【応援メッセージ】森達也さん（映画監督・作家）

　数年前、京都朝鮮第一初級学校を訪ねた。2009年に「在日特権を許さない市民の会」（在特会）を始めとする右派系市民団体のメンバーが校門前で、校舎内の子どもたちに聞こえるように罵声をあげて街宣活動を行い、それをきっかけに京都市伏見区の山間の校舎に移転した学校だ。

　授業を見学し、給食を一緒に食べた。さらにその翌年、埼玉にある朝鮮初中級学校を訪ねた。その日は文化祭。いろんな催しがあった。終わってから子どもたちの父兄とマッコリを飲んだ。酔っぱらった。楽しかった。そしていろいろ考えた。

　彼ら在日２世３世（最近は４世５世も多くなった）は日本で生まれ育ちながら、選挙権が与えられていない。立候補はおろか投票する権利すらない。つまりこの国は彼らを主権者として認めない。税金はしっかりと納めさせるのに。

　そして朝鮮学校には、国からの補助金が交付されていない。日本の法律である「学校教育法」の規定を満たしていない、との理由で、法的には「各種学校」の扱いだ。かつては自治体からの助成金を受けて運営していたけれど、2013年には朝鮮高級学校だけが「高校無償化制度」からも除外され、それまで支給されていた自治体からの助成金までストップした。だから思う。

　どこまでいじめるのか。どこまで排除するのか。どこまで彼らを追い詰めれば気が済むのか。

　国家と国民一人ひとりは違う。そのメッセージを伝えたい。せめて冷暖房くらいは設置してもらいたい。国籍やイデオロギーや信仰や肌の色や言語の違いはある。当たり前だ。でも体温はみな同じ。その思いを伝えたい。教育は何よりも重要。

　みなさんも協力してください。