バルーンという妖精。

昨日の杉組レッスンは、

本公演での配役オーディションでした。

 

 

台本第１稿ができてから一週間。

毎回この舞台に登場する

主人公「バルーン」をみんな狙っています。

 

「バルーン」は風の妖精。

と言っても、フェアリーな存在じゃないんです。

 

本来なら見えないはずの妖精ですが、

物語のキーになる子を連れて時空を飛び越えたり、

悪と戦い小さな身体で「バルーンアタック」を繰り広げたり、

でもすぐに「どうしよう〜」って言ったり（笑

 

 

まるで子供そのもの。

無敵なんです。

 

心の中に住んでる、バルーン。

 

弱った時、

迷った時、

寂しい時、

心の中に現れて、その人を連れて様々な旅に出るのです。

 

説教なんかしません。

一緒にたくさんの美しい景色を見たり、

たくさん美味しいものを食べたり、

たくさん色んな人に会って、

心に光を宿すお手伝いをします。

 

 

そばに、いる。

それが、バルーン。

 

 

 

そんな「バルーン」の存在に、

子供達は憧れます。

 

 

昨日は、たった１枚のプリント台本を渡しました。

舞台の中の１シーン

最初に、バルーンが現れたシーンを。

 

そすると、子供達は

わ〜っと台本を手に、それぞれが自分のイメージを広げ始めました。

 

この子たちのすごいところ

「これって、どうやってやるの？」

 

とは、誰も聞いてきません。

読めない漢字は聞きにきますが（笑

「この漢字、なんて書いてある？」と。

 

 

けれど、それぞれは自分のイメージを広げて、

１時間、たった１枚のプリントを何度も読み返し、

自分で動きをつけて、大きな声で繰り返し練習し始めました。

 

今まで見てきたトモプロの舞台。

初めて挑むトモプロの舞台。

いろんな思いがありますが、この子たちは

一生懸命に、渡された台本に対してイメージを広げます。

 

やってみたいんだ！！

 

その気持ちが溢れかえって

一人一人がオーディションに臨みました。

中には泣き出す子もいました。

学校ではもしかしたら見せない一面かもしれません。

 

たった一人で動きをつけて、大きな声でセリフを読みます。

動きも自分で考えて、両手を広げたり

倒れこんだり。

 

 

この子たちのイメージの翼に、私たちは風を送るだけ。

 

こうしなさい

とか

こうしてはダメ

 

とかは、一切言いません。

 

 

思いっきり、自分の翼を広げて大きな声を出す。

それだけで伝わる台本だし、それだけで伝わるように

これまでこの子たちと舞台を作り上げてきました。

 

 

数年前までは人前で大きな声なんて出せなかった子が

この日は、仁王立ちで大きな声でセリフを言いました。

 

「バルーン」をやりたい子は思いっきり両手を振り回しました。

 

それぞれのやり方で、いい。

 

 

そんな想いがしっかりと伝わって

この子たちの中に育っていることが、嬉しくて

みているこちらが泣きそうになりました。

 

 

さあ、いけ！！

 

 

７年分の成長の記録

 

２０１３年に、座・高円寺で初めてたったその舞台で

成長した君たちの姿を。

 

杉並から何度も何度も福島に通い、南相馬に触れて

たくさん感じた全てのことを

思いっきり舞台の上で表現するまであと80日。

 

 

今日も、前へ！！

 

どうか、唯一無二のこの舞台に対して、

皆様からのご支援を、よろしくお願いいたします！！