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兵庫教育大学附属図書館の挑戦!青空の下で学ぶ教育フェス開催!

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2019年12月27日 20:43

がっこうがもえている

 

 

BLUE CLASSにかける想いを綴った職員コラムを紹介します。

(兵庫教育大学附属図書館広報誌『Listen』Vol.17掲載)

 

 コラム

「がっこうがもえている」

 

 詩人・谷川俊太郎に「がっこう」という詩がある。
 生徒も先生も誰もいない夜の学校が燃えている。その情景を淡々と綴った詩だ。なぜ燃えているのか、燃えたからどうなのか、その理由や帰結は語られない。鉄棒がぐにゃりとまがり、ピアノが爆発し、体育館の床がはねあがる。そんな客観描写のあとに、一言「がっこうよ  くやしいか」と呟かれ、詩は終わる。
 谷川作品のなかで、好きな詩のひとつだが、この詩のどこに惹かれるのかを説明することはむずかしい。学校が苦手だった谷川と違い、私はどちらかというと学校生活を謳歌した口だからである。小中高校を通じて、現在につながる多くの友達ができたし、甘酸っぱい恋愛も愉しんだ。恩師にも恵まれ、鬼籍に入った先生の墓前には毎年欠かさず訪れている。
 思春期特有の苦悩や挫折、絶望ももちろん味わったけれど、基本的には月曜日が待ち遠しい、そんな幸福な学校時代を過ごすことができた。だから、学校への怨念を吐露したようなこの詩を読んで、溜飲を下げる理由がよくわからないのである。いったい、この詩の魅力はどこにあるのか。
 それを考えるヒントを、私は最近図書館の重複除籍本のなかから偶然手に取った『脱学校化の可能性』という本からおそわった。本書のなかで、著者のイヴァン・イリイチは、脱学校化について語る条件として、「言語学者たちがある言語の構造とそれを話し手が使っている使い方とを区別するのと同じやり方」で、学校教育の構造と学校で起こっていることとを区別する必要があると訴える。そして、前者を「隠されたカリキュラム」と呼ぶ。この視点に立つならば、私の幸福な学校生活の思い出は、「学校で起こっていること」に関わり、上掲の詩の感動は、「学校教育の構造」の方に関わっているということかもしれない。では、イリイチの言う「隠されたカリキュラム」とは何か。
 それは、知識や学習を資本主義経済における商品とみなし、それを消費する(すわなち、学費を払い知識の証明書を手に入れる)ことが、将来の富や権力、威信といったものを獲得するための最良の道となるような政治経済システムのことを指す。そして、このようなシステムを効率的に運用するために、隠されたカリキュラムは、一定の年齢の人々が専門の教師の権威の下に、三十人くらいの規模の集団で学ぶことを要求する。
 ところで、私はおならが出やすい体質である。それも、おならがしにくいTPOに限って、かえって腸が活発になるという特徴をもっている。だから、思春期の中高時代、閉じられた教室でのテストや体育館での全校集会などの静寂の時間がたまらなく苦痛だった。忘れもしない、中学1年生の冬、学年集会の場で大きなおならを轟かせてしまったことがある。私の右斜め前には、私がその頃秘かに想いを寄せていた女子生徒が座っていた。一斉に笑いが起こり、私もそれに便乗したつもりだったが、友人の証言によると、私の頬はそのとき漫画のように引きつっていたらしい。
 集会が終わり、体育館を出て寒空を見上げた私は、不思議と穏やかな気持ちになりながら、はっきりとこう悟ったのを覚えている。私の人生はこれで終わったのだ、と。
 中年の今となっては、微笑ましいエピソードだが、当時の私には全然笑い事じゃなかった。一発の放屁が、一人の人間の社会的存在を剥奪するに足る破壊力をもつことを、私は信じ、怖れおののいていたのだ。まだか弱いティーンエイジャーだった私を、こんな風に恐怖と絶望の淵に追いやったものは、いったい何だったのか。今にして思えば、その正体こそ、隠されたカリキュラムだったのではないかと疑うのである。
 そのことで思い出すのが、フランツ・カフカの『城』という小説である。
 測量士のKが職を求めて、異郷の城をめざすのだが、目当ての仕事どころか城にも近づけず、城下の村でえんえんと足止めを食うという話である。
 この小説に、クラムという城の上級役人が登場する。いや正確に言うと、クラムは登場しない。Kが鍵穴から彼の半身を一瞥する1シーンを除いて、600頁を越えるこの長編小説にクラムは姿を現さないからだ。にもかかわらず、彼はこの物語の中心人物であり、城を頂点とした村社会を支配する権力者として機能している。
 村人たちはクラムを畏怖し、忖度し、陰口を叩く。クラムのために生きることが自分の人生を生きることであるという錯覚のなかで生きる者もいる。だが、村人の多くが、クラムがどのような人物なのかを知らない。
 この、決して近づくことのできない城というシステム、そして、いるのかいないのかわからないクラムという権力者の存在こそ、隠されたカリキュラムのメタファである。
 イリイチは書く。「脱学校化は、教授と学習の世俗化でなければならない。脱学校化は、何をどのように学ぶかということについての管理権を個人に返すことを含まねばならないのであって、管理権を、他のより無定形な一連の制度と、多分よりはっきりしないその代表者へ譲渡することがあってはならない」(傍点筆者)。
 数年前にMOOCというオープンエデュケーション・ムーブメントが起こったとき、このイリイチの脱学校化論が引用された(Wikipediaの「Massive open online course」の項参照)。MOOCとは、大学等の講義をネット公開し、受講者に修了証まで発行するシステムである。これがあれば、ハーバード大など名門大学の講義が無料で受講でき、知識の証明書までゲットできる。ついに、世界規模で教育格差が解消し、教育の民主化(世俗化)が実現する時代がやってきた。当時、MOOCは教育界に“破壊的イノベーション”をもたらすといって、興奮をもって迎えられ、そして恐れられた。でも、今のところ、そういう破壊的な状況には至っていない。隠されたカリキュラムという牙城は、それほど堅牢なのだということか。
 オープンエデュケーションといえば、図書館では昨年からBLUE CLASSという青空教室イベントを実施している。壁も天井もない空間での学びは、BBQ同様、きっと開放的で心地いいに違いない。適度なノイズに満たされたそこでは、おならを気にする必要もないだろう。そういう思いから提案した企画である。青空教室とは、周知のとおり戦争によって校舎を燃やされた学校が屋外で行った授業のことである。今日写真を通してみるその風景が、妙に新鮮で輝かしく映るのはなぜなのか。イリイチを読んで、その理由がわかった気がした。それは、戦争によって、たとえ一時的であったにせよ、隠されたカリキュラムが破壊されたあとの光景だったからである。

                          文:永井一樹(附属図書館)

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