『苫小牧演劇堂』誕生の裏側③グラインダーの轟音と粉塵の中で

ビニールでコーティンングされた床材をはがすと…

その下に潜んでいたのは、弾力のあるクッション素材。

一見、段ボールのような紙のように見えますが、表面はざらついた様子。

しかも、しっかりと床に貼りつけるために、強力な接着剤でコンクリートの床にべったり…

 

メンバーはまず科学的に考えました。

この接着剤専用の、剥離剤のような薬品はないでしょうか。

Webはもちろん、ホームセンターで問い合わせたものの、「そのような薬品は存在しない」との結論に達してしまいました。

そもそも、最近のクッションシートは剥がしやすいように工夫されているらしいのですが、この建物に使われていたクッションシートは年季が入っており、剥がしたり貼り直したりする前提で設置されたものではないようでした。

さらに、長い間重たいものが置かれていた場所、シートとシートのつなぎ目、などは、簡単には剥がれない！！

試行錯誤の末、編み出された技がこちらです。

 

・とことん、水をまいて、水分を吸収させる（紙のような素材なので、ふやけてやわからかくなる。）

・手作業でヘラを使い、できるだけ表面のクッション素材を削る。

・クッションシートの境目など、接着剤が多く残っている部分は、ヘラと金槌を使って削り取っていく。

・残された接着剤や張り付いている素材は、グラインダーで削る。

 

普通の人生なら使うこともないだろうグラインダー…

皆、その扱いにも慣れ、次第と要領よくなっていきます。

床に当てるヤスリの角度や回転を操る技術を習得…（今後、何かに使えるでしょうか？）

舞い上がる粉塵を吸い込まないように、専用のマスクとゴーグルで防備しながら、昼夜、作業は続きます。

 

手分けしながら少しずつ作業を進めるメンバー。終わりの見えない戦い。それでも、諦める者は誰一人いなかった…