生命危機が迫る外傷患者を一人でも多く救う、研究・臨床の継続へ

寄付総額

5,693,000

目標金額 5,000,000円

寄付者
188人
募集終了日
2020年6月8日

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2020年05月11日 18:00

一秒後に消えてしまうかもしれない命のために -室野井 智博-

【アキュートケアサージャリー】一一このAcute Care Surgery(ACS)という名前を聞いて、どれほどの人が、実際の活動を理解しているでしょう。今回のクラウドファンディングで初めて聞いた方も多いと思います。

日本では一般的に「外科医」と「救急医」を、異なる分野として考えます。それぞれ高める技術の専門性が違うため、例えば、<重篤な患者が緊急で運ばれてきた場合、手術に秀でた外科医が救急の時間帯にいなければ、それで救えない命がある>というのが日本の現状です。

ACSは、救急と外科手術の高い知識と経験を持ち合わせ、迅速に高度な治療を行うことのできる「救急外科医」が働く、新しい分野です。

今回は、READYFORのキュレーターが、ACSで活躍する先生たちへのインタビューを通じ、普段は医療に関わりのない人々が疑問に思うであろう視点で、取材記事にまとめました。初回は、室野井 智博(むろのい ともひろ)先生にお話をお伺いしました。

 

一秒後に消えてしまうかもしれない命のために

一一 室野井先生が「Acute Care Surgery(以下ACS)」にて、任されている役割はございますか。

通常の仕事に加えて、研修医の指導医を担当しています。

 

 

一一 医療ドラマでも研修医に焦点を当てたお話はよくありますよね。先生はどういったことを意識して教育をされているのでしょうか。

「目の前に患者さんがいる限り、救急は逃げられない」ということを先ず意識してもらっています。僕たちは、一秒後に亡くなってしまうかもしれない患者さんを前にして、瞬時に正確な薬の投与や処置を行わなければいけない。しかも、命を左右するような重大な薬や処置の選択を迫られます。少しの判断の違いで、結果に大きな差を与えてしまいます。

 

記憶のキャパシティは有限なので、調べながら対応なんていう時間の猶予のない緊急を要する疾患に対しては症状を把握し、治療法や薬の必要な知識は確実に身に付け、間違いなく対応できるように叩き込む必要があります。

 

 

一一 非常に高いレベルを求められる世界ですね……。

医療ドラマで「胸腔ドレーン*をどうしよう……」などと慌てるレベルの研修医が演出であったりしますけど、その状態ではドクターカーなどプレホスピタルには行けないですね(笑)。知識だけでなく、経験も積み、適切な判断と手技を選択できなければ、現場に行かせることはできないので、基本的には研修医レベルでは独り立ちはできないです。

* 体腔内に溜まった水分、血液、リンパ液、膿瘍などを体外に排出するために用いられる管

 

 

一一 ご自身の安全も確実ではない状況もありますよね。その上、瞬間の判断を迫られ続ける環境で、それが全て人命に関わることだとしたら、重圧に負けて自分だったら続けていられる自信がないです。

僕の場合は「これしかできないから、しがみついている」のかもしれない。「死の淵にいる人たちを、いかに生きる方に引っ張り上げられるか」というのが僕たちの仕事で、救命が使命。DMAT(災害派遣医療チーム)としても、東日本大震災、西日本豪雨などで出動しましたが、もちろん身の安全は確保しなければなりませんが、命の保証はできません。それでも、一人でも助けられるのであれば真っ先に現場に行きたいと思います。

 

 

ブラック・ジャックが一人いても、救急の現場では助けられない

一一 圧倒的な知識、経験、柔軟な判断力……求められることはたくさんあると思いますが、救急において特に必要とされるものはなんでしょうか。

結局コミュニケーションが大事ですね。緊迫な現場でも、いかに仲間とスムーズな連携を取れるかが非常に重要。スタンド・プレーが得意で、一人で対応できてしまえるブラック・ジャックのような天才医師が一人いたとしても、僕たちが相手にしている救急の現場では通用しません。看護師やその他のスタッフも含めて、全員に共通認識があり、同じ言葉を持って動けるチームではじめて救急は成り立ちます。

 

 

一一 お互いの信頼関係がないとできない仕事ですね。

その通りですね。あとは、自分の判断がベストではなかった事態が発生したら、その場で指摘し合えることや自身ももちろん反省しなければなりませんが、今後のために、今回の症例ではなぜその治療法を選択したのか等、チームとして真剣に振り返り、次に活かすことができる関係性にないと、この仕事を続けて行くことはできません。

 

 

意識のない患者さんを前にして、手術後の生活の質までをも考えた治療を選択する

一一 先生はなんで医師の道を選択したんでしょうか。

僕は、開業の歯科医の息子なんですが、弟も妹も叔父も歯医者で(笑)。幼い頃から医療は身近なものでした。自然とこの分野に興味を持つようになった頃には、なぜか自然と「医者」と「歯医者」とを天秤にかけて考えていて、僕自身は歯を治療したり綺麗にしたりことを “生業” とするより、「人の命を救いたい」という気持ちを強く持つようになりました。

