東京二期会｜日本のオペラ文化を未来へ。コロナ禍の今、ご支援を

5月オペラ公演『セルセ』に出演する若手ソプラノ雨笠佳奈より、コロナ禍の中の不安を乗り越え、オペラ公演に出演へ向けてのメッセージを貰いました！

■ オペラ歌手になったきっかけ

初めまして。二期会ソプラノ会員の雨笠佳奈です。
小さい頃から歌うことが大好きで、お風呂場が私のステージでした。ミュージカルの世界に憧れて音大に入学いたしましたが、クラシックを勉強するうちにマイクを使わない生の声で全てを表現する声楽の魅力を発見し、オペラ歌手を目指すことになりました。
舞台には美しい音楽、衣装、舞台装置、現実とかけ離れた世界が広がっています。その世界に身を投じ、自分でない誰かとして生きることができるということにも魅力を感じています。母国語でない言葉をたくさん学ばなければならないこと、歴史や様式、歌うこと以外で学ばなければならないことがたくさんあり気が遠くなることもありますが、学んだことが自分の歌と結びついたとき、何とも言えない快感を覚えます。だからこそやめられません。

■ コロナ禍の葛藤

2019年にオペラ歌手としてデビューし、コンサートやオペラ公演で実体験を通して学び、これから自分の力で頑張っていくぞ！と意気込んだ矢先にこのコロナに見舞われました。
楽しみにしていた本番はいくつも潰れ、正直何もやる気にならず、練習しても歌う本番がない、この先のことを考える気にもならない、そんな日々が続きました。そんな時、御歳90になる祖母から「佳奈の歌が聴きたいわ」とメールが届いたのです。さっそく母のピアノ伴奏で録音し祖母に送りました。
そこから何かが変わりました。それまでは、自分のための本番、自分のために練習し、舞台で歌うという気持ちの方が大きかったのですが、その時誰かのために歌いたいという気持ちがとても大きくなりました。それから弾き語りをした動画を毎日一曲家族限定で公開したりして、少しずつ音楽に気持ちが戻っていきました。
オーディションや二期会の公演も少しずつ復活し、昨年の秋『トゥーランドット』の公演で合唱メンバーとして神奈川、大分、山形で出演しましたが、大千秋楽の山形公演では、声を出しての声援が禁止されているため、お客様が「Bravo!」と書かれた手ぬぐいを掲げてスタンディングオベーションをしてくださったのです。あれは、今まで舞台から見た客席の中で一番熱いものを感じました。
オペラの公演を待ってくれている人がいる、音楽で繋がる日が必ずまた来るということを実感した日でした。

■ 『セルセ』への思い、そして、これからの希望

二期会主催のオペラ公演にソリストとして参加するのは今回が初めてですが、早く稽古がしたくうずうずしています。コロナ禍になり、稽古もマスクをつけたままのため、歌いづらさやお互いの表情がわかりづらいという難点が多々あります。
ならば、稽古で我慢をした分それを逆手に取ろうじゃないかと！稽古で我慢をした分、本番はコロナ禍でなかった時の何倍ものエネルギーをお客様に届けられるのではないかと考えております。
躍動感溢れる生き生きとしたバロックの音楽、そしてコンテンポラリーダンサー、振付家として活躍されている中村蓉さんの「恋愛は生きる原動力」がテーマの演出のもと、声、身体、肉体から溢れ出る生命エネルギーに満ちた舞台をお届けいたします。
私は、「良い歌手だったよね」と誰かに言ってもらえる歌い手になりたいと思っています。そして何より、長く歌い続けていきたいです。「歌は心」。待っている1人でも多くの方に心からの音楽を届け続けたいと思います。コロナ禍になって、映像配信という今までになかった試みが多く見られるようになりました。それもまた新しい時代の中で、劇場へ足を運べない方々に音楽を届ける一つの手段として必要なものだと思います。
どんな時代、どんな状況下でも音楽と共に、生き続けていきたいと考えています。そのためにも、オペラ公演が開催出来るよう皆様からの応援をお待ちしています。

公演前にプレイベントに出演いたします。

『セルセ』公演の予習として、ご来場をお待ちしております。　
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＜ヘンデル『セルセ』公演 プレトーク＆コンサート＞
　　日時：2021年4月24日(土) 14:00開演（13:30開場）
　　会場：めぐろパーシモンホール 小ホール
　　料金：全席自由 500円（発売中）
　　出演：中村 蓉（演出家・舞踊家）
　　　　　雨笠佳奈（ソプラノ）、澤原行正（テノール）
　　　　　上尾直毅（チェンバロ）
ご予約･お問合せ：二期会チケットセンター 03-3796-1831
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