2021年に亡くなった詩人、蝦名泰洋さんの詩集を出版したい。
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支援総額

604,500

目標金額 500,000円

支援者
75人
募集終了日
2024年7月30日

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2024年06月03日 17:00

詩「カムパネルラ忌」

生前唯一の詩集『カール ハインツ ベルナルト』(1994私家版)からもう一篇紹介します。 

「カムパネルラ忌」という詩は、1992年頃に、青森の新聞に載ったのだと思います。私が、一番最初に読んだ蝦名さんの詩でした。この「カムパネルラ忌」の詩のこと、亡くなる前に、すこし気にかかっていたようです。「直したいところがある気もするけど、このままでもいいのかな」というふうに。30年前の詩のことを。

亡くなったあとに、しきりに思い出された詩です。遺歌集『ニューヨークの唇』の最後にも、載せました。今回製作予定の詩集のタイトル『王国を見にいくと言い残して』はこの詩から。

 

 

カムパネルラ忌  伊丹イタリア(蝦名泰洋)

 

 王国を見にいくと言い残して

 もどらない彼のことを

 パンを食べているとき忘れていた

 食べるときは忘れているのだ

 たえまなく浸食される時間の痛みの中で

 わたしも一筋の傷口である

 黒パンには塩分が含まれており

 沁みる

 王国はどうだったの?

 と、もどって来たら訊いてみよう 

 

   だれもいなかったよ

   王もいない

   どの部屋も空っぽ

   ただ玉座に

   四季の収穫だけが飾られていた

 

 黒パンには

 両眼から落下する石と同じ成分が含まれており

 噛むと顎がふるえるのをとめられない

 海の方角にあるはずの

 だれもいない国を想い描いた

 

 旅路で

 もし死んでいなければ

 彼は

 カムパネルラと同じ年だ

 いいえ

 もし生まれていたらの話だ

 そうしたことも

 食べるときは忘れている

 

 もう一度

 始発からかぞえてみよう

 わたしがいることと

 彼がいないことの闇をつないでいる

 駅の数を

リターン

2,500+システム利用料


蝦名泰洋雑文集(私家版)1冊

蝦名泰洋雑文集(私家版)1冊

蝦名泰洋雑文集(私家版、非売品)1冊をお送りします。
(雑文集のみ、詩集はありませんのでお気をつけください)

申込数
3
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年3月

3,000+システム利用料


詩集『王国を見にいくと言い残して』1冊

詩集『王国を見にいくと言い残して』1冊

完成した詩集『王国を見にいくと言い残して』1冊をお届けします。

申込数
10
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年3月

2,500+システム利用料


蝦名泰洋雑文集(私家版)1冊

蝦名泰洋雑文集(私家版)1冊

蝦名泰洋雑文集(私家版、非売品)1冊をお送りします。
(雑文集のみ、詩集はありませんのでお気をつけください)

申込数
3
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2025年3月

3,000+システム利用料


詩集『王国を見にいくと言い残して』1冊

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完成した詩集『王国を見にいくと言い残して』1冊をお届けします。

申込数
10
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制限なし
発送完了予定月
2025年3月
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