてあります。今も同じマインドで相談員は関わり続けていると感じておりますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。

 

年の瀬にかけて、本当に困り果てた人が「助けてください」と相談してくることが増えています。まだまだ休むわけにはいきませんので、引き続き皆様の応援を胸に頑張ってまいります。

 

（風テラス事務局・米盛菜美）