
支援総額
目標金額 9,000,000円
- 支援者
- 468人
- 募集終了日
- 2025年11月26日
【コラム:ハルのことだま】第9回 ぶつかりおじさんが生み出されるまで
みなさん、こんにちは、ハルです。
いつも【ハルのことだま】を覗いてくださり、ありがとうございます。
先日、新宿駅で大きなバッグを肩にかけた中年男性に思いっきりタックルをされて、
ニヤッとされながらその場を離れていかれた出来事がありました。
「これがあの有名なぶつかりおじさんか」と思いました。
故意にぶつかられた時って本当にはっきりと「わざとだ」って分かるものなんですね。
実はこういったことは今まで5回くらいはありました。
そこで、今回は「ぶつかりおじさんに対する考察」をしてみようと思います!
社会的養護や若者の貧困とは関係がないように思えますが、構造的な問題という意味では繋がっている部分もあるので、ぜひ覗いていってもらえたら嬉しいです。
ぶつかりおじさん 〜なぜ彼らは知らない女性にぶつかるのか?〜
1”ぶつかりおじさん”は、日本の歪んだホモソーシャル(※1)が生み出した被害者
ー男性同士でお互いを「男らしさ」という鎖で縛り、ある一定の「男らしさ」に満たない男性は弱者だと見なされる。
ーまた、共感ベースのコミュニケーションが少なく、コミュニケーションの軸にしばしば「競争」がある。
(※1)ホモソーシャルとは、同姓同士の結びつきや連帯感を指す社会学用語。
様々な男性の友人の話を聞いていて、今の日本の男性社会では、こういった現象が起きているように思います。
日本で男性に生まれると、高確率で一生をかけた他人との競争を強いられる可能性が高い。
この競争で敗北した男性が向ける怒りの矛先は、同じ男性社会で「強者」とされている男性ではなく、
男性の競争文化から“逃れられている(ように見えている)“女性、しかも若くて苦労していなさそうな、あるいは反撃しても腕力で敵わなそうな女性だ。
つまり、「(男性社会の中では負け続けている自分でも)確実に勝てる相手」をターゲットとして選ぶ。
男性社会の行き過ぎた競争文化は、ぶつかりおじさんの「加害欲求(敗者と見做されることへのフラストレーションを外に向けて消化したい欲求)」を生み出してしまう。
※彼らは“構造の被害を受けた側面”を持つが、ぶつかるという行為の責任は本人にある。
2ぶつかりおじさんの中にある無自覚な特権階級意識
「自分は(自分より弱そうな)人にぶつかっても反撃されないだろう」
「わざとぶつかったことはバレないだろうし、バレて怒られても、怒鳴ったり睨んだりして反撃すれば相手を黙らせることができる」
(本来なら絶対に許されない行為ではあるが、)「自分は最終的には許される」と思っている。
この特権意識が、「自分より弱そうな人間にぶつかる」という行動を取らせている。
ぶつかりおじさんは、「人類をもし加害者と被害者の2種類に分けるとしたら、自分は加害者になるだろう」と思っている気がする。(これはあくまでも個人的な推測だが)
被害者目線ではなく、加害者目線で物事を見ているから、被害者がぶつかられた時の痛みや怒りが想像できず、実際にぶつかるという行動に移してしまう。
3ぶつかりおじさんは恵まれている
嫌なことがあっても、サンドバックになってくれる「自分より弱い誰か」がいる。
間違ったことをしても「罰せられない」という自信がある。
相手は自分とぶつかったら嫌な思いをするが、自分は(自分が意図して選んだ)相手と接触しても嫌な気持ちにならない(そうでなければ自分からぶつかりに行かない)。
ぶつかりおじさんは実はとても恵まれている。
これが18歳の華奢で臆病な女性だったらどうだろう。
そもそも知らないおじさんと接触したくない。
世の中の大半の人間が自分より腕力があるので、嫌なことがあっても「他人にぶつかる」ことで怒りを消化するという選択肢がない。
仮にぶつかってストレス発散ができたとしても、怒鳴られたりより酷い暴力を振るわれるリスクがある。
つまり、ぶつかりおじさんはある程度の体格の男性に生まれた時点で割と高い下駄を履かされているのだが、
彼らは歪んだホモソーシャルで植え付けられた敗北感や怒りに飲み込まれているので、そのことに気が付かないのだと思う。
このように、「知らない女性にぶつかるおじさん」の行動1つを取っても、これを掘り下げていくと、
日本に蔓延している「男らしさ」という名の呪縛や、無意識な女性軽視・蔑視、身体的な力の差が社会や個人に与える影響、
ある一定の状況で弱い立場に立たされた人間の権利侵害など、様々な構造的な問題が見えてくるように思う。
公共空間で弱者に向かう怒りは、家庭や職場、福祉の現場でも形を変えて繰り返される。私たちが変えるべきは、個人の根性ではなく、許さない仕組みと可視化だ。
これらの構造的な問題を透明化せず、一つ一つに疑問や怒りの声をあげて、どうすれば良くなるか?を考えて生きていきたいと思いました。
ではでは、拙い文章ではありますがまた読んで頂けたら嬉しいです!
リターン
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※詳細については、2026年4月までにメールにてお知らせいたします。
- 申込数
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- 2026年6月
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- 173
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