【第二弾】新しい青で今日を描こう。相馬に永遠の色を残したい

生物学者 福岡先生との特別対談:イベントレポート Vol 1.
こんにちは、シンガーソングライターLOVEです。
このたびの台風19号につきましては、相馬市をはじめ、多くの地域の被害を受けられた方に心からお見舞いを申し上げると共に、一刻も早い復旧をお祈りしております。
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クラウドファンディングも終了まであと10日、みなさまのご支援のおかげで目標金額の60%まで到達いたしました。応援、ご支援してくださった皆さま本当にありがとうございます。
さて、少し遅くなりましたが本日は、8/30(金)に渋谷ヒカリエにて行いました生物学者の福岡伸一先生とのトークイベントのレポートをお届けします!
トークテーマは「青」。大のフェルメール好きとして知られる福岡先生の少年時代のお話から、フェルメールとの出会いまで、「青」に魅せられた背景をお聞きしながら、社会そして生物学における「青」の役割を一緒に紐解いていきました。
前編は、福岡先生の【少年時代〜フェルメール・葛飾北斎の「青」との出会い】までをお送りします。参加できなかった方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
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ールリボシカミキリの「青」に魅せられた少年時代
もともと大の昆虫好きだった福岡先生は、「ルリボシカミキリ」の綺麗な「青」に惹かれ、自分の目で確かめるために、野山を探し回り、小学校高学年の時にようやく見つけることができました。しかし、その「青」は「手に取ることができない色」ということに気づきます。
福岡先生:小学校高学年くらいのある日に、山梨県のある山の麓に行って、この辺にいそうだな、と思って見ていたら、木の倒木の上にこのルリボシカミキリがふわりと乗っかってたんですよ。もう天にも昇るような気持ちになってすぐに捕まえてですね、ちょっと残酷なんですけど標本にして、いつも素晴らしいと眺めていたんですね。そしたらルリボシカミキリは、生きていた時はあんなに鮮やかな青色をしていたのに、死ぬと、標本になるとこの青色が少しずつくすんでいってしまうんですよ。
その渋い青が、とても素晴らしいんですけど、ルリボシカミキリも、モルフォチョウもですね、青い色素が塗られて青くなってるんじゃないんですよ。現象として青く、これは構造色っていうんですけど、いくらモルフォチョウの羽を集めてきて、すりつぶして青い色素を取ろうとしても青くないんです。すり潰したら黒い粉になっちゃうんですよ。
LOVEさん:不思議ですよね、構造色。
福岡先生:顕微鏡で見ると、実は透明な小さな小さなミラーみたいなものが何枚も並べてあって、そこに太陽光線や蛍光灯みたいな拡散類を含んでいる光線が入っていくと、ほとんどの光が吸収されてしまって、青い光だけが反射するから青く見える。だから見る角度を変えると青さが少しだけ違って見える。
その小さなミクロなミラーの角度が、生きている時は下を体液がぐるぐる回ってますから、ちゃんと際立ってある角度を保っているわけですよ。でも死ぬとそれが寝てしまって、だんだんくすんでいってしまうというね。ある種、生命の有限性みたいなのを学びました。
LOVEさん:生命力あってのルリボシカミキリの青なのですね。
ー顕微鏡オタクとなったことが、フェルメールとの出会いに繋がる
少年時代はルリボシカミキリや蝶々の羽を顕微鏡で毎日のように眺めるほど、顕微鏡オタクだったという福岡先生。科学への扉を開いてくれたきっかけも顕微鏡で、その歴史をたどるために図書館に通い詰めた結果、ようやくその源流を探り当てることができました。
LOVEさん:福岡少年が、今となっては生物学者でいらしゃいながら、フェルメールだったり北斎だったり、芸術方面の「青」に関してもエキスパートにもなられたという、そこはどういう転換があったんでしょうか?
福岡先生:小さい頃は友達と遊ぶより一人で虫ばかり集めていて、 母が心配したのかある時、顕微鏡を買ってくれたんです。教育用の安い顕微鏡なんですけど、それを使って友達を呼んできて自慢したり、コミュニケーションの道具にしなさい、と。
それで早速、ルリボシカミキリなど蝶々の羽を顕微鏡で見てみると、そのミクロな構造色の小さなモザイク構造がパーッと見えて、小宇宙が顕微鏡の中に広がっているんですよ。だからそこにすーっと吸い込まれてしまい、ますます友達がいなくなって......(笑)
そして、顕微鏡という素晴らしい装置を知ったことで、ミクロな小宇宙をもたらしてくれた、科学への扉を開いてくれた顕微鏡の歴史をたどりたくて、図書館に通い詰め調べたんです。そしたら、17世紀のオランダに住んでいた、レーウェンフックさんっていう物好きなおじさんが顕微鏡を自分で工夫しながら作り出した。そんな人がいたんですよ。偉い大学の先生でなければ高学歴を経て科学者になった人でもない、町の普通の人だということがわかりました。
