東日本大震災12年、被災者100人で創るミュージカルを石巻圏で!

東日本大震災12年、被災者100人で創るミュージカルを石巻圏で!

支援総額

4,505,000

目標金額 3,500,000円

支援者
352人
募集終了日
2023年1月31日

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2023年01月27日 12:00

心の復興13回忌ミュージカルに寄せて (Backstage Vol.54)

11年前の2012年、東京・銀座ブロッサムで公演した「とびだす100通りのありがとう」にも出演してくださっていた、石巻日日新聞社の「熊谷記者」から、当時のことを振り返りながら、今回のミュージカルについて書き下ろしてくださいましたので、ご紹介いたします(.  .)

 

石巻日日新聞社
石巻日日新聞社(石巻市双葉町8番17号)

 

 取材でミュージカルの練習におじゃまするたび、会場に増えていく壁新聞「ありがとう新聞」を読むのを楽しみにしています。手描きの文字が温かく、インタビュー記事を通してどんな人がどういう理由で参加しているのか知れて、興味深いです。壁新聞は人を引き付けます。練習に参加できない人も情報を共有してもらおうという試みで、取材でたまに伺う自分にとっても「ありがとう」です。

 

壁新聞製作の様子
壁新聞製作の様子

 

 

 約10年前にあった被災者ミュージカル「とびだす100通りのありがとう」の練習会場でも毎回、壁新聞が掲示されました。その名も日日新聞ならぬ「ありがとう週週(しゅうしゅう)新聞」。石巻日日新聞社とミュージカルの関わりは壁新聞にあります。

 

ありがとう週週(しゅうしゅう)新聞
ありがとう週週(しゅうしゅう)新聞

 

 石巻日日新聞は大正元年の創刊で、石巻市を中心に配達している夕刊紙です。東日本大震災による社屋の被害は比較的に小さかったのですが、大規模な停電で新聞が発行できなくなり、会社に残った社員が手書きの壁新聞を作って避難所などに張り出しました。新聞は出せませんが、紙とペンさえあれば情報は伝えられると考えたからです。
 壁新聞作りは、発災の翌日から6日間続きました。6通りの壁新聞です。被害だけでなく、電気の復旧や救援物資の到着状況と共に「支えあいで乗り切って」というメッセージを伝えています。当時はテレビも携帯電話も使えず、デマが多くありました。「正確な情報で行動を」との言葉も添えられています。

 

「石巻ニューゼ」(石巻市中央2丁目8-2)で展示されている壁新聞
「石巻ニューゼ」(石巻市中央2丁目8-2 ホシノボックスピア1F)で展示されている壁新聞

 

 当時、自分はというと、沿岸部で取材中に津波に流され、田んぼで座礁した船の上でずぶ濡れのまま一晩を過ごしました。翌朝、ヘリで救助され、低体温症が回復するまで丸一日、入院しました。

 内陸部にある病院の窓から見る景色は震災前と余り変わっているように感じられませんでしたが、聞こえてくる話は絶望的なものばかり。会社と同僚は無事だろうかと心配になりました。浦島太郎状態で、逆に助かったのは自分だけなのでは、そんなもんもんとした気持ちにさいなまれました。壁新聞を出していたとは、知る由もなかったのです。

 

 それから1年後、銀座でミュージカルの舞台に立っていました。震災発生からの毎日は思いもよらないことの連続で、長い夢を見ているようでした。壁新聞の取り組みは苦肉の策でしたが、世間が評価し、一部はワシントンの報道博物館「ニュージアム」(現在は閉館)に展示されました。価値を認めてくれたから「ありがとう週週」も生まれたのでしょう。

 実は、ミュージカルへの出演は、自分から志願したわけでなく、当時の上司からの命令でした。自分の被災体験が誰かの役に立つなら、と応じました。「歌って踊れる新聞記者になれ」と、そんな軽いノリで送り出されたように記憶していますが、毎週末の歌や踊りの練習は本格的で、早々に安請け合いを後悔しました。

 

「とびだす100通りのありがとう」出演中の熊谷記者
「とびだす100通りのありがとう」当時の熊谷記者

 

 津波に流されから職場に復帰するまでの実体験が、せりふとして与えられました。自分のことなのに、台本になると自分でない誰かの体験のようで、覚えるのに苦労しました。毎晩、風呂場で一人、練習したのがなつかしいです。

 元来、あがり症で、本番の舞台は緊張で心臓が飛び出しそうでした。せりふには石巻日日新聞社の名前があり、看板を背負っているだけに恥をかけない、そんな重圧がありました。ゲネプロ、初回の公演と間違わずにせりふを言えましたが、緊張が和らぐことはなかったです。参加している高校生から「せりふが速い」とダメだしされ、最後の公演はさらに緊張しました。ゆっくり確実にしゃべろうとしたら、せりふを間違え、言い直しました。自分の体験なのに、言い間違えるなんて。思い出すと、顔から火が出そうです。

 

 震災から間もないのに、よく被災者100人が集まってミュージカルができたなと思います。自分は九死に一生を得ましたが、身近な人をなくしたわけでも、家を失ったわけでもありません。舞台の上で他の人のせりふを聞くと泣きそうになりました。ただ、こうも考えられます。震災がどん底だったとすれば、上がっていくだけ。素人にミュージカルができたのだから、皆、この先何でもできるでしょう。

 

 銀座の舞台から10年余りが経ちました。市議会議員になった人、聖火ランナーを務めた人、演劇を続けている人、復興や地域の活性化のために目立たないながらも頑張る人。出演後、新たな一歩を踏み出した人などの話を聞くと、うれしくなります。

 自分自身も何でもできる気になりましたが、やはり餅は餅屋。今回のミュージカルへの出演はかないませんが、報道の仕事を通じて応援していきます。

 

8.24石巻日日新聞記事
8.24石巻日日新聞記事 ※著作権につき保存・転載禁止です。

 

石巻日日新聞社 熊谷利勝

リターン

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お気持ち「ARIGATOU」サポーター①

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・ご支援に対する感謝メール

申込数
110
在庫数
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発送完了予定月
2023年2月

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ポストカード付「ARIGATOU」サポーター

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・ご支援に対する感謝メール
・総合監督「寺本建雄」が手掛ける特製ポストカード(非売品)

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