被災した人たちへ、楽しい思い出を写真集にして配布したい

被災した人たちへ、楽しい思い出を写真集にして配布したい

支援総額

692,000

目標金額 610,000円

支援者
61人
募集終了日
2015年11月27日

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2015年11月05日 20:10

「宮古市立A小学校校歌」

 今回から、仮設住宅巡回について書きます。前述の通り、被災地巡回が終了する間際の2011年夏にアポ無しで宮古市の社会福祉協議会を訪れて、偶然顔見知りの方を発見し、押しかけて仮設住宅での活動をコーディネートして欲しい旨の申し出を強引に行いました。担当して下さった方からは、まず社協のデイサービスで最初に音楽療法をして欲しいと言われて、9月の一ヶ月間はお試しのような形で実施しました(その後、現在に至るまでデイサービスでは月に一度継続しております)。

 

 最初に社協さんから訪問場所と日程について指定があったのは10月1日でした。そこは宮古市の北の外れにある、高齢者施設に隣接した仮設団地でした。住所だけ知らされていた我々(私と現地の音楽療法士Mさん、そしてアシスタントなすちゃん)は施設の中に入り込み、仮設で活動をしたいのですが‥と職員さんに聞いたのですが、実は高台に会った敷地よりも低い場所にあるわかりにくい位置にあったと知らされて、大急ぎで移動した思い出があります。

 

 初めて見た仮設住宅は、新聞やテレビの報道で見ていた通り、プレハブ建築の平屋建てで、最低限の設備で拵えられていましたが、実際に肉眼で見てみると思ったよりは頑丈そうで、それなりの建材で作られていたように思います。ただ、団地によっては本当に「ここに住むの?大丈夫?」と思うような、倉庫みたいな質感の住宅もあったことは確かです。

 

 団地の談話室にお邪魔して、最初に私が思ったのは「もし誰も来なかったら、どうしよう‥呼びに行ったほうがいいのかどうか」ということでした。避難所巡回の時も、場所によっては(タイミングによっては)人数の多い少ないがありましたが、何せ談話室に人を集めるには、事前の周知徹底とイベント自体の魅力が必須だったからです。集客の多いイベントは、食べ物のお振る舞いや物資の配付が筆頭ですが、比べ物にならないくらい大盛況になるのは、やはり芸能人の来るイベントでした。震災発生の年は、それはもう多くの芸能人が慰問に来ていて、被災地は毎日のように盛り上がっていたように思います。

 

 音楽療法学会の偉い人も、被災地で活動をしようとする全国の音楽療法士に向かって

 

「芸能人でも有名人でも無い、どこの馬の骨かも分からないようなオバサンが、いきなり被災地に乗り込んでクオリティも微妙な歌を歌ったからって、現地の人が喜ぶなんてことありえないでしょ」

 

 と、大いに水を差していたのを思い出しました。我が身を振り返ってみると、見た目どこにでもいるような小太りのおっさんが、それこそ何をするか(させられるか)わからないようなイベントで訪れて、果たして被災者の皆さんが部屋から出て談話室まで足を運んでくれるなんて、ありえないかもしれない‥と不安が募りました。

 

 そんな不安を他所に、活動開始の十分前には数名、高齢の男女と小学校低学年の子どもたちが集まってくれて、私はたいそう安堵いたしました(後から分かったことですが、この頃の避難所ではイベントが開催される際には自治会長やリーダーの方から「せっかく善意で来てくれるボランティアの集まりには出るように」とのお達しが少なからずあったようです。これは後々、感謝疲れと呼ばれるような慰問の弊害として語られました)。

 

 せっかく集まって下さった皆さんを退屈させてはいけない、楽しんでもらおう!と我々は大いに張り切って活動を盛り上げようと奮闘しました。初回、ということもあったのですが、とにかく今後につながるよう活動を成功裏に導きたい、と野心満々でした。肩に力が入りすぎて、上っ滑りな場面もありましたが、お愛想にしろ参加した皆さんから笑顔と拍手をいただくことが出来ました。

