パラオで唯一の総合病院「ベラウ国立病院」を訪ねて

今日からは、当プロジェクトメンバーのこはるとあんなが、2025年2月に弘前大学の創立80周年記念事業で訪問したパラオについて、見学地ごとに紹介していきます！

今回はパラオ唯一の総合病院、「ベラウ国立病院」です。

ベラウ国立病院は、9つの保健センターとともに公的医療体制を支える中核的な存在です。

救急（24時間対応）、内科、外科、小児科、産婦人科、歯科の診療科を持ち、医師20名・看護師92名が勤務し、85床（最大120床）を備えています。

台湾からはAIを活用した「Smart Hospital Project」などの支援、日本からはJICAやNGOを通じて専門医派遣や医療機器の提供、技術指導が行われています。しかし、専門医を含む医療人材が依然として不足しており、特定診療科では十分な医療が提供できていません。重症患者は国外（フィリピンやグアム）に搬送されることもあり、また、パラオ国内には医学部がないため、医師不足が構造的な課題となっています。

さらに、島国である地理的制約もあり、離島からの搬送には長時間を要することがあります。加えて、パラオでは生活習慣病が死因の多くを占めており、平均BMIが27.58と高く、肥満率は世界的にも上位です。背景には食生活の欧米化や運動不足、遺伝的要因が指摘されています。また、デング熱など熱帯特有の感染症も定期的に流行しています。

私たちは、ベラウ国立病院を見学する中で、パラオの医療の現状や課題、そして日本からどのような支援が行われているのかを間近で知ることができました。その中で、日本との医療環境の格差に大きな衝撃を受けたことを今でも印象深く覚えています。

次回はペリリュー島についてご紹介していきます。お楽しみに！