支援総額
目標金額 1,000,000円
- 支援者
- 187人
- 募集終了日
- 2018年1月31日
自分の中の甘さと弱さとずるさと。それでもできることはある。
2013年の夏、私はベルリンから列車で数時間のドイツの小さめの街の駅に降り立ちました。迎えてくれたのは私が2008年にボランティア通訳として地球を一周した時のコーディネーターのフラウケ・アーントさん(通称ふうちゃん)。ふうちゃんはピースボート退職後、おりづるプロジェクトの映像チーム担当として同じ時に地球一周をした国本隆史さん(通称・ごりさん)と結婚し、ドイツに移り住んでいました。ちょうど長男のノアくんと国本さんが日本に一時帰国中だった時で、私とふうちゃんは二人で一日中、街をめぐりながら語り合いました。
その時にふうちゃんが教えてくれたことで一番衝撃的だったことは「ゴリはもう私とはドイツ語しか話さない」ということでした。私が知っている限り、日英独が流暢なふうちゃんと国本さんとの会話は日本語でした。ドイツに住むからにはドイツ語を習得しなければと決めた国本さんは、ドイツに移ってから子どもに話しかける時以外ドイツ語しか使わなくなったと、ふうちゃんは教えてくれました。今でこそ地元の人に向けてドイツ語で講演をするまでになった国本さんですが、当時は流暢とは言い難い語学力だったはず。言葉にできない思いがあふれそうになる時期もあったはずですが、国本さんはそんな中で確実に日本とドイツ、そして過去と現在を重ね合わせながら、常に社会の未来を見据えてきていたのだなと今回寄せていただいた文章を読んで思いました。
国本さんのように小さな学びの場を積み重ねたいと願う多くの人たちのもとに、ひとつのきっかけとして被爆証言会を届けたいと、私は今とても強く思っています。クラウドファンディングは残すところ40時間を切りました。どうか、最後までよろしくお願いします。ひとつでも多くの街に、人間の言葉で、核兵器では叶えることのできない平和の尊さを届けたいです。
(畠山澄子)
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「ヒバクシャとボクの旅」
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞をとったという記事を、大きな喜びを感じながら読んだ。ピースボートで共に地球一周した畠山澄子さんが中心となり、日本国内で被爆者の証言を広げ、ピースガイドの養成講座を行うプロジェクトを始める。その活動を応援したいと思い、今あらためて、被爆者の声から僕が受け取ったものを、考えてみる。
「あの日の背中」
最初に頭に浮かぶのは、長崎の青年乙女の会の平山兼則さんのことだ。平山さんは、あまり積極的にご自身の体験を語らない方だった。僕は、大学の社会調査で、被爆者の生活史を作るため、3年かけて話を聞かせていただいた。
当時の状況がよく想像できないという僕のわがままに付き合っていただき、平山さんがあの8月9日にたどった道を一緒に歩いてもらったことがある。そのときに、額から流れ落ちていった玉のような汗を今も覚えている。御家族にもあまり話さなかった、引き出しの一番奥にしまってあるようなことを、僕のような学生に話してくれた。
調査が終わると、青年乙女の会のみなさんは、自宅で皿うどんを腹一杯食べさせてくれたり、思案橋のスナックに連れて行ってくれたり、自分で育てた野菜畑を食べさせてくれたり、楽しい時間を一緒に過ごした。居心地が良く、勝手ながらおじいちゃん・おばあちゃんのような親近感を抱く瞬間もあった。同時に、昨日まで元気そうだったのに、いきなり体調が悪くなって会えなくなったりすると、心配になった。
卒業後、会社に勤めだし、平山さんが亡くなられたと聞いた。いつかはそういう日が来るとわかっていながらも、何か思考が止まってしまうような感覚があった。あの日の背中を思い出しながら、平山さんが伝えようとした熱量に、僕はどれだけ応えられているのだろうか考えた。それがピースボート第1回おりづるプロジェクトに映像チームとして参加した動機である。
「怖いのは人間」
ピースボートで、ナチス・ドイツの軍隊に襲撃されたギリシャの村を訪ねた。殺された約700名の中、唯一の生き残りとなったセオドロスさんは、自分以外にこの悲劇を語る人がいないという使命感を背負った方だった。処刑場となった現場に立ち、「死ぬのは怖くない。人が怖い」とセオドロスさんは言う。公園でたまっていた若者たちに戦争の愚かさを説く姿をみながら、最後の一人になった被爆者が原爆体験を語る世界のことを考え、怖くなった。
ある時、「これまで被爆者が何度も核兵器廃絶を訴えてきたのに核兵器は存在する。被爆者の声を世界が受け止めてないような気がする」と僕がいうと、乗船していた長崎の出口輝夫さんが、「被爆者が声をあげてきたからこれまで原爆が使われてこなかったんだよ。怖いのは核兵器ではなくて、それを使う人間だよ」と教えてくれた。
