人類はまだ進化が足りない! 支援頂いた方へのお礼とご報告
2025年3月13日
人類進化は自然進化だった
――― クラウドファンディング 支援者へのお礼と最終成果報告
昨年2024年は、南アフリカで直立二足歩行をしていたアウストラロピテクスアフリカヌスの化石が発見されて百周年でした。300万年前に始まった直立二足歩行と、7万年前に生まれた言語との関係はまだ誰も明らかにしていません。
そこで私は2007年に最古の現生人類遺跡であるクラシーズリバーマウス洞窟を訪れて以来、ヒトの言語がデジタル進化であることについて研究を続けてきています。そこで人類進化の原点といえる化石発掘百周年にあたり、何か学術的な貢献ができないかと考えて、公募された研究集会や学会のなかでもっとも関連性が高いと思われた、第22回南部アフリカ古生物学会に参加することにしました。(9月8日から13日まで、南アフリカ共和国東ケープ州のグラフレイネットで開催)
申し込んだ演題は「直立二足歩行のカラハリ起源仮説」と「クラシーズリバーマウス洞窟で発掘されたオトガイ化石KRM-41815は、ヒトの知能がデジタル進化であることの証拠である」という2本でした。この研究発表をするためにクラウドファンディングを企画し、皆様のご支援のおかげで、結果的に、2024年8月28日に日本を出発し、9月15日に南アフリカを離れる18泊19日の旅程で、私と妻幸代、疾走プロダクションの原一男監督、助手の緒方玲香さんの4人で旅をしてきました。ありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
発表の準備と申込み、ホテルとレンタカーの予約、南ア政府の取材許可取得、4000kmにおよぶレンタカーの運転などなどの庶務・雑務をほぼ一人でこなしながらの旅行は、実に忙しくて、予想外の出会いやお土産をみつくろう時間もなく、実に余裕のない旅でした。途中でクラウドファンディングサイトでの活動報告も減少して、ご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。
ご支援いただいたお金は主に以下の用途に使いました。(レディーフォーを経由しないでご支援いただいた方のおかげで赤字にならずにすみました)
- 福岡ー南ア往復航空券 176,060.
- 現地滞在費 246,178.
- 南ア国内レンタカー 188,261. (ガソリン代通行料を含む。疾走プロと折半)
- 学会参加費 15,550.
小計 626,049.
これが最終報告ですので、いくつか気づいたこと、思ったことを記録に残しておきたいと思います。
1 カラハリ砂漠で直立二足歩行が始まった(環境適応)
カラハリ砂漠は、今から1億4500万年前の隕石衝突にともなって、ゴンドワナ大陸の地殻が割れて、海水がマントルと反応してマグマ爆発が起きて生まれた溶岩台地です。
400万平方kmにわたって、川も湖も存在せず、標高800~1200mに広がる「レコード盤のように平たい」(A. du Toit)溶岩台地で生きていくのは容易ではありません。その周辺で直立二足歩行を始めたヒトの化石が多数発掘されているのは、直立二足歩行がカラハリで始まったことを示しています。
平たいから少し視点を高くするだけで遠くを見ることができ、カラハリでマングースは二足立ちしてミーアキャットになりました。
1970年代にカラハリで生態観測をした学者であるオーエンズ夫妻の「カラハリが呼んでいる」(早川文庫)によれば、ライオンも、ブラウンハイエナも、厳しい生息環境のなかで家族を越えた相互扶助をすることが観察されています。ヒトが家族を越えて助け合うのも、カラハリで獲得したのだと思います。
アウストラロピテクスアフリカヌスも、我々現生人類も、平坦で大臼歯・小臼歯をもっています。この歯の形は、当時のヒトの主食が、サバンナで肉食獣に殺された草食獣の骨であったことを示しています。二足歩行は、骨をかかえて持ち運ぶうえでも有利でした。
昨年の旅では、ヨハネスブルグの近くにあるマロペンセンター、北方300㎞にあるマカパン渓谷、西方400㎞にあるタウングの三カ所の化石発掘地点を回りました。どこもカラハリ砂漠の周縁部にあたります。カラハリで二足歩行が始まったという仮説の裏づけを得ました。