さらに、その人を調べるうちに驚きの事実が....。
彼が生まれた街は、オランダのデルフトっていう小さな小さな街で、1632年、日本でいうと江戸時代の幕開けと間もない時なんですけど、これがマジックイヤーで、同じ1632年の同じ10月、レーウェンフック(※)が生まれたところから100メートルも離れていないところで、フェルメールが生まれたんですよ。
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フェルメールもまた画家として、青をいかに綺麗に作り出すかを研究し続けた人。レンズを追求したレーウェンフックと同じ街で同じ時期に生まれ育ったということは、きっと友達だったに違いない......と感じ、その歴史を追求してフェルメールにたどり着いた福岡先生。
その後、福岡先生はアメリカ・ニューヨークの「ロックフェラー研究所」というところで生物学者になるための研究をしていた1988年夏、たまたま通勤路にあった立派な建物(今は個人美術館のフリック・コレクション)の中で、本物のフェルメールの絵と出会ったといいます。
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福岡先生:
ニューヨーク(NY)にいた時は、毎日研究尽くしで......アパートと研究所の間の道のりが碁盤目状のようになっており、何万通りもある道のりからその日どこを通るか考えるのが楽しみでした。
ある日、白亜の御殿のような、三階建てほどの低層の豪邸を見つけて。大富豪の家かな?と思って近づいてみたら、今は個人美術館になっているフリック・コレクションでした。
その時だけ、たまたま時間があったので中に入ってみたんですよね。そしたら喧騒のNYとは打って変わって、静けさが満ち溢れた正室な空間が広がっていて、その壁に本物のフェルメールが3点かかっていたんです。「あ、これがあのフェルメールか」と、レーウェンフックのことや顕微鏡のことを一気に思い出して......、驚いたのは、フェルメールの絵がすごく小さいってことなんですよ。
LOVEさん:そうなんですか......?この絵ですか?
福岡先生:これもフェルメールの有名な絵ですけどこれはオランダにあるんです。だから私が見たのはもうちょっと違う、静かな絵なんですけど、その絵だって30cm x 30cmくらいしかないんですよ。
LOVEさん:意外と小さいんですね。
福岡先生:それで、さらにフェルメールの絵を見た時に驚いたのがですね、絵の中に、全く画家のエゴがないことです。フェルメールの絵の中には、それがほとんどなくて、非常に公平に静かにこの世界を切り取って、ありのままに三次元空間を二次元に写し取ろうと一生懸命実験を繰り返している。そこに科学者的マインドを感じたんですよ。それで、いっぺんにフェルメールに恋してしまったんですよ。
ー芸術における「青」を開拓した フェルメールと葛飾北斎
フェルメールの時代は綺麗な「青」を作り出すことが困難で、そこで生み出した1つの方法が青い石を使って、絵の具の原料を取り出すというものでした。その石は「ラピスラズリ」と言われ、当時はアフガニスタンにしか産出しない貴重な石で、金よりも高額だったといいます。
フェルメールが亡くなってから約100年、日本の葛飾北斎もまた、綺麗な青を表現するために研究し続けました。そして北斎は、フェルメールにはできなかった「青を滲ませる」という方法を使い、大々的に広めたのです。
福岡先生:「ラピスラズリ」は、滲まないんですよ本来。鉱物だから。でも北斎はそれを滲ませることができました。この青はですね、フェルメールが亡くなってしばらくしてからドイツで作り出されたプルシアンブルー(特殊な、細かい銅を主体とした青い色素)だったんですけど、非常に細かくて、水の中に分散することができたんです。滲ませて広げて、濃くも薄くも使える。それを、北斎の前に伊藤若冲(画家)というこれまたオタクがですね、ちょっとだけ早くこの青を使った。そのあと、北斎がこの青を大々的に作って使ってですね、素晴らしい富士山の後ろに流れてる、群青色の青い空を遠くなるに従って薄くなっていく青を描きながら、青を動かしているわけなんですよね。
「これは、神奈川沖浪裏ですが、よく見ると濃い青、薄い青、中間的な青を使って砕け散る波の一瞬を描いているんですけど、青を使うと非常に世界が動的に表現できるんじゃないかな、という風に思います。」
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次回は、LOVEさんからも「SOMA BLUE」絵の具ができるまでの背景や、今回のクラウドファンディングで実施すること、相馬の方々にとっての「青」について語っていただきます。また、最後に「青」を生物学的にみたときの社会との接点を紐解きます。
リターン
3,000円

