副鼻腔癌で保護した黒猫「ゆめ」の闘病生活と別れ～その1～

※一部、出血している画像等センシティブな内容が含まれています。

 

 

私たちスタッフが、困ったように笑いながらよく口にする言葉があります。

「ゆめちゃん、また黒猫連れてきたの？」
「ゆめ～、いっぺんに多すぎるからちょっと待って～」

 

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2023年2月、「道路に死にそうな黒猫がいてあんまり動かない、どうしたらいいですか？助けてあげてください」と保護依頼の電話がありました。
現場に向かうと心配そうに猫を見守る女子高生がいました。
血も出ていてボロボロの猫をなんとか自分で段ボール箱に入れ、危なくない場所に避難させてくれていました。

病院に駆け込み健康チェックを受けました。
アバラがでるほど痩せ細り歯は残っておらず年齢不詳の女の子。足は怪我をしているのか歩行に支障もある様子で、顔に瘡蓋があり目の上にも傷がありました。酷い結膜炎、鼻呼吸ができない程の鼻水鼻詰まり・・・エイズや白血病かと心配しましたが陰性でした。
それなら、医療を施しいっぱい食べたら元気になるかもしれない！

 

「ゆめ」と命名しました。
ちゃんとトイレで用を足してくれる賢い子。元飼い猫だったのかな？

 

抗生剤を3週間投与し目の症状と鼻水は良くなりましたが、鼻づまりが良くならず体重も増えない・・・嫌な予感がする・・・
不安はありましたが「きっと違うさ！大丈夫！」と心で何度もつぶやきながら再度受診しました。

上顎が腫れて喉の奥が狭くなっていました。
組織検査をした結果【副鼻腔の癌（リンパ腫）】であることがわかりました。
決して若くない身体、抗がん剤治療をしても助けられないだろうという判断になりました。

 

どんな猫生だったのか、飼い猫っぽいのにどうしてお外にいたのか、考え出すときりがありませんが、私たちにできることは少しでもゆめが快適に過ごせるようにお世話することでした。

鼻が苦しいのか食べる時にどうしてもむせたようになっちゃう、ゆめ。体重もなかなか増えてくれずガリガリでした。でもお顔はどんどんかわいくなりました。

 

1週間前はおもちゃで遊ぶほど元気だったのに口腔内の腫瘍はどんどん大きくなって、かなり食べるのが難しくなりました。

間もなく呼吸困難もでてくると思われた頃スタッフみんなで話し合いました。

 

「もちろんお金は無い、また赤字が嵩む。ごはんを付きっきりで食べさせないといけないし片時も目が離せない状況になれば泊まり込みも覚悟しないといけない。治癒は望めないけれど、それでももうしばらく元気で居させてあげたい」というみんなの気持ちは一致しました。

抗癌剤を投与する選択は裏目に出ることもあります。

でも、あまりにも進行が早く、まだ身体は元気な今、死を迎えさせることはできないと治療を受けさせる決断をしました。

神様、ゆめを守ってください。苦労してきたこの子にもう少しだけ幸せな時間をあげてください。そう祈りながら・・・

 

右目の状態が少し悪くなってきた頃、開いていた左目もだんだん見えなくなってきました。

 

 

次の活動報告に続きます