緊急：新型コロナが“災害医療”となった今、第五波を乗り切るご支援を

 

彼女たちは看護師ですが、何をしているかというと、在宅で療養している患者さんたちの無事を確認しています。私たちは1回往診して診療が終わり、というわけではありません。

 

一度往診して、酸素投与、ステロイド投与が始まった患者さんたちは、私たちの患者さんです。

 

だからこの患者さんたちの安否確認、治療が始まったのだけれども、順調に良くなっているだろうか、悪くなっていないだろうか、追加の治療が必要ないだろうか、そういったことを私たちの方から1日2回、3回、その方の重症度に応じてお電話をして、安否確認を行っています。

 

現状、もちろん中には入院できる方もいます。それから回復する方もいます。在宅療養期間が終了すれば、私たちのフォローアップも終わりですけれども、自宅でコロナと戦っている間は、毎日私たちのほうから連絡をします。

 

現在そういうフォローをしている患者さんが70人〜100人くらいいらっしゃって、そういった方に1日1回〜3回、平均すると1日200件ぐらいの電話をかけています。200件は大したことないように思われるかもしれませんが、1日2回かけて200件、1回の電話に5分かかるとすると、1,000分かかりますから、そうなってくると常勤職員で3人分ぐらいの仕事になっていることになります。

 

 

私たちが往診した患者さんたちには、こういう紙を配ります。もし休日・夜間を含めて何か起こったらいつでも電話してください、必要があればいつでも往診します、ということを患者さんにご説明すると、皆さんに大変ご安心いただけます。
 

 

最後にご紹介するのが、在宅コロナ対応本部というところです。

 

往診に対応するチームは3チームあるのですが、この3チームにパラパラと保健所から電話がかかってくるのは収拾がつかなくなるので、私たちは東京都内各地域からの新型コロナの患者さんたちに対する往診依頼を、この対応本部で一元的に受けて、そしてその患者さんの居住地あるいは患者さんの重症度や緊急性に応じて、診療チームにどのドクターが次どこを回るのかといったようなことを指示しています。

 

これによって、より多くの患者さんたちに、より迅速に医療が届けられるようにコーディネートしている、まさに指令本部のようなところです。

 

同時に電子カルテの準備をしたり、診療が終わって薬が出たら薬局に処方の依頼をしたり、訪問看護を必要な人には訪問看護ステーションを探して指示を出したり、あるいは保健所への報告を書いたりします。

 

診療だけではなくて、その診療の運営をバックアップするチームが、看護師2人を含む1日4人〜4.5人の体制で動いています。

 

 

まとめますと、各地域の保健所からの診療依頼は在宅コロナ対応本部に集約し、それを3つあるコロナ専門往診チームにそれぞれ指示を出していきます。

 

コロナ専門往診チームは、診療結果については対応本部に報告をし、酸素が必要とのことであれば酸素濃縮器回収チームに連絡をして、患者さんの家に酸素を届けます。

 

そして診療が終わったあとはフォローアップチームにその安否確認という仕事を引き継ぎ、ワークチームは日々電話をしながら具合の悪さがあれば往診チームにフィードバックをして、往診チームが対応します。

 

また往診チームが行って、これはすぐに入院させなければならない、というような状況であれば医師から直接保健所に連絡をして、この人はこういう状況なので特に優先してほしい、入院を早めてほしい、ということをお伝えします。

 

1日に20人近いメンバーが、日々在宅コロナの患者さんたちをサポートするために仕事をしているのですが、ただ実際に診療報酬で評価されているのは、このコロナ往診チームの医師による往診、という部分だけで、それ以外、例えば酸素を確保するとか、日々患者さんの安否を確認するとか、こういった部分は診療報酬の対象外です。

 

 

この運営というのは、実は経済的にはかなり厳しい状況になっています。ただ私たちの法人としてのコアバリューは、「患者のニーズが最優先」というものです。

 

私たちにとって医療を提供するということは「目的」ではなく「手段」です。

 

患者さんたちが求めているのは往診ではなくて、往診を通じて得られる安心感、そして安全ということだと思います。この患者さんの安心と安全を支えるために、1回往診に行っただけで終わり、ということではやはりダメだと思います。

 

今、時限的な診療報酬制度の中では、私たちは特別な加算をいただいています。

 

また、東京都からは初回の往診に対しては補助金もいただいています。したがって、往診1つというのを取ってみると非常に潤沢な診療報酬のいただける診療行為です。

 

日頃の診療の合間に1回2回往診に行く、というのは収益事業と考えてもいいのかもしれませんが、私たちは広範囲にお住まいの、たくさんのコロナの患者さんをサポートするために3つのチームを動かしています。

 

そしてそのカバーする範囲も非常に広いので、1日に1人のドクターが何十人も見るということはできません。

 

また、コロナの診療を支えるためにはたくさんのコメディカルスタッフ、いろいろな機能を動かす必要があります。そんなことをやらなくてもいいんじゃないか、という意見もあったのですが、ただ私たちは地域の最後のセイフティーネットです。

 

地域のお医者さんたちがサポートできない、地域の仕組みに支えられない人たちから、私たちのところに対応依頼が入ってきます。

 

我々が対応できないと言うのは簡単ですが、対応できないとされた患者さんは、結局次の日あるいはその次の日、対応してくれるまでずっと家で医療の順番が来るのを待つしかないのです。

 

私たちは医療者として、助けを求めるすべての人に確実に医療を届けていかなければならないというふうに思っています。

 

事業運営としては非常に厳しい状況ではありますが、今、東京で私たち以外にやれる存在はありません。

 

なので私たちは自らの社会的責任をしっかり果たしていきたいと思っています。そして、これを持続可能な、少なくともこのコロナの第五波が過ぎ去るまで、この仕組みが動かせるように今回みなさまにはご支援をお願いしたいと思った次第です。ご静聴ありがとうございました。