生命危機が迫る外傷患者を一人でも多く救う、研究・臨床の継続へ
寄付総額
目標金額 5,000,000円
- 寄付者
- 188人
- 募集終了日
- 2020年6月8日
医療体制が原因で、救えない命を出してはならない。 -下条 芳秀-
【アキュートケアサージャリー】一一このAcute Care Surgery(ACS)について、今回のクラウドファンディングで初めて聞いた方も多いと思います。
日本では一般的に「外科医」と「救急医」を、異なる分野として考えます。それぞれ高める技術の専門性が違うため、例えば、<重篤な患者が緊急で運ばれてきた場合、手術に秀でた外科医が救急の時間帯にいなければ、それで救えない命がある>というのが日本の現状です。ACSは、救急と外科手術の高い知識と経験を持ち合わせ、迅速に高度な治療を行うことのできる「救急外科医」が働く、新しい分野です。
READYFORのキュレーターが、ACSで活躍する先生たちへのインタビュー取材を行いました。第2回は、下条 芳秀(しもじょう よしひで)先生にお話をお伺いしました。
「阿吽の呼吸」が救急では命取りになるかもしれない
一一 下条先生が「Acute Care Surgery(以下ACS)」にて、任されている役割はございますか。
医師としての直接的な技術ではないという部分で、「ノンテクニカルスキル(コミュニケーション)」を主に担当し、医学生などにその重要性を伝える講義を行ったりしています。
一一 前回の室野井先生でのインタビューでもACSではコミュニケーションを非常に重要視しているとお伺いしていました。
コミュニケーション、チームワーク、リーダーシップ、状況認識、意思決定などを包含して「ノンテクニカルスキル」と呼んでいます。
一昨年には、ANAにおける3泊4日のコミュニケーション研修に代表して参加しました。“コミュニケーションエラーが航空機の事故につながる” とされているからこそ航空会社ではノンテクニカルスキルの概念が取り入れられていますが、最近では救急医療の「安全性」と「効率性」を担保する重要な技術として、ノンテクニカルスキルが注目されています。
一一 コミュニケーションが重要であると教える中で、特に注意して伝えられているポイントはどこでしょうか。
学生に特に強調しているのは、“外傷診療が通常の診療と異なる” という点です。診断後の予定手術と違い、私たちが相手にする外傷のほとんどが、つい先程まで元気な方が重篤な状態で運ばれてきて、どのような損傷があるか分からない中で適切な治療を施さなければならないということ。
瞬間の判断が重要視される一方で、速さを優先することで、重大な見落としが起こるかもしれない。「自分が見えてるものは、周りの人には見えてない」という意識を常に持つように伝えています。
不安定な状況下では「阿吽の呼吸」もダメ。現状を共有して、次の戦略を仲間に述べる。それをACSでは重要視しています。コミュニケーションを上手くとることができなければ、アキュート・ケア・サージャンとしては結構きついですね。
一一『白い巨塔』のような世界ではなくて、本当に助け合い、チームワークあってこそのACSですね。
医師になって最期に寄り添える人になろうと思った
一一 下条先生がACSで働くようになったきっかけを教えてください。
長崎県の離島の田舎生まれなんですが、高校生の時、近所に住んでいて僕のことを可愛いがってくれていたおばあちゃんが一人で亡くなったんですね。それで「ひとりで亡くなるのは寂しいな」と思って……。自分が医師になれば、誰かにとって大切な人が孤独で死なずに、ちゃんと看取ってあげられるかもしれないと思ったんです。
一一 「自分が医者になれば命を救えるかもしれない」という発想ではなく、孤独死をさせたくなかったという理由で、この道を選んだんですか。
そうですね、その時は素直にそれだけで。最期は一人ではなく、その人の側に寄り添ってあげられる人になりたいと思ったんです。それで医学部を目指そうと思って。でも救急医療を選んだのは、やはり自分が離島育ちというのもありました。海を渡って専門医に診てもらえない高齢の方もいる。「いつかは島で医療を」という思いもあります。
一一 「コミュニケーション」を大事にしている下条先生だからこそ、仲間とだけではなく、患者さんやそのご家族との関係性なども大切にしていそうですね。
一応、例えば癌患者さんに対してなど、良くない内容を告知する場合のコミュニケーション等では、講習会が実施されたりして学びの場はあります。だけど、僕たちが対峙するのは、“突然” に発生することなので、より難しさは感じます。医師、看護師、患者家族の関係が成り立っていないまま、最善なコミュニケーションを考えなければなりませんから。
一一 常々その時のベストを考え尽くしてやるしかないですね。
何がベストだったか、正しい答えはいつもわかりません。しかし、患者さんにもご家族にも、「彼らが自分の家族だったら」と考えることを忘れないようにしています。残念ながら突然の死と向き合わなければならない方もいらっしゃって、そういった中でのコミュニケーションでは、何が正しいのか正解なんて分かりません。だけど「自分の家族だったらどうするか」を大切な軸として常に考えることで、ブレない対応ができるんじゃないかと思っています。