SOMA BLUEタイルアートプロジェクト:感謝のお気持ちコース
■お礼のメッセージ(SOMA BLUEポストカード)
■SOMA BLUEレポート
- 支援者
- 62人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2019年12月
10,000円

SOMA BLUE ポストカードセット
■お礼のメッセージ(SOMA BLUEポストカード)
■SOMA BLUEレポート
■ポストカードセット(昨年、子どもたちが SOMA BLUE絵の具を使って描いた絵を印刷したものをお贈りします)
- 支援者
- 31人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2019年12月
20,000円

SOMA BLUE タイル(左馬)をお届け
■お礼のメッセージ(SOMA BLUEポストカード)
■SOMA BLUEレポート
■大堀相馬焼 左馬 タイル1枚 (桐箱入り)
- 支援者
- 5人
- 在庫数
- 5
- 発送完了予定月
- 2020年3月
30,000円

大堀相馬焼「SOMA BLUE 湯呑みペア(2種類)」
■お礼のメッセージ(SOMA BLUEポストカード)
■SOMA BLUEレポート
■大堀相馬焼「SOMA BLUE 湯呑みペア(2種類)」(桐箱入り)
- 支援者
- 8人
- 在庫数
- 2
- 発送完了予定月
- 2020年3月
30,000円

お名前 OR メッセージが記載された SOMA BLUEタイルをお届け
■お礼のメッセージ(SOMA BLUEポストカード)
■SOMA BLUEレポート
■ご支援者さまのお名前、もしくはご希望のメッセージを刻んだタイル1枚 (桐箱入り)
*タイルに記載するお名前やメッセージは、後日お伺いさせていただきます。
- 支援者
- 6人
- 在庫数
- 4
- 発送完了予定月
- 2020年3月
30,000円

SOMA BLUEタイルアートプロジェクト:全力応援コース
■お礼のメッセージ(SOMA BLUEポストカード)
■SOMA BLUEレポート
- 支援者
- 2人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2019年12月
30,000円

大堀相馬焼「SOMA BLUE たっぷり茶碗」
■お礼のメッセージ(SOMA BLUEポストカード)
■SOMA BLUEレポート
■大堀相馬焼「SOMA BLUE たっぷり茶碗」 (桐箱入り)
- 支援者
- 10人
- 在庫数
- 完売
- 発送完了予定月
- 2020年3月
50,000円

SOMA BLUEタイルアートプロジェクト:全力応援コース
■お礼のメッセージ(SOMA BLUEポストカード)
■SOMA BLUEレポート
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2019年12月
100,000円

あなたのお名前が入った協賛タイルを現地に贈ります
■お礼のメッセージ(SOMA BLUEポストカード)
■SOMA BLUEレポート
■お名前が刻まれたタイル1枚を現地に贈ります(企業・団体名も可能)
※タイルは2020年春に、現地納品予定です。
※ロゴは焼き付けできません。あらかじめご了承ください。
※タイルに記載するお名前は、後日お伺いさせていただきます。
- 支援者
- 3人
- 在庫数
- 完売
- 発送完了予定月
- 2020年4月