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山田勇磨の『科学の時間』【Lesson 4：ナノカプセル（後編）】では、現在活躍する『ナノマシン』を紹介します。皆さんは、どんなナノマシンを思い浮かべますか？？

 

 

『ナノマシン』？？？

今回のLessonでは、現在活躍する『ナノマシン』を紹介します。皆さんは、どのような『ナノマシン』を思い浮かべますか？？

20世紀のアメリカ映画『ミクロの決死圏』のように、“超小型のナノマシン” に人が乗りこんで体内を探索する “Scientific Fiction (SF)” の世界を想像する方もいらっしゃるかもしれません。このアイデアは現在、医療用ナノマシンとして開発が進められています！乗っているのは人ではなく薬なのですが...…。

 

 

バンガム博士によって発見されたリポソーム（脂質が材料のカプセル）は、現在活躍するナノマシンとして注目されてます。リポソームは大豆や卵黄に含まれるリン脂質と呼ばれる成分などが材料となってます。内側には水に溶けやすい薬を、カプセルの脂質膜には油に溶けやすい薬を乗せることができるので、色々な薬の運搬につかえます。また、ナノカプセルの大きさは、100 nm- 10 μmと使用目的によって調節が可能できます。医薬品だけでなく化粧品、サプリメント等にも応用が広がっています……。

 

ここからは、世界初のリポソーム製剤（1995年米国で承認）として知られているドキシル （Doxil）を紹介します。ドキシルは、抗がん剤・ドキソルビシンを内封したリポソーム製剤です。ドキソルビシンは癌を小さくする強力な効果がありますが、心臓に負担がかかる副作用のため、治療を断念しなければならないケースがありました。ドキシルは、がん組織への集積を向上させ、高い抗がん作用と、心臓への蓄積を回避して副作用の軽減を実現した体の中の動きを制御するナノマシンです。

 

今回のプロジェクトでは、がんに辿り着いたあと、さらにがん細胞のミトコンドリアに薬を届けることを目指しています。そのためには、細胞の中でのナノカプセルの動きをコントロールするさらに高機能なナノカプセルの開発が必要です。

 

夢のような話に聞こえるかもしれませんが、2年前の2018年の夏に世界初の核酸ナノ医薬品（パティシラン）[肝臓細胞の目的の場所に薬を届ける]が米国で承認されたニュースは、21世紀は細胞の中の動きを制御するナノマシンが医薬品として活躍することを研究者達に確信させました。

 

私たちが開発を進めているミトコンドリア標的型ナノマシン・MITO-Porterは細胞実験でミトコンドリアに薬を運ぶことに成功しています。より一層の努力は必要ですが、患者さんの力になれる医薬品開発につなげられると期待しています。この技術については次の機会にしっかり説明したいと思います。 本日のLessonはここまでです！