こんにちは。京都市立芸術大学音楽学部教授の柿沼敏江です。

 

1970年大阪万博の鉄鋼館は熱気に包まれていました。作曲家の武満徹が音楽監督を務める現代音楽のフェスティヴァルがそこで行なわれていました。鉄鋼館のロビーには金属でできた花のようなオブジェが所狭しと並べられていました。それが音を鳴らすことのできる音響彫刻であることは、コンサートで演奏されてはじめて分かりました。

 

それは武満徹作曲の《四季》という作品で、聞いたことのないような奇妙な音が鳴ったり、静まったりしながら続いていき、そしていつ終わったのかも分からない不思議な空間を体験しました。

 

あのオブジェはどうなったかと思っていたところ、万博の片隅に残されていたことが分かりました。そしてそのいくつかが四〇数年を経て蘇りました。しかも、そのうち2基が私の住む京都で修復されるとは、何という不思議な巡りあわせでしょう。

 

京都市立芸術大学で修復された「桂フォーン」

 

左から、カタロニア協会会長、永田砂知子、マルティ・ルイツ、柿沼敏江

 

 

まるでタイムマシンで運んだかのように、あのときとそっくり同じ音響彫刻が輝いていました。

 

まるでマジックのようでした。

 

 

2017/04/26 京都市立芸術大学音楽学部教授 柿沼敏江