日本の精密加工技術を結集して、オートバイ世界最速記録更新に挑戦！

ここ４年間泣かされ続けの海運でしたが、何とか遅れながらも無事マシンの荷揚げが終わりました。当たり前のような、荷物が無事期日に届くということが、こんなにハラハラするとは知りませんでした。本当に海の世界の流通は難解です。
マシンを港の海運会社に運び込めば、そこからはもうお任せ…というわけにはいかないということを、アメリカにマシンを送るようになって初めて知りました。
まずは輸送用の木箱。アメリカに送る時は、害虫がついていないように燻蒸処理された木材しか使えません。もし未燻蒸の木材が発覚すれば、そのコンテナごと戻されるほどアメリカの検疫は厳しいです。

さらに危険物は完全に積み込み不可となります。今回もマシンのバッテリーの安全データシート（Safety Data Sheet）まで提出しましたが、それでも検査で通らない可能性があるということで、バッテリーは全て外して現地購入することになりました。更に、ガソリンを抜いておくのは当然として、ガソリンのSDSまで提出させられました。ガソリンを抜いているのになぜ？と思ったら、「わずかにタンクに残っている可能性があるから」とのこと。検査官によって判断が違うので、「そこまで必要はないのでは？」と思っていることでも、検査官が疑問に思いそうなことは徹底的に先回りして準備しておくことが遅れを防ぐ方法だということをこの４年間で学びました。
ここからが更に難解です。2021年のとき「無事マシンがロングビーチの港に着きました」という報を受け、安心してアメリカ行きの飛行機に乗りました。ところが、引取場所の倉庫に行けば、「まだ届いてませんよ」とのことでした。これは「港にはついたが、まだ荷上げは終わっていない。まだ荷上げの順番待ち」とのこと。「港が混んでるので、まだ荷上げに２〜3日はかかりそう」と聞いて「それじゃレースに間に合わない！」と青ざめました。海路の遅れ、検査の遅れ、荷上げの遅れ、もちろん土日は休みなので、金曜日に荷物が届かなければ最速でも到着は火曜日になるという、遅れが当たり前の特殊な世界。ともかく倉庫に届くまでは一瞬も安心できない。トラブルが起きた場合に備え、即応体制で備えておくべし！ということが骨身に染みました。
ちなみに、その2021年には、やっと届いた荷物が誤配品。木箱のはずが、似ても似つかない金属コンテナが届いていました。一旦荷物を港に戻して、再配送という経験をしました。倉庫に正しい木箱が届いていることを写真で確認するまでは一瞬たりとも気が抜けないというのは、そんな経験からの理由です。
ともあれ、これでやっと最終的な準備にかかれます。マシンがレースまでに届かないという致命的なトラブルはもう懲り懲りですから。