集中治療中に発生した「合併症の早期発見」もACSで行われる研究の対象
一一 下条先生が研究されているテーマを教えてください。
複数ある研究の一つに、「虚血性腸炎」という腸が血流障害を起こして壊死してしまう救急疾患の研究を行っています。意識のある人であれば、痛みを伴うので、自分で気がついて受診に向かうことができますが、実は「集中治療中」において発生頻度が高い疾患なんです。
人工呼吸器を使っていたりとか、意識がなかったり、集中治療中は「お腹が痛い」なんて言えない患者さんが大多数。そんな状況でどうやって僕たちが気づくのかというのが課題で、診断が遅れてしまうことがあるので、早期発見ができる方法を研究しているところです。
一一 先生たちは「集中治療」まで診られているんですよね。研究の領域も広く感じます。
そうですね。本来は他の病気で集中治療室に入っていたりとか、意識がなかったりする患者さんのうち、ご高齢の方では糖尿病や動脈硬化のせいで、他の合併症も出やすい。集中治療中に発生してしまう他の合併症の早期発見も、患者さんの命を守るために僕たちに必要な知識・技術なので、研究を進めています。
現代の医療体制では救えない命が出てしまう
一一 下条先生はACS講座の創立時からメンバーとして、ACSを日本に拡めようと尽力されていますね。災害の多い日本でなかなかACSの考え方が浸透しないことに違和感を感じるのですが、一体なぜでしょうか。
昔は、“General Surgery”(一般外科)と言われ、ACSの近い分野の外科医が存在していました。ACSは、外傷外科、救急外科、外科的集中治療の3つの領域を担当していますが、従来は、一般外科が担当してきました。しかし、外科が臓器別などでどんどん専門細分化されていったのです。
一一 プロフェッショナリティが増すようで、良いようにも感じますが……。
もちろんそういったメリットもあります。「低侵襲外科治療※1」などロボットで細かい手術をするとか、ここ15〜20年位で随分進んでいます。
※1 従来行われていた手術に比べて、患者さんの体に対する侵襲(負担)を減らした体に優しい手術
しかしそうすることで、現代の医療体制では救えない命が出てしまうことは事実です。臓器などの専門細分化された医療体制だと、救急の場において、「僕は肝臓を専門にしているので、この手術はわかりません」とか、そういった理由で救えない命が出てきてしまいます。その現状をなんとか改善していくことができればと思います。
救急はスピードが重要なのに、対応できる外科医が救急の時間帯にいないという理由で、迅速に対応できない状態ができてしまう懸念があります。一方で、ACSで働く僕たちは「時間依存性の病気」に対する外科医として思っていただくと分かりやすいと思います。時間帯で悪化する疾患や外傷を診ている。一般外科医がいなくなった今、ACSはまた普及すべきだと思うのです。
一一 日本の医療は細分化しすぎて、「隙間」ができてしまったんですね。
隙間ができてしまった分を急いで埋めないと。救急の患者さんのほとんどは、今の医療体制では「仕組みの隙間にある命」なので。一人でも多くの命を救い上げられる体制を国内で早期に構築したいです。
【救出困難と考えられる外傷や疾患を救命できるように、研究を重ね、一人でも多くの患者さんを救命可能に】
今回のクラウドファンディング( https://readyfor.jp/projects/Acute_Care_Surgery )では、一年間、重症外外傷患者の治療に関する研究(研究成果の発表による出張費用、英文校正費用、研究実施費用(実験動物等を含む)など)を行うための資金として、500万円の寄附を募っています。
救命が困難と考えられる外傷や内因性疾患を救命できるよう、「治療法の研究」を行うこともACSの大切な役割です。全国に一つしかないこの場所で、多くの若き外傷外科医が研究と臨床を実践できるよう発展させることが、日本全体の外傷死を減らし、家族や大切な人が外傷によって命を落とすことのない社会へ一歩近づけることに繋がります。どうか皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
インタビュアー/READYFORキュレーター・田島沙也加◆プロフィール:下条 芳秀(しもじょう よしひで)
島根大学医学部 Acute Care Surgery講座 助教
出身大学:
島根医科大学(平成15年卒業)
専門分野:
Acute Care Surgery、救急医学、病院前診療学、集中治療学
専門医:
日本救急医学会 救急科専門医 / 日本外科学会 外科専門医 / 日本消化器外科学会 消化器外科専門医 / 日本集中治療医学会 集中治療専門医 / 日本Acute Care Surgery学会 ACS認定外科医 / がん治療認定医 / 消化器外科がん外科治療認定医 / 日本航空医療学会認定指導者
