こんにちは。田中です。

 

このプロジェクト開始直後に、近しい人から「新着情報をマメに更新しておくといいよー」とアドバイスをいただきました。

 

気軽な気持ちで書き始めたら、外国にルーツを持つ子どもたちについて、伝えたいことや、知っていただきたいことが山のようにあふれてきて、気がつけば今日までに41件の記事を皆さんにお届けしていました。

(そのうち2件はスタッフの藤巻と福岡が担当してくれました)。

 

本来、私の筆の進みは非常に重たくて、かなり時間をかけて1つの文章を書くタイプなのですが、皆さんの応援の声に背中を押していただき、1本の記事を時に自分としては驚くべきスピードで書き上げる「神体験」が何度もありました。

 

また、記事を読んで下さった方々から、よく伝わってきた、わかりやすかった、などの感想をいただいたこともあり、お世辞だとしてもうれしくて、更新し続けました。

 

 

<新着情報更新へのこだわり・・・その理由は>

 

私がこの「新着情報の更新」にこだわったのは、外国にルーツを持つ子どもたちが置かれている現状や課題が、彼らとかかわり始めて6年たった今でもほとんど変化することなく(小さな前進はいくつかあったものの)、解決するどころか、新たな問題が次々と現場で起こり続けているためです。

 

この状況を打破したい
子どもたちの時間は止まらない

 

そんな勝手な「使命感」にかられながら、少しでも普段は外国にルーツを持つ子どもについて考えたことがなかった方や、初めて知ったという方へ子どもたちの存在を知らせたいと、途中で何度も子どもたちの「代弁者」には決してなれない自分にぶつかりながら、パソコンに向かって記事を書いてきました。

 

どこまで伝えられたのか不安も残りますが、外国にルーツを持つ子どもが抱える課題と現状について、一通りのことは記事にまとめられたのではないかと思います。

 

明日、9月26日(土)の午後11時をもって、このプロジェクトは終了します。おそらく、長い新着記事を更新するのは、ひとまずこれで最後になると思います。支えて下さったみなさん、本当にありがとうございました。

 

 

<最後の記事で、希望を描きたい>

 

これまでの41件の記事の大半で、私は外国にルーツを持つ子どもたちの現在と過去に起きていること、起こったこと、起こり得たことについて書きました。この記事では、「外国にルーツを持つ子どもたちと共に生きる、日本社会の未来」について書いてみようと思います。

 

今、日々たくさんの困難に囲まれている外国にルーツを持つ子どもたち。

 

もし、その困難がすべて取り除かれ、外国にルーツを持つ子どもやその家族を始めとする多様な人々が日本で活き活きと暮らせるようになったとしたら…。

私たちの身近な地域ではどのようなことが起こるでしょうか?

 

たとえば2015年現在、私たちのスクールで学んでいる子どもたちが大人になり、日本社会で自立し、新たな家族を築き、子育てをしながら活躍する20年後、2035年の未来では・・・。

 

 

(写真:今日、ふらっと遊びに来てくれたスクール卒業生の二人。イランにルーツを持つ右側の彼と、中国にルーツを持つ左側の彼は大親友。彼らが「おじさん」になった2035年はどんな社会であれるでしょうか)

 

外国にルーツを持つ子どもが暮らす、理想の未来。

 

<学校>

 

その未来で、外国にルーツを持つ子どもたちは学校生活を楽しく過ごしています。
日本語がまだわからない子どもたちのために、年少者向け日本語教育の専門家が、担任や多文化スクールコーディネーターと共に、すべての公立学校内に設置されたJSLクラス(Japanese as Second Language)で子どもの学びを支えています。

 

外国にルーツを持つ子どもたちは一般学級に在籍しながら、必要に応じて500~600時間程度の日本語学習をJSLクラスで受けることができます。

 

一般学級では多様な背景を持つ子どもたちが「ファシリテーター」となり、1人1人の母語や文化、違いについて学びながらお互いを認め合うための授業が実施され、「人権感覚」がはぐくまれています。また、外国にルーツを持つ教員も増え始め、高い多様性を持つ新しい社会に活躍する子どもたちの育成に取り組んでいます。

 

時に、誰かが外国にルーツを持つ子どもや、他の人と「違う」部分を持つ子どものことをからかったり、いじめたりするようなことがあっても、それ以外の大半の子どもたちや周りの大人は、マイノリティの子どもたちを助け、守り、不正義に立ち向かう姿を見せてくれます。

そのことを知っているので、外国にルーツを持つ子どもたちは学校で安心して過ごせます。

 

<地域社会と行政>

地域では、外国にルーツを持つ家族を支えるための専門の窓口が行政に開設され、必要に応じた多言語相談サービス、多言語での情報提供などを行っています。 また、20年前に子どもだった「外国にルーツを持つ大人」たちが一定の割合でどの自治体にも雇用され、行政サービスに従事し、外国にルーツを持つ家族特有のニーズにこたえています。病院では、子どもの頃から日本で育った「外国にルーツを持つバイリンガル看護師や医師」が勤務し、難しい怪我や病気でも安心して治療を受けられる体制が整備されました。

 

行政や学校から提供される情報の多くが、NPOとの協働で実現した「多文化・多言語広域支援チーム」によって各言語で共有され、外国にルーツを持つ自治体職員や学校教員との連携を図りながら、教育、医療、防災などを多面的にバックアップしています。

 

これにより、来日したばかりで日本語のわからない外国人家庭も安心して子育てをすることができるようになっています。

 

日本は「外国人にとって生活しやすい、安全で安全な国」というイメージが浸透し、各国から移住を希望する人々が集まり始めました。移民の受け入れに要する一連の手続きも「外国にルーツを持つ公務職員」が対応することで、混乱を最小限に抑え、日本の立場を守りながら手続きを進めることができています。

 

外国にルーツを持つ大人が様々な職域で活躍するようになり、新たに来日する外国人移住者や外国企業、観光客などに対し、それまで障壁となっていた言葉の壁が低くなったことで、新たなビジネスチャンスが大小さまざまなレベルで生まれているようです。

 

外国にルーツを持つ子どもたちは、そんな大人たちの活躍を目の当たりにし、自らのルーツに誇りを持ちながら、未来へのさらなる希望を描いて、今日も元気に学んでいます・・・。

 

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理想的すぎるでしょうか? 

 

でもこんな日本社会に、私は暮らしてみたい。
こんな理想のために、私は力を尽くしたい。

 

そして今回、このプロジェクトを通してつながることのできたみなさんと、外国にルーツを持つ子どもたちと、一緒になって未来図を描いてゆけたらと願っています。
 

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