【コラム：ハルのことだま】第8回 すべてのサバイバーへ

自分の中の安心の基盤や愛着の土台がしっかりしていないと、人を大切にするのは難しい。

大切にしたいのに、健全で安定した人間関係を築きたいのに、うまくできない。

これは逆境体験を経験したサバイバーに共通する悩みではないでしょうか。

 

どうしても相手を思いやるより「自分が傷つかないこと」を最優先に行動してしまったり、

「自分の無価値観を埋めること」「自分が安心すること」を求めるあまり、

意識的に、あるいは無意識に他者を傷付けてしまう。

 

だけど、私は人を大切にしたいし、境界線を尊重した健全な関係を築きたい。

私にはそれができる気がします。

昔はそれができると信じられなかったけど、今はなんとなくできると信じられます。

なぜ信じられるようになったかは分からないけど、色んな人との出会いだったり、

カウンセリング（認知行動療法）や運動・生活習慣を見直した結果かもしれません。

でも一番は、「そうなりたい、そうなろう」と決めて、自分の人生を自分で良くする、と腹を括ったからだと思います。

腹を括ったからこそ、運動・食事・睡眠を良くしようと毎日心がけ、

人間関係においても「今自分は相手を大切にできているか？誠実でいられているか？」を考えるようになりました。

 

傷を負ってしまったこと、愛着の形成が不安定なことは本人のせいじゃない。

このことについて本人は何も悪くない。これは絶対に言えることです。

 

でも、私は「反応する人」から「行動する人」になりたいと思っています。

「自分はそうなるぞ」と言い聞かせてます。

そしてサバイバーが何か間違った行動を取ってしまった時、周囲が「大変な過去があったから仕方ない」と

過去を理由に全てを片付けることは、相手を信じることとは違うと思うんです。

容易には耐えられない環境を生き抜いた私たちだからこそ、誰よりも強くて優しくてしなやかになれるはずです。

すでに生き抜いた実績があるので。

 

小さい頃の自分は無力で、反応すること、耐えること、目の前の環境に適応することしかできなかったかもしれない。

でも今は自分が取る行動を自分で選ぶことができる。

一瞬の不安と闘って相手を尊重する方を選ぶことができる。自分を大切にする方を選ぶことができる。

その積み重ねで自分で自分の自尊心を育てることができる。

「こういう自分でいたい」という自分像に対して、100点でなくても努力し続けることができる。

すぐに行動を変えられなくても、違う誰かになれなくても、

「こうしたいと思っている・心掛けている」自分を「まあ悪くないか」「今はこれで良い」と思うことはできると思います。

そしてこんな風に一生懸命生きている人を、私は愛おしく思うし、好きです。

こいつかっけーな、って思います。

 

まあ、こういうことを毎日やらないといけない時点で、サバイバーは大変だし、重いものを背負わされているんですけどね。

正直全然割りに合いません。

「なんで自分が」と思うし、「世の中は理不尽なんだ、それは当たり前のことなんだ」と思います。

でも、自分の人生を諦めないで生きたいですね。

そしたらいつか癒されて、自分が自分のままで大丈夫な状態になって、誰かをちゃんと大切にできるようになる気がします。

 

今回も読んでいただきありがとうございます。

あ、あと、もし良ければSNSなどで「#ハルのことだま」で感想を呟いてもらえると嬉しいです。

いつも一方的に好き勝手に書いているだけですが、みなさんが何を思って何を考えているのかも聞いてみたいです。

ではでは、また次回のコラムでお会いしましょう。