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今日はあるレッスンの一コマです。

活動目標は提携スクールのインストラクターによるレッスンですが、空きがない時などは出張レッスンを行っています。

 

関西より提携スキースクールを訪れた、10代後半の自閉症の男性。

私が話しかけても会話する事も難しく、意思の疎通も不可能かと思う状態でした。

初めて見る雪景色に、車から降りる事も躊躇していた姿が、たった数時間で驚く変化を見せてくれました。

 

ご両親のご希望は、立って滑って欲しいとの事でした。

しかし、スキーをつけて、立っていられるか?

その前に、スキー靴を素直に履いてくれるか分からない状況でした。

そこで、初日は座ってスキーを試しました。

 

彼から見ると、初めて見る訳の分からない道具。

座る事はもちろん、近づく事も恐れているように見えました。

ご両親の力を借りて、半ば強引に乗せて、ベルトで身体を固定しました。

何だか分からないうちに、リフト乗り場へ押して行きます。

何だか分からないうちに、リフトに乗車させました。

リフトが宙に浮き、少し怖がっていたのは、ほんの数分間でした。

 

こわばっていた表情が穏やかになり、雪の積もった木々や、遠くの雪山を眺めていました。

心地よい風を感じ、リフトに揺られ、シーンと静まり返った世界に、彼は何を感じていたのか、本当に心の中を覗いてみたくて仕方ありませんでした。

 

リフトを降り、ゆっくりと滑り出します。

彼の座る椅子の肩の部分においてある私の手を、ギューッと握っていましたが、雪の上を滑る感触が気持ち良いのか、いつしか両手を横に出して、まるで飛行機ごっこをしているかのようでした。

 

少しずつスピードを上げ、左右にターンをさせます。

すると、彼の飛行機が、傾き出しました。

ゆっくりと右へ、左へ、羽が傾き、スキーもターンします。

彼は真っ白な雪の上を滑るのではなく、まるで魔法の絨毯で飛んでいるように感じたんでしょうか?

 

遠くの雪山を見ていたのか?

行きたい方向を見ていたのか?

「何でそこで曲がったの?」って聞いても答えてくれませんでしたが、白い歯が見えたり、ニコニコした目になったり。

『楽しい』と言葉では表してくれませんでしたが、表情を見ている私も本当に嬉しく思いました。

『言葉』より、もっと分かりやすく気持ちの疎通を図る事ができました!

 

 

昼食後、身支度をしようとするご両親を振りほどくかのように、まっすぐバイスキーに向かう後ろ姿に、ご両親の目は点になっていました。

 

翌日は、立位でのレッスン。

私ではなく、提携スクールのインストラクターが担当しました。

前日のお陰で、雪の上に立つ事、リフトに乗る事、滑る事、全て順調に進んだとの事です。

 

いろいろな器具があるから、受講生に適したレッスンができる。

だから一つの障害や、一つの器具にこだわることなく、門戸を広げていきたいと考えています。

 

 

そんな彼の『魔法の絨毯』は『バイスキー』という道具です。

いや、私たちにとって、『魔法の絨毯』でした。

 

 

◇バイスキー
チェアスキーとともにシットスキーの一つです。大きく異なる点は、チェアスキーはスキー板が1本なのに対し、バイスキーはスキー板が2本あるところです。重心を支える支持基底面が大きくなるため、上肢の筋力が弱い方や脊椎が湾曲し重心が両臀部の中心にない方にも対応できます。また、補助スキーを使用することで、失調などバランス保持が難しい方、両上下肢を切断している方、骨がもろく転倒の衝撃に耐えることができない方、スキーを安全に行うための指導や指示を理解できない方にも雪山の素晴らしさを体験してもらうことができる応用性の高い器具です。

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