 

 

一一 それで救命の現場に近い「救急」を選んだんですね。

それが実際には、出身大学が自治医科大学というところで。卒業してから9年間は僻地の診療所などで働くこともあるような、「地域医療」に進むことを義務付けられている大学を卒業したので、ストレートに救急や外傷外科へ進むルートには最初は乗れていませんでした。栃木県日光市の湯西川の側で、一人診療所の所長をやっていた時期もあるんです。

 

 

一一 『Dr.コトー診療所』のような……。

離島ではなかったですが、近いイメージかもしれないです。地域の診療所で働いていたからこそ経験できた、「地元の人々との触れ合いの中での医療」を勉強できました。「人々にとって生活の中で身近な存在としての医師」というのは、今でもコミュニケーションの際に意識することがあります。

 

当時は、大きな病院から退院した患者さんを「引き受けて診る側」だったので。患者さんの家での暮らしにも実際に触れていたからこそ、今も「治療したからといって終わりではない」ことを意識した対応を選択するように心がけています。 

 

 

一一 <患者さんのQOL(生活の質)を考えた治療の選択>ですね。意識のない患者さんであれば、命を救った後までも考えて、治療方針を決めるなんて大変なことですね。

そうですね……。当時二十歳にもなる前の年齢だったと思うんですが、自動車を運転して地元に帰る途中で事故を起こしてしまって、腹腔内出血で運ばれてきた女の子の緊急手術を行ったことがあります。今もSNSとかで連絡をくれるんですよ。普段の投稿でも元気な様子を見られたりすると安心します。

 

好きな服も自由に着たい年頃だと思うんですけど、ある時、SNSでシェアされた写真に、みんなと一緒に笑う彼女のお腹に、手術の傷跡があるのを見て……。複雑な思いをしたことはあります。でも命あってこそだから、頑張って乗り越えて元気に生きてくれているんだなって、実感できる時は純粋に嬉しいです。

 

 

資金さえあれば加速させられるかもしれない研究

一一 先生はACSでどんな研究テーマを扱っているのでしょうか。

僕がやっている研究は大きく分けて二つです。一つは腸が腐ってしまう病気(上腸間膜動脈血栓症や非閉塞性腸管虚血症など)に関する研究。腐ってしまった部分は摘出しないといけないのですが、腸管の大部分を失ってしまうと、口から食べても栄養を吸収できない状態になってしまう可能性のある病気です。そうなると点滴で栄養摂取しなければならない身体になる。

 

だから、なるべく腸管を取らないで済む研究をしています。具体的には、明らかに死んでいる部分と確実に健康な部分との間に、“どちらか判別ができない部分” が存在するんですね。縫合不全のリスクを回避するためには、現在は絶対問題ないと判断できる部分同士をつなぐしかないので、結果的に残せる腸管が短くなってしまう。

 

患者さんのADL(日常生活動作)に、非常に関係する手術です。だから、健康な腸管かどうかを判別できるような検査方法を研究しています。

 

 

一一 それは非常に重要な研究ですね。一生を点滴で過ごす可能性を回避できる可能性があるのであれば、一日でも早く成果が出ることを願います。もう一つはなんでしょうか。

災害時の「トリアージ」の研究をしています。ドラマでもよく出てくるシーンなので知っている人も多いかもしれません。例えば、飛行機事故などで何百人と怪我をしている現場で、マンパワーが限られている場合に、誰を優先的に診るかの判断が非常に重要なんですが、それに使われるのが「トリアージ・タッグ」。

 

 

赤・黄・緑 ・黒の色分けで重症度や緊急度を判別するタグを傷病者の手首に取り付けるのですが、一人ひとりそれをつけるために状態を診て廻る。迅速に対応するには人海戦術しかなくて、しかも、紙とペンでやるんですよ。何十年と変わっていない。

 

 

一一 なんと今このデジタルの時代に……。

それで、将来的に「オート・トリアージ」を実現できるように、スマートウォッチのアプリを開発しています。自動で心拍数を計測して、表示される質問にどう本人が対応するかで、重症度を判断できる。加えて、GPSでその傷病者のところへ優先的に助けに行くことができれば、助けられる確率も上がります。

 

 

一一 将来起こるかもしれない「首都直下地震」のことを想像しました。皆んなスマートウォッチをつけて、先生の開発したアプリを入れておいた方が確実に良いですね……。

 

 

日本どの地域で怪我をしたとしても、その人を助けられる未来へ

一一 そんなに大事な役割を担っていて、ACS講座の研究にはもっと予算がつけられないのでしょうか。災害大国なのに。

研究は目先の利益につながる訳ではないので。実績があれば……というのもあるけれど、新興講座だし難しいところだと思います。研究も一刻も早く進めて、「備えあれば憂いなし」の状態を実現したいところですが、なかなか先のことには投資してもらえないのが現状です。しかし、アメリカではACS講座は、スタンダードな存在です。10年後の日本でもきっとそうなっていると思います。

