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 ラグビー(スポーツ)を通じた国際貢献プログラムに対する様々な意見を伺いましたので、今回私の正直な思いを書かせていただきます。

 

 2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップや2020年に開催される東京オリンピックを契機として、スポーツを通じた国際貢献プログラムが創設されました。また、数多くのNGOが、主に途上国においてスポーツを通じた国際貢献プログラムを実施しています。私はそれらのプログラムに参加するだけでなく、要望調査や計画立案などを通して少なくないプログラムに参画してきました。例えば、インド、スリランカ、タイ、フィリピン、ラオスといった東南アジアや、時には中東の難民キャンプでのプログラムを策定し実際に足を運んだこともあります。プログラムの目的はラグビーの強化や普及にとどまらず、異文化(宗教も含む)理解、ライフスキル養成、ジェンダー不平等の是正、ストレス発散による暴力防止など様々でした。私が参画したプログラムだけで、前述の目的を完全に達成できたとは決して言えませんが、ラグビーを活用して楽しい時間を提供しながら参加者に課題に関する気づきを提供することで、より良い社会の実現にたとえわずかであっても貢献できたと思っています。

 

 

 私のように(遠慮がちにでも)スポーツが社会的課題を解決できるという主張がなされる一方で、その主張への批判もあります。たとえば、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)における主要課題である貧困を、果たしてスポーツが解決できるのかという疑問です。正直にお伝えするならば、スポーツだけで社会的課題を解決することは難しいと私は思っています。しかし、貧困という複雑な課題の克服に唯一の解決策がないことに鑑みると、複雑な社会的課題を解決するためには多様な主体が様々な方法を用いながら協働し解決を試みる以外に方法がないように思います。そして、効率性を求める近年の国際協力を取り巻く環境が、短期間のうちに効果が出る取り組みへの偏重を招くという指摘がある中で、スポーツを通じた国際貢献プログラムを進めることは、ひとつの解になるように思います。その理由は、短時間では達成が困難な上に、その変化を数値化することが難しいものの、人の内面を変化させることで社会的課題を解決できる可能性を持つ方法としてスポーツが期待されているからです。このように考えるならば、スポーツ(ラグビー)が人の内面にポジティブな影響を及ぼすと信じる私たちが、スポーツの特徴を活用して社会的課題を少しでも是正することを目指し歩みを進めることは、複雑な社会的課題を克服するためのひとつの方法になるのではないでしょうか。


 

 次に、本当にスポーツが参加者の内面をポジティブに変化させることが出来るのかという議論があります。スポーツ参加者が「スポーツマンシップ」や「フェアプレイ」といった社会的価値をプレイを通じて身につけることが出来ると考えられている一方で、スポーツをプレイしているにもかかわらず暴力や薬物などに手を染めて反社会的な行動をとる選手がいることも事実です。この点は、スポーツは参加者の内面を変化させることが出来るかもしれないが、その変化は「時と場合による」ということだと思います。私はスポーツをプレイするだけで聖人君子が自然と生まれてくるとは思っていません。それどころか、スポーツの活用を誤ると危険な人物を生み出してしまう危険性があると思っています。このようなスポーツの危険性を知るということは、実はスポーツを活用して参加者の内面変化を試みる際の基盤を整えてくれます。すなわち、スポーツを活用する場の文脈に応じて、スポーツを適切に活用しなければならないという用心深さを私達に与えてくれるのです。

 

 

 他にも私達が進めているスポーツを通じた国際貢献プログラム(インドとスリランカの国際親善試合の開催)に対するいくつかの批判が考えられます。思いつくままにあげると、「世界には他にも重要な課題がある」、「なぜその国を対象とするのか」、「なぜその対象者なのか」、「対象者の数が限られている」などです。これらの批判に対しては、実は返す言葉もありません。しかしながら、これらの批判に対して、完璧な解を得ることは不可能であるような気もします。仮に完璧な解を得ることが出来るとしても、その解を得るまでに一体どれくらいの時間がかかるのでしょうか。今回、インドとスリランカの若者たちによる親善試合を開催したいと願うインドとスリランカで活動するJICAの青年海外協力隊ラグビー隊員、そして、その思いを後押ししたいインドやスリランカそして日本のJICA関係者とラグビー関係者が集まりました。そして、この親善試合に参加して異文化を理解するきっかけをつかみ、国際的視点から物事を捉える能力を獲得し、人生を切り開きたいというインドとスリランカの若者がいます。このように同じ志を持った仲間が集まり、それを求める友人がいる「今」、私達は今できることを精一杯前に進め、社会的な課題の解決に少しでも貢献たいと強く思っています。

 

 スポーツだけで社会的課題の解決は困難ですし、時にはスポーツが反社会的な選手を生み出す要因となることもあります。また、もしかすると良いプログラムを実施する方法が他にあるのかもしれません。しかし、熱い想いを共有する仲間が集まった「今」、私達はラグビー(スポーツ)を活用したより良い社会の実現に向けてインドとスリランカの若者たちの親善試合を開催したいと強く思います。

ご支援よろしくお願いいたします。

 

一般社団法人 子どもスポーツ国際交流協会

 代表理事 向山昌利

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