日本の精密加工技術を結集して、オートバイ世界最速記録更新に挑戦！

FIM（国際モーターサイクリズム連盟）から無事競技ライセンスが届き、BMST（ボンネビル・モーターサイクル・スピードトライアルズ）へのエントリーが完了しました！いかに現役世界チャンピオンとはいえ62歳。手元にライセンスが届くまでは出場が受理されるか、ちょっと不安だったりします。

今年出場するのはNSX-52(50cc+過給器)NSX-125(125cc＋過給器)の２台のマシンで６クラスにエントリーすることになります。2台で6クラスへの出場となると、ライセンス、保険、エントリーフィーだけでも100万円近い出費…。本当に円安を恨みます（苦笑）

ところで、この６クラスというのはちょっと説明が必要かもしれないですね。

ボクシングに例えると、同じ体重のクラスであっても、WBA、WBC、IBF、WBOと各団体に世界チャンピオンがいます。井上尚弥選手はその４団体の統一世界チャンピオンとなり、更に上のクラスでの統一チャンピオンを目指しています。スゴイですよね！

実は、ボンネビルの競技会はAMA（全米モーターサイクル協会）、FIMの共催で行われています。２つの団体でルールも違えば計測員も違っています。AMAのルールはアメリカらしくスピード重視でダイナミック！燃料もニトロの使用もOKで、空力も横風の危険よりスピード効率優先のルールです。計測距離も、これまたアメリカらしく１マイル。したがって、同じ排気量ならAMA規定で出場するマシンの方が記録が速いのも当然です。

一方FIMは安全重視。世界基準で、車検係官もモトGPから派遣され、厳密なチェックが行われます。実際2018年にはカウリングの形状がたった3mmルールにを抵触するということで、眼の前でカットされました。計測距離は、アメリカに敬意を払って１マイルと、世界標準の1kmの通過タイムが測られます。これは、スキージャンプのノーマルヒルとラージヒルと同じように別の記録扱いとなります。ですから、同じ50cc+過給器クラスでも本来３人の世界チャンピオンがいるはずです。

ところが、非常に難しいですが、その３冠全てのチャンピオンになれる可能性があります。

FIM規定のマシンであれば、AMAの競技にも参加可能です。ただし、「圧倒的不利なことを覚悟の上ならどうぞ」ということになります。SMCチームがアメリカで称賛を受けたのは、FIMルールのマシンでFIMの１マイル、１km、AMAの１マイル、その全てで世界最速記録を達成というパーフェクトウィンをやりとげたからです。しかも、それを50ccと125ccの２台のマシンで成し遂げたからです。ボクシングで言う２階級統一王者ということになります。本当に幸運でした！

とはいえ、そんな欲張りなことをしてしまうと後が大変です（苦笑）今年も各クラスとも前回の記録を上回ることを期待されているわけですから目まいがします。

先ずはFIMの１km！無事世界記録更新達成となるよう準備を急ぎます。