こんにちは。はじめまして。
福島市出身・東京在住、神楽面デザイン担当のワタナベサオリです。

本職はコマ撮り人形アニメーション作家です。
イラストを描いたりCMソングを歌ったりもしています。
昨年は、福島県のキャラクター”キビタン”や福島市観光PRキャラクター”ももりん”のコマ撮りアニメーションを作ったりしました。
どうぞよろしくお願いいたします!

制作チームからの発信第一号として、私からは《神楽面のデザイン》についてお話させていただきます。

 

「ふくしま未来神楽」で使われる面は【飾り面】【鬼の面】【小鬼の面】【狐の面】の4面です。

まずは、鬼と神様の2つの顔を持つ【飾り面】
未来の祀りの象徴ともいえる飾り面は、震災から今に至る”破壊と再生”の象徴でもあります。
右は神様。見るものを慈しむ下向きの瞳。
左は鬼。見るものを威嚇する上向きの瞳。
肌の色は同じで、質感でそれぞれの役割を際立たせ、傷は陰陽の太極図をモチーフにそれぞれを分けています。

 

悲しみを機に生まれてしまった【鬼の面】
鮫肌の肌、長く白い角。言葉を飲み込みぐっと食いしばる口元。
その表情の奥にこの鬼の人柄をすくい取れるよう、透明でまんまるなきれいな目の鬼にしたいと思いました。
瞳孔がふたつあるのは、涙で鬼自身の視界が揺らいでいるからです。
鬼の顎には大地震の由来とも言われている大ナマズを描きました。
鬼の顔自体が、地中深くナマズを押さえつけているといわれている”要石”となっています。

 

そんな鬼を囲むように無邪気に笑い舞う子【小鬼の面】
鬼の面を元に、輪郭を一回り小さくし、髪のように見える「がっそう」を被せて童っぽさと愛らしさを出しました。
鬼といえども子供は子供。やっぱり笑っていて欲しいという思いを込めて、口元は笑顔です(目は鬼と同じです)。
鬼面が男性的なため、小鬼は女性的な方向にしました。

 

そして稲荷神社といえば、神様の遣いでもある【狐の面】です。
朴の木の葉っぱと、花のまち福島(花びら)をモチーフに、白くてシンプルな面にしました。
鼻から伸びる8本のひげは八方除けの意があります。
(あちこちに伸びてかわいいでしょう?)
神様の左右にいる狐ということで目つきの違う2匹です。

 

面はあくまで面でしかありません。
そこに命が宿るのは、舞手が顔に着けて舞う時です。
それぞれの面がどんな場面でどんな風に登場するのか、私も今から楽しみです。

 

さて、ここからは余談です。
少し長いので、ゆっくりお茶でも飲みながら読んでいただけるとうれしいです。

神楽面をデザインにあたり、単に神楽の歴史や伝統、礼儀や習わし、タブーを知ることのほかに、
何よりも生きている者、生きられなかった者の思いを汲み取ることが必要でした。動物たちも例外ではありません。
まずは知ることから始めました。

そのあとは、昔を思い出す作業をしました。
それは、地元を離れ、一人暮らしを始めて2ヶ月後に急性白血病と誤診を受けたときと、
震災で福島県内の同姓同名の方が亡くなられたことを知ったときのことです。

ようやく始まった北国での大学生活に夢と期待を膨らませていた18歳には、
誤診とわかるまでの時間はあまりにも重く、親にも友人にも話すことができなくて、
これからを精一杯考えた独りの時間でした。
”わたなべさおり”という名は、よく聞く名前といえばそうなのですが、
震災当時はどうしても他人とは思えず、嗚咽しました。

その度、このまま死んだら誰が自分を覚えていてくれるだろうか?と考えていました。多分、本能的に。
突然「もう長くない」と言われたら。もしくはそれを知る間も無く、居なくなってしまったら。

18歳の頃の記憶を思い出しながら、
津波で大切な人を失った方のお話を噛み締めながら、震災当時の怒りや悲しみ、絶望感を思い出しながら、
それでもやっぱり未来に残したいものは”慈愛”のような気がして、そんな思いを込めてデザインさせていただきました。
演出家・木村純一さんにご相談させていただきながら。


まつり当日は、狐面にお客さまが絵を描いて一緒に踊ることができます。
もちろん、お面はお持ち帰りいただけます。
ご家族そろって、ぜひ参加してみてくださいね。

以上、神楽面デザイン担当 ワタナベサオリでした!
読んでいただき、ありがとうございました。
 

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