金森香(企画・プロデュース)

 

これは「アーカイブプジェクト」なのか?発起人に名を連ねておきながら、いまだその言葉になんとなくしっくりこないでいる。

なぜなら、きぐちさんのいくつかの作品は、「搬入プロジェクト」しかり、「百人斬り」しかり、何かの動きを誘発する仕組みみたいなところがあるからだ。

「台本」が存在しそうな演劇的な作品でさえ、役者から沸き起こった(状況のフレームワークはきぐちさんが設定している範囲の中で)

言葉が台本になっていることも多々あり、「蟹と歩く」(2017)にいたっては、最終的に本人はこの世にいないなか、完成をみた作品である。

今回のプロジェクトでも、“戯曲”ではなく、「“上演台本”を編纂する」としているのは、そういった側面を現してもいる。

 

いくつかの記録はもちろん、ゲームの勝敗記録や年表(きぐちさんは年表や図を書くのも好きだったです)のように、=過去にあったものの記録といったアーカイブっぽいもの、にもなるかもしれないけれど、個人的には、彼が作ろうとしていたゲーム(のようなもの)のルールの行間やヒダヒダ柔突起みたいなものがまだまだ謎めいていて、もっと探りたい思いだ。

 

「100人斬り」のための家系図

 

ところで、このプロジェクトを立ち上げる背中をおしたのは、様々な仲間・まわりの方々が、きぐちさんの作品をなんらかの方法で形にしたい、という声である。

そういう一つ一つを実現する中で、アーカイブらしきものが立ち上がるのかもしれない、とも考えているが、網羅的なアーカイブ作成はいまのところの直近の目標ではない。大切なのは、いま生きている誰かが、きぐちさんと(この世にはいませんが)こういうものを作りたい・こういうものを世に問いたい・もう一度彼が何を考えていたか確認したい、といった意志=創造意欲や探究心とか、だ。それはいろんな人の心の内にあるものと思う。このクラウドファンディングがそういうことを促進するきっかけのいっこになればと願います。

 

真っ先に本の企画を申し出てくださった松本弦人さん、生前の大切な約束を形にしたいという思いを絶やさないでくださった能勢陽子さん、「蟹と歩く」上演台本をまとめようよ!と声をあげてくれた佐藤恵さん、主宰が死んでしまったのに「搬入」をやってほしいといってくださったチンポムさん、意気消沈していた我々を励まし“搬入物体”を製作・搬入してくれた仲間、いつも我々をあたたかく迎え入れてくれる木口家のみなさん、そして、岡村滝尾さん、このプロジェクトをあなたが隣にいない中実行することが一度は想像できなくなりましたが落としそうになったバトンをみんなで受け取り、気合でもうちょい走ります。急にバタバタと動き始めたのにも関わらず、快く賛同人として支えてくださる周囲の方々にも、本当に、感謝いたします。

 

きぐちさん、まだまだ楽しい時間を、ありがとうございます。

みなさまどうぞ、よろしくお願いいたします。

 

「100人斬り」(2009)

 

金森香

1974年東京都生まれ。広報・プロデューサー。出版社リトルモア勤務を経て、2001年〜2017年ファッションブランド・シアタープロダクツを設立し取締役・広報を務めた。「悪魔のしるし」初代制作→幽霊部員→現・悪魔のしるしの生き残り。

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