世界一のタオルについて質問をいただきました。それこそが、本書の重要なテーマです。ネタバレになるかもしれませんが、簡単に解説します。

 

欧米では、ホテル仕様の高密度の重いタオルが高級とされますが、綿花栽培にも洗濯にも大量に水を使うので、サスティナブルではないという視点があります。それなら、使いやすい小さいサイズのタオルで良いのでは?というのが一つ。

 

日本起点で世界的に流行しているフワフワでソフトなタオルは、無撚糸や甘撚りの糸で作られることが多いのですが、これは購入した時点が最高で使うほどに、綿が落ちてしまいます。

 

そもそもタオルは単糸をループに織るので、自然にループが撚り合わされ、ループが立ち上がり、それが弾力と心地よい肌触りを生み出します。しかし、撚りが甘いと、ループが立たず、ペタッとしたタオルになります。

 

フワフワ、ブワブワしたタオルは長持ちしないという意味でサスティナブルでない。

 

軽くてボリュームのあるタオルを作るために、中空糸を使うこともありますが、中空にするために使う水溶性の糸が生分解しにくく、海に流出するとヘドロとなり環境を汚染します。

 

結局、良い原料(綿花)を選び、余分な加工や化学物質を使わずに、使うほどに程よくループが立ち上がることで風合いが良くなり、長持ちするタオルが良い、というのが、モラルテックスの結論でした。この意見は世界の綿とタオルを熟知する森和彦さんの見解が中心になっています。

 

それでは、タオルに最良の綿花とは何か、ということですが、ループにハリを持たせるという意味で、綿花の繊維が太くて長いことがポイントになります。

森さんによると、アメリカのカルフォルニア州のサンホーキンスパレーのピマ綿が最も適しているということです。

 

そこで、サンホーキンスバレーに出掛けて、綿花栽培農家にも会い、畑も確認し、気候や品質も良いタイミングで綿花を買い付けました。通常、綿花を買い付けるのは紡績や商社ですが、今回は森さんのネットワークで特別に輸入しました。日本国内の紡績で、タオルに適した太さや撚り回数を指定して、糸にしました。最初は某タオルメーカーで試作しましたが、糸の良さが十分に出ません。

 

そこで、日本でも最高水準の技術を持ち、コシのあるしっかりしたタオルを作る、東京都青梅市のホットマンに糸を供給し、生産を委託しました。何度も試作を繰り返し、ようやく完成したのが今回のタオルです。森さんが見ても、「日本人が考える世界一のタオルにかなり近づいているのではないか」というところまできました。

 

しかし、世界で通用するかというと別問題です。まず、タオルの使い方が異なるのでサイズが異なります。風合いの好みもあります。ラグジュアリーという世界には独特の価値観があります。

 

これについては、書籍の中で、パリのケンゾー社に長く勤めた佐々木勉さんが詳しく語ってくれると思います。

 

こんな議論を何十時間も繰り返しました。正直な話、結論は出ていませんが、それを含めて皆さんに伝えるための書籍です。

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