
発災直後の現地の状況③
READYFOR?をご覧のみなさん、こんばんは。
復興応援団代表の佐野哲史です。
①すべての秩序・事前の想定・マニュアルが崩れ、通用しない
②避難所で起こることは決して一様ではなく、避難所一つ一つで全く異なる
③避難生活の質は、「避難所運営の質」と「避難者のスタンス」で決定する
避難所を中心に発災直後の現地の状況を見た(※)佐野の「気づき」3項目のうち、今日は、③避難生活の質は、「避難所運営の質」と「避難者のスタンス」で決定する について、四つの論点で述べたいと思います。
1.誰が避難所の運営をするのか
避難所が学校であれば、まず先生が運営を始め、地元の自治体職員や住民に引き継がれていくケースが多かったように思えます。同じ公共施設でも市民体育館では、館内のジム等の運営委託を受けている民間企業のスタッフが運営するケースもありました。
学校でも指定避難所でない場合は、応援で入ってきた他府県の自治体職員やNPOスタッフが運営の中核を担うケースもありました。
その他、地元の中小企業の社長や、市議会議員、近隣の自治会長の合議体でやるケースなど様々でした。
2.住民リーダーが現れるかどうか
重要なのは、避難所に住民のリーダーが現れるかどうかです。
ある小学校では、地元飲食店のスタッフが初期から運営の中核を担い、住民と共に環境づくりに取り組みました。ある老人ホームでは、地元自治体のOBが最初の晩のパニックを鎮め、翌日に住民中心の運営体制をつくりました。
逆に、住民リーダーが現れないケースもありました。ある小学校では、地元自治体職員が住民を運営に巻き込まず、住民は要望を出すのみという関係性が長期にわたり続きました。
ある中学校では、住民同士の関係が悪く最後までリーダーが現れず、支援に入ったNPOがトイレ掃除はじめ全面的に運営を担ったケースもありました。
3.住民が運営上の役割を持っているかどうか
避難所の運営に、住民が役割を持っているかどうかも重要です。
例えば炊き出しの分配を運営側が一元的に行なうと、何らか不公平感が生じ住民側が不満を持つケースが見られました。一方で、階や教室ごとに住民側の担当を決め、運営側と住民側が分担した場合は不満が少ないというケースが多く見られました。
また、当番制で避難所とその周囲を清掃したり、食糧や物資の調達にあたったりと、住民が何らかの役割を持っている避難所には活気がありました。
ルールの決定や運営に住民が関わる=すなわち「自治」が行なわれている避難所の雰囲気がよかったことが鮮明な記憶として残っています。
4.運営スタンスがオープンかそうでないか
運営がオープンであるかどうかも重要です。ある避難所では、地元市議が運営の責任を負い、ボランティアや住民に積極的に役割を与えて任せるというオープンなスタンスを取った結果、物資も情報もどんどん集まってきて、また、取材も断らず、報道されてさらにボランティアも支援も集まり続けるという好循環が生まれていました。
半面、ある避難所では、元町内会長が、取材もヒアリングも物資提供の申し出も、基本的には断るスタンスだったため、物資も情報もボランティアも不足しがちな状態になっていました。
以上、③避難生活の質は、「避難所運営の質」と「避難者のスタンス」で決定する という事例でした。
ここで大事なのは、避難する際に、あらかじめ避難所を選ぶことはできないという点です。
苦難を乗り越えて避難してきたとしても、そこは物資が不足しがちかもしれないし、運営側と住民側は対立しているかもしれないのです。
こうした状況に直面したら、どのように行動すべきか?という命題を共に考えるのが、僕らの「防災減災研修」です。
今日は長くなりましたが、明日、これらの学びをもとに、まとめを試みたいと思っています。
最後までお読み頂いてありがとうございました。
※注
佐野は、2011年3月14日に発足した仙台・東京・関西のNPOと日本財団の合同プロジェクト「つなプロ」の現地本部長に就任、全国から集まった500人以上のボランティアスタッフと共に宮城県全域の避難所調査と人材・物資のマッチング活動に発災直後から数ヶ月間取り組んでおりました。
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