私たちは、札幌の、みんなのことば舎という編集プロダクションです。

 絵本「ぼくのおとうとは機械の鼻」の制作をお手伝いさせていただきました。

 

 絵本の原案を、土畠智幸先生に見せていただいたのは、2014年1月のことでした。でも、先生は、2008年とずいぶん前から、物語の構想を練っていたそうです。

 読ませていただいた原案には、現場でたくさんの家族と触れ合ってきた先生だからこそわかる「きょうだいのリアルなきもち」が素直に書かれていて、1シーン1シーンごとに、胸に迫ることばがありました。「いつか、一冊の本にしましょう!」と言い合ったのを覚えています。

 

やがて、YeLLの活動が始まり、当社もお手伝いをさせていただくことになりました。

YeLLの取り組みの中には、「活動の存在を、たくさんの人たちに知ってもらう」という軸がありました。

すぐに「あの物語を絵本にしては?」という考えが浮かびました。絵本であれば、子どもから大人まで、たくさんの人に気軽に見てもらえると思ったからです。

 

ご厚意で作っていただいた1点もの。活躍しています。

 

 「ぼくのおとうとは機械の鼻」には、随所にこだわりポイントがあります。

 「文」は、小さい子どもでも読めるよう、かんたんなことばで書くことを心がけましたが、「機械の鼻」だけは、漢字にしました。「きかいのはな」では、人工呼吸器の雰囲気が出ないと感じたからです。文字ですが、「絵」という視点で捉えて、よみを振って漢字のままにしました。

 

 「絵」は、絵を担当した絵本作家・エアーダイブと相談しながら、先生からのアドバイスをもとに、実際の在宅医療の中に存在する出来事やシーンのエッセンスを入れ込みました。

おとうとの服についてるオレンジのボタンは、実は「胃ろうボタン」です。

 

オレンジのボタンは「胃ろうボタン」

 

 

また、訪問診療時に、スタッフはおにいちゃんをさりげなく気にしていますが、これは実際の訪問診療の現場でもよく見られるシーンの一つだそうです。

 最後のシーンは、よーく見ると、おとうとが涙を一粒の浮かべています。これは、感情の変化が出しづらい子であっても、心の中にちゃんと「思い」があることを表しています。

 車椅子は、当初は二輪で描いていましたが、おとうとの快活さを表すために、四輪にしたんですよ。

 

二輪が四輪になったいきさつは、原案者も今回初めて知りました。

 

わかりやすく、読みやすく。それと同時に、いろんなことを考えるきっかけを散りばめることや、「リアル」を盛り込むことにも、こころを砕きました。

 

たくさんの子どもたちに、この絵本を手にとってもらえたらと願っています。

 世界にはいろいろなひとがいること。そして、自分も含めてすべてのひとが「みんな、とくべつなひとり」であること。

この本が、そうしたことを知るひとつのきっかけになってくれれば、とてもうれしいです。

 

おとうと、編まれかけ。

 

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