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ドキュメンタリーで福島に生きる人達と「津波の記憶」を伝えたい

笠井千晶

笠井千晶

ドキュメンタリーで福島に生きる人達と「津波の記憶」を伝えたい

支援総額

2,360,000

目標金額 1,200,000円

支援者
152人
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19お気に入り登録19人がお気に入りしています

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2015年11月19日 18:12

【福島沿岸部の記憶5】守りたかった"我が家"(2015.11.19.)

津波到達範囲の家屋のほぼ全てが流出した集落で、奇跡的に原形を留めたまま残った一軒の家があります。

木造2階建ての重厚な造りの日本家屋は、1階部分の壁が抜け、柱だけとなりましたが、2階は浸水せず津波の難を免れました。

 

 

しかし、この家にいた4人は波にさらわれ、命を失いました。

おじいちゃん、おばあちゃんと、2人の幼い孫たちです。

あの日、この場所で、何があったのか。正確に知る術はありません。

 

 

それでも4年8ヶ月後の今、その出来事を想像するチャンスを与えてくれているのが、遺された、この被災家屋の存在なのです。
南相馬市原町区の沿岸部・萱浜地区で、何故この家がいまも遺されているのか。

そして迫る、解体の現実とは一。

 

 

<2015年11月16日 福島県南相馬市での取材より>
「倖ちゃん!倖ちゃん!こっちおいで。」
「永吏可〜!!やめなさい。」
子ども達を呼ぶ声が響く、日常の光景。

5年前まで、この家に流れていた時間が記録された映像です。撮影したのは、上野敬幸さん。子ども達のお父さんです。

この映像は、津波に見舞われた自宅の中でも、無事だった2階に置かれていたため流されずに済みました。
上野さんの了解を得て、今回、初めて映像を目にする機会を頂きました。

 

 

 

家庭用のホームビデオで撮影された映像は、2006年~10年の5年間の記録の一部。録画時間は合わせて10時間以上、DVDで22枚分ありました。

その中に映るのは、津波で亡くなった長女・永吏可ちゃん(当時8歳)と、行方不明の長男・倖太郎くん(当時3歳)の元気な姿。


震災前を知らない私にとっては、今まで遺影の額縁の中にいた2人の存在でしたが、映像は悲しいほどリアルに2人を実感させます。

全ての映像が、お父さんお母さんの目線で撮られたものだからです。

 


 

 

 

愛嬌のある仕草、泣いたり笑ったり次々変わる表情、そして賑やかな声。ふざけたり、じゃれ合ったり、走り回ったり、時には叱られたり。

自宅での、ありふれた日常です。

そこには、幸せを絵に描いたような時間が流れていました。
—すべては、もう二度と戻ることのない瞬間なのです。


 

「忘れないで欲しいなんて、思ってないよ。ただ、わかって欲しいだけ。」

ーそう話す、二人の父・上野敬幸さん。

 

これまで何度となく、市役所から解体要請が来ましたが、被災した自宅をどうしても壊す気持ちになれなかったといいます。

そこには、津波で亡くなった家族との、沢山の思い出が詰まっているからです。

 

 

4年8ヶ月後のいま、その場所に立ち、改めて眺めてみます。


津波のため、壁には穴が開き、柱は折れ曲がり、天井には、波の勢いを生々しく示す泥の跳ねた痕跡がハッキリと残っています。

長い間、風雨にさらされたため、屋根の瓦は割れ落ち、床のあちこちにはツバメやねずみの糞が降り積もっています。

 

 

 

 

上野さんのホームビデオに映っていた、かつての自宅の様子。

家族が集う、暖かな雰囲気に溢れていた自宅が、いま目の前にある被災家屋と同じ場所だと想像するのは、非常に難しいと、改めて思い知らされます。

 

長女・永吏可ちゃんの真っ白いタンスやぬいぐるみが沢山置かれた部屋、立派な床の間のある座敷、家族団欒のコタツが置かれた居間。
いまでは、壁も床板もなくなった空間に、乾いた風が吹きぬけます。
かつての玄関は、亡くなった4人のための祭壇に変わっています。

 

 

それでも上野さんにとっては、かけがえのない場所であり続ける、この家。

いままで遺してきた意味を、上野さんは語ります。

—「本当は、津波で何もなくなっててもおかしくないのに、こうして形が残った

  こと自体、奇跡だったよね。これがなかったら、津波の威力を実感することも

  出来なかった訳だし。… これがあることで、嫌な想いもしたけど、良かった

  ことも沢山あったよね。」

 

上野さんの被災した家は、更地になった津波被災地区の真ん中にあり、遠くからでもよく目立ちます。そのため、遠方から被災地を見学に訪れる人などが声をかけてくることも、しばしば。

手を合わせたり、お花を供えたりしてくれる人がいる一方で、中には、断りもなく敷地に立ち入ったり、“記念写真”を撮影する人まで…。

 

その度に、上野さんは怒りを覚えるといいます。その気持ちは、ご遺族なら当然のこと。そこで亡くなった人がいる事実を少しでも想像できたなら、決して“記念撮影”をすることはないと思うからです。
そうした当事者の気持ちを考える想像力こそ、被災地域外に暮らす私たちに問われている気がします。

 

 

そして今年の夏、上野さんのもとに南相馬市役所の職員が訪ねてきました。

目的は、被災した自宅についての解体要請です。

いよいよ、待ったなしの「解体期限」が迫っているというのです。

 

津波被災家屋については、市の費用で解体します。

上野さんは、市との話し合いの中で、解体時期を遅らせてきました。

しかし、解体費用を市の予算として支出できる期限が、今年度いっぱいまでだというのです。

 


解体費は、総額500万円以上。個人では、到底賄える金額ではありません。

 

「結局は、なんにも、守ってやれなかったなぁって。4人のことも。そして、この

 家も。親父には、“ゴメンな”って言うしかないよね。」

ー 悲しげな表情で、ため息まじりに語る上野さん。

この家は、津波で亡くなった専業農家の父・喜久蔵さんが建てたという、“自慢の我が家”でした。

 

 

 

震災から5年近く、この場所に、この家が遺されていたこと。

そして、まもなく訪れようとしている解体の日。それを見守る、上野さんの想い。

その現実を、せめて記録として映像に留めることが出来たらと願って、取材を続けます。

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リターン

3,000

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【最新の取材情報お届けコース】

・お礼メール
・最新の福島取材と制作状況の情報提供

支援者
62人
在庫数
制限なし
発送予定
2016年1月

10,000

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【上映会へご招待コース】

3000円の引換券に加え
・上映会へのペア招待状
・「福島の津波」を伝えるメッセージカード

支援者
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【DVDお届けコース】

10,000円の引換券に加え
・エンドロールへの名前掲載
・完成したドキュメンタリーDVD
・福島の復興支援団体「福興浜団」タオル

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2016年5月

30,000

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【菜種油お届けコース】

1万円の引換券に加え
・エンドロールの名前掲載
・完成したドキュメンタリーDVD
・福島県南相馬の菜の花畑生まれ、菜種油『油菜ちゃん』270g

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2
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【11月27日 追加コース!】

1万円の引換券に加え
・エンドロールの名前掲載
・完成したドキュメンタリーDVD
・福島県南相馬の菜の花畑生まれ、マヨネーズ『油菜ちゃんマヨ』170g入り、1個

支援者
1人
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【あなたの街で上映会コース】

30,000円の引換券に加え
・完成したドキュメンタリーの上映会開催権
・福島の復興支援団体「福興浜団」Tシャツ

支援者
4人
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