皆様、いつも力強い応援をありがとうございます。運命のファンディング最終日まであと24日と迫りました。3,000万円のゴールを何とかクリアし、「夢の航海」を実現するため、引き続き皆様のお力添えを頂けますようお願い申し上げます。

 

さて、これまでこのサイトをはじめ、著書・講演・テレビ・ラジオなどを通じて、3万年前の世界とその探求の現状についてお伝えしてきました。しかしそれを重ねるうちに、鋭い質問や疑問を頂く機会が増えてきています。

 

例えば、

 「他の舟の可能性はないのですか?」

 「どうして帆を使わないのでしょう?」

 「3万年前の海流は、現在と違うのではないでしょうか?」

といった具合に。

 

そこで今回は、「もっと詳しいことが知りたい」というご要望にお応えするため、皆さまを “一歩ディープな”専門的論文の世界へご案内したいと思います

 

ご提供するのは、岩波書店の「科学」という雑誌に掲載された6つの論文で、皆さまに無料でお読みいただけるよう、私たちが出版社より版権を買い取りました!(元をとるためにも…)ぜひ!たくさんの方々に読んで頂きたいと思います(笑)。

 

雑誌「科学」は、「科学界と社会」を結ぶことを目的として1931年に創刊され(https://www.iwanami.co.jp/kagaku/)、専門家も読者であるため文体は少々硬いですが、その分、読み応えがあると思います。「やっていることの根拠をきちんと知りたい」という方は、ぜひご一読ください。

 

 

それでは6本の論文を2回に分けて、ご紹介します。初回の配信は、科学2017年9月号の特集「海原を駆けた旧石器人」(編集:海部陽介)に掲載された7本の論文のうちの、以下の3本です

 

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人類最古段階の航海――その謎にどう迫るか?
…海部陽介(国立科学博物館「3 万年前の航海徹底再現プロジェクト」代表)

 

● 要約

私たちホモ・サピエンス(現生人類)は、5 万年前以降にアフリカから世界中へと広がった。この大拡散を可能にした1 つの要因が、舟の発明による海洋世界への進出だった。最近の研究で、日本列島周辺が、そのような人類最古段階の海への挑戦の舞台の1 つであったことがわかってきた。

 

本稿では、手がかりの乏しい旧石器人の航海をどのように研究して解明するかについて考え、これを実験的に再現する「3 万年前の航海 徹底再現プロジェクト」を紹介する。

 

● 目次

人類の海洋進出 / 航海のはじまりと日本列島 / 旧石器人の航海の謎 / 5 つのアプローチ
(1)世界の舟について知る、(2)古代の航海技術発達史を吟味する、(3)丸木舟の起源と機能、(4)地元で得られる材料の吟味、(5)当時の素材加工技術 / 「3 万年前の航海 徹底再現プロジェクト」

 

 

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人類初期の舟技術――環太平洋地域を中心に

…後藤 明(南山大学人文学部教授)

 

● 要約

旧石器時代の舟の直接的証拠の発見はきわめてまれであり、絵画や模型など間接的証拠も同様である。西村眞次が記紀神話の記述から刳り舟、筏、獣皮舟ないし浮き、そして笊舟などの存在を推測している。対象となったのは旧石器時代よりずっとあとの時代ではあるが、筆者は、植物の多様性が高い日本列島周辺では、直接的証拠のある丸木舟だけでなく、もっと多様な舟が先史時代にもあったのではないかと考える。

 

旧石器時代の舟を推測するための条件は、旧石器時代に利用できた道具で製作可能であること、問題となっている地域で当時入手できた素材、そしてその地ないし類似環境における民族事例の存在するもの、などであろう。そこで本稿では、環太平洋地域を中心に原始的な舟の民族事例を紹介し、旧石器時代に存在した舟の手がかりを得られるか検討したい。

 

● 目次

原初的な舟:2つの原理 / 丸木舟(刳り舟)/ 獣皮舟/ 樹皮舟/ 草束舟や葦舟 / 筏と舟型筏 / オーストラリアの舟 / (コラム)星と神話と航海術

 


旧石器時代の渡海に,

使われた舟は何だったのだろうか?

 


 

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古代日本における帆走の可能性について

…横田洋三(公益財団法人滋賀県文化財保護協会)

 

● 要約

動力のない時代、船の推進力を得るには漕ぐかもしくは帆走となる。櫂は縄文時代の遺跡からも出土しており、最も原始的な推進具としてその存在を確認することができるのであるが、帆走となると資料が少なく検討もできていない状態である。

 

長時間の航行となる外洋航海には帆走がイメージされるのであるが、数少ない考古資料に文献資料を合わせて、その存在を検討する。帆走には技術的、構造的に必要とされる条件が多く、歴史的に突如として登場し、漕走を駆逐していったものではない。帆を駆使し海上を疾走することができるようになったのは意外と新しい。

 

● 目次

丸木舟 / 弥生・古墳時代の船 / 天智朝の船 / 平安時代の船 / 帆船の考古資料

 


推進力は帆(風力)か、

それとも漕ぎ(人力)か?

 


 

【その他の特集掲載論文】

科学9月号の特集には、ほかにも以下の4本の論文が掲載されました。ご興味のある方は、バックナンバーをお買い求めください。

 

● 世界最古の往復航海――後期旧石器時代初期に太平洋を越えて運ばれた神津島産黒曜石……池谷信之

● 縄紋時代の丸木舟……辻尾榮市 

● 近現代における丸木舟製作とその利活用……田口洋美

● 北方猟漁民が使っていた舟: 北東アジア・台湾・北アメリカの例……佐藤宏之

 

海部陽介(かいふ・ようすけ)
国立科学博物館・人類研究部,

「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」代表

 

本プロジェクトへのご支援は以下から

 

 

 

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