今僕が暮らしている町で、1932年にアドルフ・ヒトラーがドイツ市民権を取得した。そこに彼の協力者がいたから、ヒトラーはドイツの政治家になれた。うちの相方の実家の隣の建物からは、ナチス・ドイツに拷問されている人の声が聞こえていたという。にもかかわらず、あるいはだからこそというべきか、彼女のおばあちゃんは熱心なナチス支持者だった。もし自分がそこに生きていたら、拷問に苦しむ人を助けられただろうか。裏切り者と処罰されても、人間性を保つことができただろうか。
忙しさを言い訳に「まあいいか」とやるべきことを後回しにする甘さ、子育てのなかでいらいらして小さいものにあたってしまう弱さ、自分の家族を守るために、他人の苦しみを見て見ぬ振りするずるさを、僕は持ちあわせている。僕が怖いのは、独裁者や人間のミスのみではなく、戦争という選択に進んでいく国家や集団に対して、反対の声をあげると言い切れない、自分が怖い。
「証言の難しさ」
2012年にドイツに移住した。移住したのは、今も続く福島第一原発事故の内部ひばくの影響を恐れたからである。当時は、日本とドイツのメディアで報道されることに大きな違いがあり、妊娠していたドイツ人の相方とよく口論をした。
結局、放射性物質の影響に安全という線引きはできないので、自分で決めるしかないと、移住を決めた。しかし、移住先のすぐ近くに放射性廃棄物「中間」貯蔵施設があることを知り、国を移動しても核の問題から逃れられない現実を知った。放射性物質が大地に染み込み、自分たちのところにも届くかもしれない。そういう危険があると知りながら家族5人で暮らしている。日々の暮らしの中で、危険を意識する。放射性廃棄物の問題を抱えるのは日本もドイツも同じであることを描く短編映像を作った。
「Endlager (最終処分場)」Wasabi Chilli Films, 2014年, 11分
https://vimeo.com/135041210
毎年ドイツの学校や教会で、被爆者と一緒に経験したことや、福島の原発事故について話をする機会をいただく。これまで聞く立場だった自分が、少しではあるが、伝える立場になった。伝えることは本当に難しい。いろいろ話したいのに、曖昧な知識が多い。背景がうまく説明できない。反省しながら、これまでそういう苦労を乗り越えて話を聞かせてくれた人たちのことを思い出す。長崎の吉田勲さんは、遺構巡りをしたあと、これが一番の励みになると、全国から届いた感想文を見せてくれた。学生たちの質問に答えられるように、もっと勉強しようと思う。
「残された時間でできることを」
被爆者の平均年齢が81歳という。共に過ごす残された時間は長くない。そのなかで、できることはある。多くの人に、被爆証言と直接出会ってほしい。原爆の話だけでなくて、いろいろな話を聞いてほしい。できれば、証言集会のような場だけでなく、一緒にお茶を飲んだり、散歩したりしながら、個と個の関係を作り、楽しい時間を共有してほしい。そして、「話すのは辛い」だろうと遠慮をせずに、いろんな質問をしてほしい。中には、小さいころに原爆を体験したため、あの日のことを自分の記憶として語れない人も多い。でもその後の人生の中で、どんな風に感じてきたのか、そのことに共感できることがたくさんある。
僕は素人ながらに、一度の使用で、壊滅的な被害をもたらし、人間らしい生を奪い、後世まで不安を残す兵器は、国際条約で禁止すべきだという意見に賛成である。これ以上、僕自身も被ばくしたくないし、他の誰にも被ばくしてほしくない。地雷や生物・化学兵器と同じく、核兵器も禁止したほうがいい。節約できる防衛費を別の分野に使ったほうが、もっと楽しく生きやすい世の中になる。相手と同じ武力を持って均衡を保つという発想には歯止めをかけるべきだし、外交上の発言力を高める為に有効であっても、相手も自分も含めて周りの環境も壊してしまうような兵器は、お互いのために廃棄したほうがいいと思う。
「被爆証言は切り口の一つ」
僕は学生のときから平和活動や証言活動の雰囲気が苦手である。被爆証言を聞いてもどうしたらいいのか分からなかった。被爆者の発言が疑問や批判を寄せ付けないような言葉のように聞こえてきて、居心地が悪いと感じたこともあった。ひねくれた考え方だったと、今では思う。
ピースボートで出会った山本剛久さんは、被爆証言は「私たちの孫の孫の代まで、世の中をよくするための、一つの切り口」と言っていた。世の中をよくしたいという思いを受け継ぎ、被爆者の声に学んだことを活かしながら、自分の住む地域や暮らしをよくしていきたい。
