みなさん、こんにちは。仙台市天文台・台長の土佐誠です。
この度は、当プロジェクトにご支援をいただき、誠にありがとうございます。
この場を借りて改めて御礼を申し上げます。

 

 

3月11日は私たちにとって忘れることのできない日となりました。東日本大震災は千年に一度の未曾有の大災害でした。犠牲になられた方、被害を受けられた方、そして、今なお不自由・不安な日々を過ごされているみなさまにお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 

千年に一度の大災害ですが、地球にとってはささやかな日常の営みにすぎないとのこと。人間の寿命はおよそ100年、出会うことはないと思われた千年に一度の事件に巻き込まれたのです。このような自然の営みによって人間が生存できる地球環境が形成されたとすれば、避ける事のできない事件でした。

 

大津波が去った後、見た事もない悲惨な光景がひろがっていました。やがて、日が沈むと天空に満天の星が広がりました。人々は寒さに震えながらこの星空を見上げたといいます。仙台市天文台では、その時の皆さんの思いを集め、「星空とともに」というプラネタリウムの特別番組を制作しました。

 

あの夜、星が美しく見えた事には理由があります。大停電によって、星の光を隠す街明り(光害)が全くなかったからです。光は影によって輝きを増すことは昔から画家がよく知っていました。ラ・トゥールが描く暗闇の中のキャンドルは、キャンバスが光を放射しているかのように見えます。音楽でも同じような事があります。騒音の中では弱い音が消され音楽を楽しむ事ができません。モーツァルトの音楽を聴くと、彼の深い思いは、最も弱い音、ピアニッシモで表現されているように感じます。その思いを聴くためには、騒音のない静かな環境が必要です。あの夜は、光害のない澄んだ夜空に暗い星が姿を現し、ピアニッシモの天空の音楽が聴こえたように感じました。それは何よりの鎮魂と慰めになったのではないでしょうか。

 

「星空とともに」は第二章制作に向けて始動しております。次の目標達成に向けて、引き続きこのプロジェクトを見守っていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

 


 

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