たくさんの方に支援していただいて、本当にありがとうございます。
今回の新着情報は一番みなさんから多かった質問 「なんで、そんなに頑張っているんですか?」 という質問にお答えしたいと思います。
この質問に答える前にしっかりとみなさんに伝えなければならないことがあります。今回のクラウドファンディングもそうですし、研究会がここまで充実した会になったのも「私が頑張っている。」のではなく、「研究会で活動している仲間達、消防だけでなく、医療関係者の方、自衛隊、警察、海上保安庁、市役所の防災関係の方など役場の方、消防団の方、大工さん、などなど、本当にたくさんの方が献身的に頑張ってくるている。」のです。私はその中でありがたいことに代表としてみなさんに情報発信をしています。私が個人名で褒められて、「私個人の力ではないのに・・・」と心が痛いときがあります。 たくさんの方々が頑張ってくれている、そんな中、私はなぜ頑張っているのか?というみなさんからの質問にお答えしたいと思います。 私は昔から研究好きだったところはありますが、今ほど元気に動きだすきっかけとなったことは二つあります。

 

〜熱くなる二つの理由〜

一つはアメリカの震災救助研修に参加させてもらったことです。様々な職種の方が合同で参加しようというプロジェクトの優秀な先生方のグループに「プラスされたおまけ」のような形で同行しました。 もう一つは救急隊員の方々に広くストレスについてアンケートをとって、調査した際にとても衝撃的な結果がでたことです。 まず、研究会の始まりですが、もともと消防活動や救急活動について数人で研究を行っていました。その頃、熱心に研究していたのが救助担架の設定角度に関する研究です。このことを書くとこれだけで話が終わってしまうので今回は研究会の輪が大きくなるきっかけとなったアメリカで経験してきた話を書きたいと思います。

 

〜アメリカで受けた衝撃と感動〜

今から10年以上前、平成18年にアメリカへ勉強をしに行くチャンスがありました。私はアメリカがなんでも優れているわけではない。アメリカが全て最先端ではない。と思っていましたし、今でもそのように思っているところがあります。しかし、11年前にアメリカで感じた衝撃と感動はとてつもないものでした。 研修は震災救助に関係するものです。この研修に参加したメンバーは日本の震災時の救命率を向上させようと動いていた医師、消防、警察救命士、海上保安庁レスキューなどの精鋭メンバーでした。そこに私はプラスアルファで行きたい方いますか?の枠で手を挙げさせていただきました。

この研修は私たち日本人チームのために用意されたものではなく、アメリカ国内の広域派遣隊(タスクフォース)に対する定期研修を一緒に受講させていただくというものでした。
研修でまず驚いたことが震災時に活動が困難になると予想されていることとそれに対応する技術がシンプルにまとめられていたことです。シンプルとはどういうことかと言いますと、特別な機材や高等な技術を使うのではなく、身近にあるものや単純な作業によって、高い効果が得られるように考えられていました。現場の隊員(9.11経験者)の声が訓練に反映されていました。特に救急の分野では逆さまになった状態での器具を使った気道確保や体幹側からの静脈路確保など、震災時の倒壊建物内における様々な状況で救命ができるように訓練が準備されていました。これらは特別な器具は必要なく、ちょっとした経験と技術で実行が可能なのです。言い方を変えると「知るか知らないか」が問題で一度訓練で経験していれば行動できそうなものが多くありました。

次に訓練で衝撃を受けたことがあります。訓練では要救助者役を常に人形ではなく、生体で行っていたことです。
検索発見から救出までを行う総合訓練で「私の人生観を左右する出来事」がありました。訓練で私は救助隊員として内部進入し、1人の女性を救出しました。その女性は消防職員なのですが、手の指先が一本、傷ついて出血していました。私は心から申し訳ない、酷いことをしてしまったと反省し、謝りに行きました。そこでその女性が言ったことが、「他の隊が救出できていないところ、日本チームは救出してくれた。実際の現場だったら、指は多少怪我したかもしれないけど、命は助けてもらえた。素晴らしい。」と言ってもらえました。それほどお世辞を言う習慣のないアメリカですから、シンプルにそう思っている様子でした。私はその時、この感覚が重要だ!と強く感じました。怪我をしてしまったこと、怪我をさせてしまったことはいいことではありません。しかし、この要救助者(助けを求めている人)を救うにはどうしたら良いのか?本気で考えながら訓練をすることが重要だと思いました。決められた行動を人形を使って、訓練する。このような繰り返しにはない緊張感とリアリティーがありました。

写真は現在一人ログロールとして定義している「狭隘空間での傷病者救出の技術」の原型です。「このようにすると狭隘空間でも担架に収容することができるよ」と教えていただきました。(この技術は日本に持ち帰り具体的な細かい動きを精査し、一人ログロールとして確立しました。)
このような現実的な訓練をやらなければならないと感じた時、私はあることを強く思いました。「最初から救出するまでの時間が決まっていて、そこに訓練内容を合わせるのは現実的ではない。」と!私はそこで訓練時間に想定を合わせるのではなく、可能な限り本当の現場に合わせた想定を作り、救出できないことも訓練の一環と考えるようになりました。

