支援総額
目標金額 650,000円
- 支援者
- 73人
- 募集終了日
- 2015年12月17日
9風の物語2____旅の途中/五香とピータン豆腐(前編)
嵐山新地からほど近い、小樽 花園銀座商店街にある中華『五香(ウーシャン)』さんの記事を僕は小樽移住後の二十数年のうちに三度書かせてもらった。
最初はまさに二十年以上前。
店主の小関さんが若かりし頃、東京に次いで九州での修行中に見染めた奥様を連れ帰り、一緒に小樽で開業したのが三十歳の年。それから今年で四十七年。
二度目の取材は七年ほど前だろうか。
五香の隣で八十年営業した銭湯が廃業する時のことだった。
一度目の取材からしばらくして、五香は取材を受けない店になった。
その後も客として通い続け、カウンターでビールや中国酒を注文すると、いつもそっと何かしらサービスの小皿が差し出されるようになっていた。
三度目は三年前になる。
だから二度目と三度目は「あんただから特別に」の取材だった。いつもいつも僕の頭にあったのは、僕が書いたことによって、これまで知らなかったお客さんが殺到して小関さんを戸惑わせたり、常連さんが嫌な思いをしやしないかということ。
愛するがゆえに人に伝えたい。
愛するがゆえに誰にも教えたくない。
毎度狂おしく思いながら、どうしてもまた物書きの性にとらわれる。
三度目の取材からほどなくして、僕は自分の店を花園は嵐山新地に開くことになり、もしもそんな日が訪れたらぜひとも提供してたいとかねてから思っていた品書きの食材の相談を小関さんに持ちかけた。
東京で最初に勤めた広告会社から徒歩圏内にあり、上司たちによく連れて行かれた随園別館という中華料理屋で惚れ込んだ「ピータン豆腐」という逸品だった。
相談の甲斐あって、僕が所望したピータン、干しエビ、搾菜を小関さんが自分の仕入れと合わせてとってくれることになり、念願叶って風の色流のピータン豆腐を提供することができることになった。
開業してしばらくした頃、あの星野が小樽で店を始め、随園別館仕込みのピータン豆腐を出しているらしいと当時の上司たちの間で噂になった。それがきっかけとなって、今はばらばらの環境で活躍しているかつての三人の上司たちが実に久しぶりに師走の随園別館に集合して懐かしい味に舌鼓を打った。
そしてその席の紹興酒の勢いで、いっそのこと三人でけーすけんとこに押しかけて、あいつ流のピータン豆腐をご賞味してやろうじゃないか、ということに。翌二月の雪深い小樽嵐山新地に、二十年前に卒業した会社の三人の上司たちが集ってくれて店主を泣かせた。
(10に続く)
リターン
3,000円
お手軽支援コース
・サンクスレター
- 支援者
- 11人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年2月
10,000円
<自宅で風の色コース>
・サンクスレター
・お店に支援者のお名前を記載させていただきます。
・オリジナル吟醸酒 風の色の贈呈(※ 富良野の名店「くまげら」の森本店主との三十年のご縁で生まれた、店主の醸造プロデュースによる、弊店のみで賞味いただける稀少な吟醸酒です)
- 支援者
- 29人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年2月
10,000円
<風の色満喫コース>
・サンクスレター
・お店に支援者のお名前を記載させていただきます。
・お店でのご飲食券4,000円分
- 支援者
- 19人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年2月
30,000円
・サンクスレター
・お店に支援者のお名前を記載させていただきます。
・オリジナル吟醸酒 風の色の2本贈呈(※ 富良野の名店「くまげら」の森本店主との三十年のご縁で生まれた、店主の醸造プロデュースによる、弊店のみで賞味いただける稀少な吟醸酒です)
- 支援者
- 15人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2016年2月