こうして直立二足歩行の起源を仮説化すると、二足歩行化は環境適応にすぎず、進化と呼ぶほどのものではないことがわかりました。人類にとって本当の進化は言語獲得である。それは同じ南アフリカで、今から7万年前におきた。これは衝撃的な発見でした。
2 人類は音節を獲得して進化した(デジタル進化)
二足歩行になって、手が自由になり、石器や骨角器などの道具を使うようになり、初期旧石器時代が始まります。そして、今から30万年ほど前に、ヒトは火を自由に起こして調理するようになり、南アフリカで中期旧石器時代が始まります。
中期旧石器時代に、突如として石器が細石器化する時期があります。今から7万2000年前に始まったスティルベイ文化。その代表洞窟は、インド洋に面した海岸の断崖にあるブロンボス洞窟です。そして今から6万6000年前に始まったホイスンズプールト文化。この代表洞窟がクラシーズリバーマウス洞窟です。
このスティルベイ文化とホイスンズプールト文化は、石器の精密化をともなう連続的な発展です。スティルベイ文化はクリック子音の獲得、ホイスンズプールト文化は母音アクセントをともなう音節の獲得に対応しています。
重大なことは、音節がデジタル信号の要件「離散・有限・一次元」を満たしていることです。電気信号bitや生命情報を伝える核酸RNAも同じ「離散・有限・一次元」の条件を満たすデジタル信号です。デジタル信号のおかげで、ヒトの知能は、急速に進化を始めたのです。
その後、音節は、メソポタミア平原で文字へと進化し、20世紀のアメリカで電気信号bitに進化します。核酸のおかげでバクテリアが哺乳類に進化したように、音節のおかげで、ヒトの知能は、数十桁も複雑度を増しています。音節は二回の信号進化を経ることで、人類の集合的知能である文明が発展してきました。その出発点がクラシーズリバーマウス洞窟なのです。
どうしてクラシーズリバーマウス洞窟で音節を獲得したことがわかるかというと、そこで最古の発達したオトガイ(下あご)化石が発掘されているからです。下あごが下に突き出すことで、あごの下の皮膚が押し出され、肺の気道出口が食道の中ほどに下がることで、母音共鳴が生まれる声道が得られたのです。
我々は9月5日からクラシーズリバーマウス洞窟に最寄りのゲストハウスに3泊しましたが、3日とも快晴で、美しい日の出をみることができました。直前に同じゲストハウスに滞在していたウィッツ大学の考古学者から、激しく雨が降る時期だから注意するようにと助言をもらっていたので、滞在中の好天は天の神あるいは地霊が我々の滞在を喜んでいるように思えました。クラシーズリバーマウス洞窟を、ホモサピエンスの生まれた洞窟、ヒトが言語を獲得した洞窟と呼ぶことは正しいとあらためて思った次第です。
3 人類の進化は自然進化であり、いまも進化の途上にある
人類の知能の進化がデジタル進化であるということは、① ヒトの進化は自然に生まれたということです。人類は自然の一部なのです。そして、② デジタル信号である音節は、今から5000年前に消えない音節「文字」へと進化しました。おかげでヒトの知能は時空間を超えて共有され、世代を超えて連続的に発展しはじめました。これが文明の始まりです。20世紀に生まれた対話する音節「bit」のおかげで、我々は人類が過去に築いた知識に検索をかけられるようになりました。その結果、あらゆる知識をその誕生から再生的に学習できるようになり、知識に含まれた誤りを正せるようになりました。こうしてヒトはホモサピエンスとして生きるようになる最終進化の途上にあり、人類の文明はいよいよ完成するときを迎えています。
この発見を共有するために、学会に参加し、南アの学者と面談しましたが、誰からも異論あるいは反論を受けることはありませんでした。考古学者や古生物学者の専門を超えた仮説ですが、15年以上かけて人類進化の謎と取り組んできたデジタル言語学は、ようやく世界の人々にお伝えして、反論されないレベルに到達できたかなと思っています。今回、それを感じることができ、とてもよかったと思います。
今年は、星読みのルミナさんのサロンメンバーの方々を、ホモサピエンスが生まれた洞窟にご案内するツアーを企画しました。ツアー参加者のおかげで、我々の旅費もまかなう予定で、クラウドファンディングはいたしません。皆さまどうか、人類と言語の進化に思いを馳せ、これからさらに進化するために心身の鍛錬を怠らないようになさってください。




















