ちょうど45年前、昭和48年(1973)12月10日、適塾記念会主催の適塾記念講演会にて作家の司馬遼太郎が「歴史と人間」という講演を行いました。

ここで司馬は、歴史の転換点は人物の魅力、その人が出すある種の放射線が作用するとし、緒方洪庵は「平たい心」を持ち、そのような放射線を出した人物だったと評価した。なお司馬の洪庵評は「世のためにつくした人の一生ほど、美しいものはない。ここでは、特に美しい生がいを送った人について語りたい。緒方洪庵のことである。」との一節に始まる「洪庵のたいまつ」に凝縮されています。昭和64年(1989)度用小学5年生の教科書に掲載され、現在は『二十一世紀に生きる君たちへ』(世界文化社、2001)に併載されています。

この講演は適塾記念会および大阪大学の適塾の保存・顕彰事業にとって、画期的な意義を持っています。当時、適塾建物は老朽化と周辺地域の都市化で、存続すら危ぶまれる状況でした。前年に大阪大学内に適塾管理運営委員会が設置され、この講演を機に適塾記念会が十数年の休眠から復興したのです。以後、適塾の保存運動が地元自治体や市民を巻き込みながら展開し、昭和50-55年(1975-80)に解体修復工事が実施されました。

解体修復工事により洪庵時代の姿に復元され、内部の一般公開が開始され、現在に至っています。

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