 

 

一一 10年と言わずもっと早くACSが拡がって行ったらいいのにと思いました。

そうですね。「ここの病院に行けたから助かった」の逆で、「あの病院に行けていたら生きていたのに」のようなことが、日本には現実問題として、今の医療体制が抱えている課題があります。そんなことがないような、日本のどの地域で怪我をしたとしても、その人を助けられるような未来を作りたいです。

 

【救出困難と考えられる外傷や疾患を救命できるように、研究を重ね、一人でも多くの患者さんを救命可能に】

今回のクラウドファンディングhttps://readyfor.jp/projects/Acute_Care_Surgeryでは、一年間、重症外外傷患者の治療に関する研究(研究成果の発表による出張費用、英文校正費用、研究実施費用(実験動物等を含む)など)を行うための資金として、500万円の寄附を募っています

救命が困難と考えられる外傷や内因性疾患を救命できるよう、「治療法の研究」を行うこともACSの大切な役割です。全国に一つしかないこの場所で、多くの若き外傷外科医が研究と臨床を実践できるよう発展させることが、日本全体の外傷死を減らし、家族や大切な人が外傷によって命を落とすことのない社会へ一歩近づけることに繋がります。どうか皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

インタビュアー/READYFORキュレーター・田島沙也加

◆プロフィール:室野井 智博(むろのい ともひろ) 

島根大学医学部 Acute Care Surgery講座 助教

出身大学:

自治医科大学(平成18年)

専門分野:

Acute Care Surgery、救急医学、集中治療、災害医療

専門医:    

日本外科学会 外科専門医 / 日本救急医学会 救急科専門医 / 日本集中治療医学会 / 集中治療専門医 / 日本Acute Care Surgery学会 ACS認定外科医 / 日本腹部救急医学会 認定医 / 社会医学系専門医・指導医(日本集団災害学会)/ 日本外科学会 外傷外科医養成研修事業 研修修了者 / 認定災害医療ロジスティクス専門家 / 臨床研修指導医

コース活動:    

AHA-BLS (JCS-ITC)  インストラクター、コースディレクター / AHA-ACLS (JCS-ITC) インストラクター、コースディレクター / AHA-ACLS-EP (JCS-ITC) インストラクター / JPTEC インストラクター / JATEC インストラクター、インストラクタートレーナー / MCLS  インストラクター / ATOM インストラクター / SSTT  サージカル インストラクター /  DSTC  ナショナルファカルティ / ASSET インストラクター / FCCS  インストラクター / 日本医学シミュレーション学会 CVCインストラクター

その他:    

日本DMAT隊員 / 統括DMAT / DMATロジスティックチーム / 国際緊急援助隊 医療チーム

 

本プロジェクトへのご寄附は以下から

 

 

 

ギフト

3,000


alt

①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(PDFデータを電子メールにて送付)

※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定

寄付者
54人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年8月

10,000


alt

①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2

※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定

寄付者
86人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年8月

30,000


alt

①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後にハイブリッドERおよびドクターカーの見学会を行います ※2

※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定

寄付者
24人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年8月

50,000


alt

①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後にハイブリッドERおよびドクターカーの見学会を行います ※2
⑥当医局HPに寄付者名掲載(個人のお名前のみ、法人名掲載不可) ※3

※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
※3 掲載期間は1年間です

寄付者
13人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年8月

100,000


alt

①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後にハイブリッドERおよびドクターカーの見学会を行います ※2
⑥当医局HPに寄付者名掲載(★法人名も掲載可能) ※3

※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
※3 掲載期間は1年間です

寄付者
11人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年8月

300,000


alt

①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後にハイブリッドERおよびドクターカーの見学会を行います ※2
⑥当医局HPに寄付者名掲載(★法人名も掲載可能) ※3
⑦Acute Care Surgery講座研究室内に寄付者名掲載(小サイズ) ※3

※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
※3 掲載期間は1年間です

寄付者
0人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2021年8月

500,000


alt

①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後に研究室の見学会を行います ※2
⑥本学HPに寄付者名掲載(★法人名も掲載可能) ※3
⑦Acute Care Surgery講座研究室内に寄付者名掲載(中サイズ)
⑧ドクターカー(車外)に寄付者名掲載(中サイズ) ※3

※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
※3 掲載期間は1年間です

寄付者
2人
在庫数
1
発送完了予定月
2021年8月

1,000,000


alt

①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後にハイブリッドERおよびドクターカーの見学会を行います ※2
⑥当医局HPに寄付者名掲載(★法人名も掲載可能) ※3
⑦Acute Care Surgery講座研究室内に寄付者名掲載(大サイズ) ※3
⑧ドクターカー(車外)に寄付者名掲載(大サイズ) ※3

※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
※3 掲載期間は1年間です

寄付者
1人
在庫数
1
発送完了予定月
2021年8月

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