 

 ああ良かった、と終盤になって胸をなでおろしていたら、参加した数名の児童たちがいきなり立ち上がって

 

「私たち、ここにいるばあちゃんたちに歌を歌ってあげたいの」

 

 と言い始めました。

 

「歌?何の歌?」

 

「私たちが通っている、小学校の校歌。ばあちゃんたちも小さい頃からここに住んでいる人でしょう?きっと知ってると思うの」

 

 ツインテールにした小柄な女の子と、ひらひらしたスカートを履いたぽっちゃりの女の子、そしておかっぱの子が三人寄り集まって、せーの‥と掛け声をかけてから、伴奏無しで校歌を一番から三番までそらんじて歌いました。それを聞いていた高齢の女性たちは、驚くほど無防備な笑顔で手を叩き、時には瞳をうるませながら愛おしそうに耳を傾けていました。最後の方では歌詞があやふやになり、三人は恥ずかしそうに顔を見合わせて

 

「おしまい」

 

 と言って座りました。大人たちからは万雷の拍手、私たちも感激で胸がいっぱいになり、すごいすごい!良かったよ!と思わず声を出しました。

 

 彼女たちの元気で幸せな歌声は、仮設に住む皆さんの希望なのだな‥とつくづく思いました。半年前の想像を絶する過酷な体験を経て、再びふるさとに歌という希望が生まれた瞬間に立ち会えて、私は本当に良かったと思いました。

 

 じゃんけん大会やアートバルーン作りなど、他のアクティビティなどで高齢者と児童の交流を図ったあと、全員が集まって記念写真を撮影しました。親戚でもなんでもない、たまたま同じ仮設に入居しているだけの他人が、こうやってつながりを持つことが、イベントを行う大きな意義であることを、仮設巡回の初日に実感できて、幸先の良いスタートになりました。我々が仮設を去る時も、全員が談話室の前に揃って、いつまでも手を振ってくれました。

 

 と、感激したのもつかの間。この日の午後に訪問した別の仮設では‥参加ゼロでした。あらら‥良いエピソードだけで終わらないのが、我々チームの宿命なのかもしれませんね。翌週からも、午前と午後どちらかは参加者があり、どちらかはゼロというパターンが続きました。前途多難ではありましたが、こんな苦労もどこかしら心地よかったように思います。

リターン

3,000


①お礼状(ポストカード)

支援者
31人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2016年2月

10,000


①お礼状(ポストカード)

②写真集1冊

③当法人ホームページへお名前の記載
(掲載を希望されない場合はご連絡下さい)

支援者
20人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2016年2月

30,000


①お礼状(ポストカード)

②写真集1冊

③「三陸ことば絵本」1冊

④オリジナルエコバッグ1枚

⑤当法人ホームページへお名前の記載
(掲載を希望されない場合はご連絡下さい)

⑥仮設住民がヘンプもしくは刺繍糸で編んだミサンガ、フクロウなどのマスコット、布製小物など5点セット
(色や模様、種類は在庫により変更がございます、あらかじめご了承ください。)

支援者
8人
在庫数
1
発送完了予定月
2016年2月

50,000


①お礼状(ポストカード)

②写真集1冊

③「三陸ことば絵本」1冊

④オリジナルエコバッグ1枚

⑤当法人ホームページへお名前の記載
(掲載を希望されない場合はご連絡下さい)

⑥仮設住民がヘンプもしくは刺繍糸で編んだミサンガ、フクロウなどのマスコット、布製小物など5点セット
(色や模様、種類は在庫により変更がございます、あらかじめご了承ください。)


⑦仮設住民と一緒に「歌と体操のサロン」体験にご招待
(2016年9月まで有効、現地までの交通費は自己負担となります)

支援者
3人
在庫数
完売
発送完了予定月
2016年2月

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