学会活動:
日本Acute Care Surgery学会 評議員
コース活動:
JATECインストラクター / MCLSインストラクター / ICLSインストラクター / JPTECインストラクター
その他:
日本DMAT隊員 / DMATロジスティックチーム
本プロジェクトへのご寄附は以下から
ギフト
3,000円
①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(PDFデータを電子メールにて送付)
※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
- 寄付者
- 54人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年8月
10,000円
①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
- 寄付者
- 86人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年8月
30,000円
①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後にハイブリッドERおよびドクターカーの見学会を行います ※2
※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
- 寄付者
- 24人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年8月
50,000円
①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後にハイブリッドERおよびドクターカーの見学会を行います ※2
⑥当医局HPに寄付者名掲載(個人のお名前のみ、法人名掲載不可) ※3
※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
※3 掲載期間は1年間です
- 寄付者
- 13人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年8月
100,000円
①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後にハイブリッドERおよびドクターカーの見学会を行います ※2
⑥当医局HPに寄付者名掲載(★法人名も掲載可能) ※3
※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
※3 掲載期間は1年間です
- 寄付者
- 11人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年8月
300,000円
①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後にハイブリッドERおよびドクターカーの見学会を行います ※2
⑥当医局HPに寄付者名掲載(★法人名も掲載可能) ※3
⑦Acute Care Surgery講座研究室内に寄付者名掲載(小サイズ) ※3
※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
※3 掲載期間は1年間です
- 寄付者
- 0人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年8月
500,000円
①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後に研究室の見学会を行います ※2
⑥本学HPに寄付者名掲載(★法人名も掲載可能) ※3
⑦Acute Care Surgery講座研究室内に寄付者名掲載(中サイズ)
⑧ドクターカー(車外)に寄付者名掲載(中サイズ) ※3
※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
※3 掲載期間は1年間です
- 寄付者
- 2人
- 在庫数
- 1
- 発送完了予定月
- 2021年8月
1,000,000円
①領収証発行およびお礼状の送付 ※1
②進捗報告の活動報告冊子(冊子郵送)
③活動冊子にお名前掲載(希望者のみ)
④本学における研究成果報告会開催 ※2
⑤報告会開催後にハイブリッドERおよびドクターカーの見学会を行います ※2
⑥当医局HPに寄付者名掲載(★法人名も掲載可能) ※3
⑦Acute Care Surgery講座研究室内に寄付者名掲載(大サイズ) ※3
⑧ドクターカー(車外)に寄付者名掲載(大サイズ) ※3
※1 領収証は本クラウドファンディング成立後、2020年8~9月頃の発送予定
※2 研究成果報告会は2021年夏~秋頃を予定
※3 掲載期間は1年間です
- 寄付者
- 1人
- 在庫数
- 1
- 発送完了予定月
- 2021年8月