葦の芸術原野祭十日目のこと

バストリオの今野です。葦芸実行委員です。
これを読んでくれる皆さんとはお金や応援というかたちだけでなく、これから知床という土地で 起こっていくかもしれないことに関係していく人たちだと思ってここに書いてます。
最初の目標金額を達成したクラウドファンディングは次の目標に向かっていて、100万円という数 字は大きいですがアーカイブブック作成の先には第二回となる葦の芸術原野祭を見据えています。
この芸術祭が始まる前から継続ということが持ちうる可能性について話し合って実行委員のみんながそれぞれの視点で先を見据えながら現在地を確認してきた第一回です。

十日目は、初日からバストリオの公演(14-16日)と松本一哉ライブ(17- 22日)が続いた賑やかな日々を終えて葦芸が通常営業のような会場となった日でした。

暑い日々が続いたのち雨が降った斜里、平日ということもあってか静かな一日でしたが自分に とっては凄く大事な日でした。
いろんな濃いイベントが続いて盛り上がったあとにこそ得るものが多く発見の日となります。
何かを起こそうとすることと同じくらい、何でもない日というのは大切で、何でもないっていう ことは気のせいで大きな勘違いだと思ってます。エアポケットのように感じる一日こそが大事にしなくちゃいけない日です。

いつもより少し人が少なくなった会場を見つめることで、新たに手伝いに来てくれた斜里の人によって流れだす空気に気づきます、準備期間に採取した草花が枯れてることに気づきます、集まり展示されたものが固ってしまってることに気づきます、大事に並べて置いたはずの植物が散らばってることに気づきます、小さなゴミや埃が溜まってることに気づきます、雨で濡れた玄関に置いてある流木の重たさに気づきます、人が少ないせいか観に来た人がいつもより丁寧に展示を見てくれることに気づきます、、というように挙げたらキリがなく、さまざまな気づきが散らばっていて、そういった何かが次やったほうがいいことを教えてくれます。
気づかなかったらもうそのまま期間は終わって流れは滞ってしまって、終わった時にはもう何もしてあげれることはなくなってしまう。
ふっと落ち着いてただ何も起きてないと思い込んでいる空間を見つめるのが好きです。いつだって外から到来するものを待ってます。
こういう何も起こらない日に会場を内から外から様々な角度から見つめることで、新しい日々が創作されていくのだと思います。

ほんと現場にいるとどうでもよく過ごしていい日なんてないです。 だって終わったら終わりです、もう何もできない。
会場全体に集まってきた「おもいでうろうろプロジェクト」の企画で集まったもので一階は埋まってきて、二階は少しずつ窓から入ってくる風や扉から入ってきたお客さんによって「北の個体群」も小さな変化を起こしています。
なんてすごいことが起きていて、それを近くで見れてるんだろう。 これを読んでくれた方でコロナ感染拡大によって様々なリスクがある中で遠くから応援してくれて いつか葦の芸術原野祭に参加したいと思ってくれる方がいたら、いつか近くまで来て見てもらえたらと思います。
毎日思い出の品を持ってきてくれる斜里の人たちから預かったものから受け取った感覚をこれから表現そのものや文化に落とし込んで繋げていけるか、これからどんなことがあっても考えていきたいと思います。