小さな子どもを育てていると、よりよい社会を作っていきたいと思いが高まるのに、なかなか独身時代のように動けず、社会活動にも参加できていない。それでもできることはある。一つはお金の使い方。軍事産業を意識して、お金を預ける銀行を変えてみたり、買い物先を変えてみたり、そして自分がいいなあと思う社会活動にちょこっと寄付してみたり。国際社会での活動の場に出ていかなくても、町の中で小さな学びの場を作り、平場で話す場を作っていきたい。そして日本に帰る際には、被爆者の方々に会いにいきたい。被爆者の声に応える、自分の思いを、映像で表現したい。
ピースボートと製作した「ヒバクシャとボクの旅」2010年 64分
https://vimeo.com/228556777
(国本隆史)
リターン
1,000円
被爆証言を全国に届けたい。この思いに共感してくださった方へ
・感謝の気持ちを込めて、サンクスメールを送らせていただきます。
- 支援者
- 11人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年3月
3,000円
被爆証言を全国に届けたい。この思いに共感してくださった方へ
サンクスレターを送らせていただきます。
- 支援者
- 58人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年3月
5,000円
被爆証言を全国に届けたい。この思いに共感してくださった方へ
・感謝の気持ちを込めて、サンクスレターを送らせていただきます。
・ノーベル平和賞受賞団体ICAN国際運営委員(日本からは唯一!)川崎哲著書「核兵器を禁止する」サイン入り
- 支援者
- 67人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年3月
10,000円
被爆者の生きた声、聞いてください。
・感謝の気持ちを込めて、サンクスレターを送らせていただきます。
・最寄りの地域で開催される証言会へご招待いたします
- 支援者
- 37人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年3月
30,000円
【限定30名】ノーベル平和賞授賞式より、お土産を買ってきます
・感謝の気持ちを込めて、サンクスレターを送らせていただきます。
・ノーベル平和賞授賞式の際に、ノーベル平和センター人気の限定土産。「ノーベル賞メダルチョコレート」を買ってきます。
- 支援者
- 8人
- 在庫数
- 22
- 発送完了予定月
- 2018年3月
50,000円
【限定20名】ノーベル平和賞授賞式より、お土産を買ってきます
・感謝の気持ちを込めて、サンクスレターを送らせていただきます。
・最寄りの地域で開催される証言会へご招待いたします
・ノーベル平和賞授賞式の際に、ノーベル平和センター人気の限定土産。「ノーベル賞メダルチョコレート」を買ってきます。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 20
- 発送完了予定月
- 2018年3月
100,000円
(10万円コース)とにかくプロジェクト応援!
・感謝の気持ちを込めて、サンクスレターを送らせていただきます。
・最寄りの地域で開催される証言会へご招待いたします(3名)
・ノーベル平和賞授賞式の際に、ノーベル平和センター人気の限定土産。「ノーベル賞メダルチョコレート」を買ってきます。
リターン経費・手数料等を差し引いたすべての金額をプロジェクト実行のために大切に使わせていただきます。
- 支援者
- 5人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年3月
200,000円
被爆証言会を「あなたの街」で実施します!
・お住まいの地域(もしくはご希望の地域)で被爆証言会を実施します。
※実施地域によっては、別途・交通費・宿泊費等についてご相談させていただきます。
・ノーベル平和賞授賞式の際に、ノーベル平和センター人気の限定土産。「ノーベル賞メダルチョコレート」を買ってきます。
・サンクスレターを送らせていただきます。
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年3月
1,000,000円
(100万円コース)とにかくプロジェクト応援!
・感謝の気持ちを込めて、サンクスレターを送らせていただきます。
・最寄りの地域で開催される証言会へご招待いたします(3名)
・ノーベル平和賞授賞式の際に、ノーベル平和センター人気の限定土産。「ノーベル賞メダルチョコレート」を買ってきます。
リターン経費・手数料等を差し引いたすべての金額をプロジェクト実行のために大切に使わせていただきます。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年3月
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