日本に帰国後、アメリカで研修を経験したメンバーは日本でこの技術を広めていこうと勉強会を始めました。 そんな中、当時、私たち研究会は10人ほどの人数でした。日本の消防に広くこれらの技術を伝えるために頑張っていこうと決意したのです。これはお礼だと考えていました。新しい知識技術と出会うチャンスがもらえたことに対するお礼、感動や驚きを経験できたお礼、いろんな意味でお礼する手段が「伝えていただいたことをより良いものにして、さらに仲間達に伝える。」と言うことでした。
ここからは怒涛の日々でした。まず、コースとして一連の流れを決めました。 「苦情や批判は受けよう。まずは訓練会を開いて、同僚や先輩方に見てもらおう。」という気持ちで1回目の訓練会「CSRM
ベーシックコース」を開催しました。結果、苦情どころか、多くの方が大喜びで「もっと、仲間達に伝えていこう!」と大盛り上がりになりました。私達は、この状況はもっと内容を充実させないとならない、と言うか、もっと内容を精査しなければならないと大きな責任を感じました。そして、訓練を指導するメンバーは「より高度な経験や訓練をしていなければならない」と指導者を養成するコースも作りました。 そして、仲間同士で長時間訓練を繰り返し、日本人の個性や日本の消防が持つ資機材に合わせたコースへとコース内容を整備していきました。
コースを開催してすぐに指導要領を整備し、はっきりとスタッフ全員が同じ回答ができるようにと指導要領を細かく整備しました。そして、教本が必要だということでベーシックガイドを作り始めたのです。

第一回目の訓練会の時の写真です。

初めて参加者の方々にアメリカで見てきたこと、そして自分たちで研究し訓練し、築き上げたことを紹介するときはとても緊張しました。 今では当たり前になったパッキングという技術ですが、しっかりと伝えなければならないと繰り返し繰り返し練習して防水シートがボロボロになったのを覚えています。 ちなみに写真で被っている赤いヘルメットはアメリカの教官と交換してきたもので「若いうちは思いっきりがんばれ」と言われたときの気持ちを忘れないように訓練会のときはいつも被っていました。

たくさんの方が話を聞きに来てくれて、さらにメモをとったりビデオを撮ったりととても熱心なので震えるほど緊張していました。 話が終わると多くの方が「救命率を上げるために俺たちが知らないことを教えてくれてありがとう」と声をかけてくれました。本当に真面目な熱い気持ちの方ばかりで本当に嬉しい日々でした。 そのとき、私が思ったのは、たまたま私が早くこれらの技術を知る機会があっただけで私が特別すごいわけではない、お礼を言われることが多くても絶対に偉そうになってはいけないと強く思いました。 よくスタッフ同士では「釣りに同僚を誘ったら?」と言う話をしていました。釣りに誘って、一緒に釣りに行ったとして、上から目線で釣りについて説明したり、釣れないことをバカにしたり、うまく仕掛けが作れないことを怒ったりしたら、次に誘った時に来てくれるのだろうか?思いっきり楽しんでもらって、新しいことを知った喜びを味わってもらいましょう!と------。この気持ちが連鎖反応を起こし、10年経った今でも「伝えてもらったことを感謝して、次の人に伝えよう。」という動きは続いています。
ここまで震災救助の関係を説明させていただきました。次に最初にあげましたもう一つの熱い気持ちになる理由について説明します。

 

〜ストレスと向かい合うことになる出来事〜
平成19年、個人情報なども多く含むので詳細は記載できませんが、日本のいくつかの地域で救急隊員の精神的ストレスに関するアンケートをとりました。アンケート調査を行った理由は、当時、話題になり始めていた惨事ストレスとその対処であるデフュージングやデブリーフィングの必要性を身近で根拠のあるアンケートで紹介できないか?という理由でした。アンケート結果は想像をはるかに超えるものでした。90%近い方々がストレスに苦しんでいて、救急車に乗りたくないと思うことがあると回答したのです。この結果は全国的に聞き取り調査などを行っても概ね同様の回答でした。特に過去にストレスを受けた事案、自分に出現した反応などについて書けることがあれば書いてください。という自由記載の部分については、涙無くしては読めないものばかりでした。この時、研究会で少しづつコース開催もしていたので、座学にストレスケアについて盛り込み、同時に惨事ストレスとストレスケアに関する研究を続けました。研究会でストレスケアについて研究と紹介をしていることが広まると自然とストレスで倒れていく仲間の情報が集まってきました。時には相談を受ける前に自殺してしまう、という悲惨な出来事もありました。私達は1日でも早く何か対応しなければと研究を続けたのです。そして、少しづつ、専門家の先生方と協力しながら、資料を作り続けました。

この資料はたくさんある資料のうちの一つですが、専門家の先生方にも使用して頂いてるものです。長い時間をかけて、先輩方の意見もいろいろと反映させて、今の形に作り上げました。そして、2年前に消防士が消防士のためにピア(同僚)としてストレスとストレスケアについて紹介するコース、ピアミーティングコースを始めたのです。たくさんの仲間が膨大な時間を費やし作成したコースなので「ストレスについて8時間学ぶ」というありえないコースですが、受講者は笑顔で喜んで帰っていきます。その笑顔を見ると頑張らずにはいられない!といつも思います。
長文になってしまいましたが、まだまだ語り尽くせないところがありますが、私を含め、多くのスタッフがこのような気持ちで一生懸命、そして熱く活動する理由です。
この活動は全国の救命率を向上させ、救えなかった命が救えるようになる一助となり、命を救うために一生懸命だからこそ精神的に倒れていく消防士、さらには医療関係者など、救護活動に関わる方々を救っていけると考えています。ぜひ、多くの方々に支援して頂いて、このプロジェクトを成功させたいと思います。ご支援よろしくお願いいたします。

新着情報一覧へ