解体迫る！中銀カプセルタワービル全戸調査記録＋動くカプセルで保存へ

2022年5月24日に、中銀カプセルタワービルＢ棟最上階にあるカプセルB1108の取り外しが行われました。記録のため、許可を得て隣の建物から撮影をしました。その様子は、下記リンク先のYouTube動画よりご覧ください。

 

 

私たちが譲り受けるA606も同じような方法で取り外し予定です。

 

オレンジ色の新たな鉄骨フレーム4本をカプセル下部にまわし、上部のフレームで吊って、丁寧にカプセルを移動しています。カプセル自体の躯体が傷んでいることもあるため、竣工時のようにカプセルを直接吊ることは危険を伴うため、今回のような方法が取られたようです。

 

解体業者さんにきれいにカプセルを取り外してもらいたいと考えたため、私たち中銀カプセルタワービルA606プロジェクトは、私たちが知っているカプセルのつくりや部材寸法などの情報を解体業者さんにお伝えし、模型などもお貸ししました。私たちの地道な保存活動が、今回からスタートした複数のカプセルの取り外しにつながっています。

 

カプセル取り外しにあたって、カプセルをシャフト（エレベータや階段があるタワー）に固定している4本のボルトを外すのはそこまで難しくなかったそうですが、下部でシャフトから持ち出している受けとカプセルとのダボの取り外しが困難だったそうです。ボルトやダボ部分を切り落とすために、外壁や底板の一部が切られています。

 

カプセルの取り外しはできたけれども、ポンと外せるような簡単なものではありません。竣工時の『新建築』（1972年6月号）でも、「このビルにおいては、各カプセルは頻繁に取替えるわけではないので、強度、耐火性、耐久性、施工性のほうを重視し、取りはずせるということに対しては、可能性がある、というまでにとどめた。」と記載があります。

 

いずれにせよ、収納の背板やユニットバスの壁パネルの裏にボルトはあるため、内装がある状態ではカプセルのボルトを回すことはできません。一部を壊す必要があります。今回、カプセル内でアスベスト除去工事が行われているため、内装は全て解体されスケルトンで鉄骨と外壁のボンデ鋼板、丸窓だけの状態で、ボルトにも簡単にアクセスできる状況です。

 

私たちは解体中の様子もできる限り記録しています。解体された時に始めて分かることも多いからです。

 

せっかく、きれいに取り外されたカプセルB1108ですが、次の日には、残念ながら地上で重機によって解体されました。Ｂ棟で保存される予定の複数のカプセルがあったはずなのですが、結局、Ｂ棟の64個のカプセルは全て廃棄されるそうです。今回のように、技術的には外すことができるので、非常に残念です。A606を含めて、Ａ棟のカプセルは複数個が取り外し予定です。